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ETERNA · SERIES

Adventure

アドベンチャー

1958年のコンティキに始まる、実用と堅牢を旨としたEternaのスポーツウォッチの系譜

01 — 概要 / SUMMARY

アドベンチャーは、Eternaが1958年に発表したコンティキを中核とするスポーツウォッチ群の総称である。1947年のコンティキ号遠征に着想を得たこのツールウォッチは、回転ベゼルと高い視認性、堅牢な防水を備え、道具としての時計として歩んできた。現行はコンティキ・デイト、フォーハンズ、スーパーコンティキ、そして自社開発キャリバーを積むロイヤルコンティキへと枝分かれする。創業以来の自動巻機構を礎に、遠征の記憶を意匠と機械の両面で受け継ぐ系譜である。

02 — STORY · 物語

Adventure(アドベンチャー)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1947年、筏が運んだ名前

1947年4月28日、ノルウェーの探検家トール・ヘイエルダールは、バルサ材の筏でペルー沖を発った。南米の古代人が太平洋を渡りポリネシアへ到達しえたことを示すための航海であり、筏はインカの神にちなんでコンティキ号と名づけられた。101日の漂流の末、一行はラロイア環礁に到達する。

この遠征とEternaの関係について、ブランドは乗組員が防水性を理由に同社の時計を着用したと伝えてきた。ただし着用個体が回収・同定された記録はなく、オスロのコンティキ博物館に残るのは別社製の時計だとする指摘もある。確実なのは、遠征の反響を受けてEternaが1958年にコンティキの名を冠した時計を世に出したことである。自動巻、回転ベゼル、高い視認性を備えた実用時計であり、堅牢な防水ツールウォッチの系譜の出発点となった。後年、200m防水がこの系譜の標準的な数値となる。

02

スーパーコンティキと、道具としての時計

1960年代に入ると、コンティキはより本格的な潜水用途へ向かう。クッション型のケースに回転ベゼルを組み合わせたスーパーコンティキがそれで、1967年のRef. 130 FTP / 130 FTTでは新型のCal. 1489Kを搭載し、薄型化と即日送り機構を実現した。

頑健さは軍にも評価された。イタリア海軍が1966年に一定数を発注したと伝わり、イスラエル国防軍の特殊部隊にも供給されたとされる。ケースバックには筏をかたどったメダリオンが刻まれ、視認性に振り切った文字盤とともに、道具としての性格を明確に物語る。1973年にはレジャーダイバー向けに全面的な再設計が行われ、針や文字盤はいっそう潜水の現場に最適化された。

03

クォーツの時代をくぐる

1970年代の電子化の波は、Eternaにも及んだ。1970年には音叉式のソニック・コンティキが登場し、1976年にはロイヤル・クォーツ・コンティキが当時最薄のカレンダー付き時計として記録を残した。「ロイヤル」の名は、のちの現行モデルへと受け継がれることになる。

クォーツ危機は多くのスイス勢を揺らしたが、コンティキの名は途切れなかった。1992年にはEterna-Matic 1856 コンティキがクロノメーター認定の自動巻として200m防水で復帰し、機械式回帰の流れのなかで系譜をつないだ。

04

2004年、三角の夜光がよみがえる

大型時計が市場を席巻するなか、Eternaは原点回帰を選ぶ。2004年のコンティキ・フォーハンズは、初代の三角夜光インデックスを継いだ42mmケースに、第四の針で日付を示す機構を組み合わせた。2006年にはより大きな44mmのフォーハンズXXL、さらにケースごと可動する枠に収め1,000m防水をうたうコンティキ・ダイバーが続いた。

この時期のムーブメントはETAやSellitaから調達した汎用機が中心で、Ref. 1222のデイト、Ref. 1598のフォーハンズ、7750系を積むクロノグラフなどが並んだ。現在WatchBaseが「アドベンチャー」として束ねるのは、主にこの現代世代の各モデルである。

05

自社キャリバーという賭け

2007年、Eternaはモジュラー式の自社キャリバー39の開発に着手する。一つの基盤に部品群を組み替えて多様な仕様を生む構想で、香箱をボールベアリングで支えるSpherodriveを備えた。2013年、これを初めて量産時計に載せたのがロイヤルコンティキであり、GMT仕様のCal. 3945Aを搭載した。ベゼルの五本のネジと五条の溝は、創業以来のロゴを意匠へ翻訳したものである。

続く2014年から2016年にかけて、フライバック機構を持つCal. 3927Aや、クロノグラフのCal. 3916Aが投入された。スウォッチ・グループがETA供給の絞り込みを進めるなか、自社開発は供給網からの自立を意味した。

06

海への回帰と、その後

2017年、遠征から70年の節目に、Eternaはコンティキ・ダイバーを刷新し、ブロンズケースの本格的な潜水時計(Ref. 1291)を加えた。海と探検という原点へ立ち返る一手であった。

もっとも、自社キャリバーへの投資は商業的に大きく実を結ばず、その後Eternaの新作発表は大幅に減速した。現在はCitychamp傘下にあり、コレクションはおおむね静かな時期にある。それでも、1958年に始まったこの系譜が、遠征の記憶と独自の機構という二つの軸を保ち続けてきた事実は変わらない。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

アドベンチャーの設計を貫くのは、視認性を最優先する道具の論理である。文字盤には大型の三角形夜光インデックスが置かれ、太い針と高いコントラストで、暗所や水中でも瞬時に時刻を読ませる。回転ベゼルは経過時間の計測という機能から導かれた装備であり、装飾ではない。ねじ込み式のリュウズとケースバックが防水を担保し、ブレスレットはケースと一体に見えるよう組み上げられる。筏をかたどったメダリオンと抑えた色使いも含め、意匠は一貫して実用から逆算されている。

この系譜にはもう一つ、機械と意匠を貫くモチーフがある。「球」である。1948年のEterna-Maticは、回転錘を5つのボールベアリングで支える機構を確立し、それがブランドのロゴが象る5つの点の由来となった。2009年のSpherodriveは、同じボールベアリングを香箱に応用した試みであり、ロイヤルコンティキのベゼルに並ぶ五本のネジと五条の溝は、このロゴを意匠へ翻訳したものといえる。摩擦を制御するための小さな球が、ブランドの自己同一性そのものになっている。

同時代の競合と並べると、その輪郭はいっそう明確になる。ロレックス サブマリーナーやオメガ シーマスター、ブランパン フィフティ ファゾムスが、単方向ベゼルと比較的細身の指標で潜水具としての洗練を競ったのに対し、コンティキは面で発光する三角インデックスと、装飾を削ぎ落とした素っ気なさを選んだ。優劣ではなく、視認性をどこまで突き詰めるかという問いへの、異なる答えである。

そして、変えなかったものがある。70年近くを経てなお、三角の夜光、筏のメダリオン、控えめな色という三点が、この系譜を一目でそれと分からせる。派手にしないという判断の積み重ねが、結果として強い識別性を生んだ。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1958-1966
Eterna-Matic 自動巻
ボールベアリング式ローターの自動巻。
1967-1973
Cal. 1489K
ETA 2433を基に薄型化、即日送りに対応。
2004-2012
ETA / Sellita 系
SW200・SW220-1・7750等の調達機を採用。
2013-2016
自社 Cal. 39 系(3945A 等)
Spherodriveを備えるモジュラー自社開発機。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1958-1966

初代コンティキ

初代 KonTiki
Eterna-Maticを積む堅牢な自動巻。遠征の名を冠した出発点。
1967-1972

スーパーコンティキ

130 FTP 130 FTT
クッションケースの本格ダイバー。軍にも供給されたと伝わる。
1973-2003

潜水特化とクォーツ期

1973年型 Royal Quartz 系
潜水用に再設計。クォーツ期を経て1992年に自動巻が復帰。
2004-2012

フォーハンズ復活

1592 1598 系
初代の三角夜光を継ぐ42mm。第四の針で日付を示す現代版。
2013-2017

自社開発と海への回帰

7740 1273 1291 系
五本ネジのロイヤル、自社Cal.39、ブロンズの本格ダイバー。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア How Eterna's Eterna-Matic Changed Things 専門メディア · A Timely Perspective · 2026.08.15 閲覧 A Timely Perspective · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Eterna 専門メディア · Watch Wiki · 2026.08.15 閲覧 Watch Wiki · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive