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CASIO · SERIES

MTG

MT-G

金属と樹脂を撚り合わせる発想で、G-SHOCKの強靭さに金属の質感を与えた大人の系譜

54.7 mm
01 — 概要 / SUMMARY

MT-Gは、1999年に始まったカシオG-SHOCKのシリーズである。樹脂で衝撃を逃がすG-SHOCKに金属の質感を持ち込み、金属と樹脂を組み合わせた耐衝撃構造を主題とする「大人のG-SHOCK」として展開してきた。2013年のMTG-S1000でコアガード構造とアナログの顔を確立し、以後はGPSハイブリッド、Bluetooth連携、薄型化へと歩みを進める。現行は、カーボンを用いたMTG-B2000、薄型のMTG-B3000、生成AIを設計に取り入れたMTG-B4000などが軸となる。

02 — STORY · 物語

MTG(MT-G)、これまでの軌跡

The story of this series
01

金属とG-SHOCKを接ぐ

1983年に登場したG-SHOCKは、樹脂で機械を包み、衝撃を逃がすという思想で知られてきた。その素材イメージに金属を持ち込む試みが、1990年代後半のカシオで進む。1996年にはチタンやサファイアを用いた最上位線MR-Gが生まれ、その流れの中で、より手の届く「金属のG-SHOCK」として構想されたのがMT-Gである。

MT-Gは「Metal Twisted G-SHOCK」の略で、金属と樹脂を撚り合わせるように組み合わせる発想を名に込める。最初の一本は1999年のGC-2000とされ、翌2000年から「MTG」の型番が用いられるようになった。カシオの公式史によれば、初代はTriple Floating Guardと呼ぶ新たな耐衝撃構造を備えていたという。金属の質感と、落としても壊れにくいという約束。相反しがちな二つを一つのケースで両立させること。これがMT-Gに課された出発点であった。

02

機能を積層した形成期

2000年代のMT-Gは、まだ一つの顔に定まっていない。色付きの樹脂を金属ケースに収めたMTG-500のような意匠の実験があり、アナログ、デジタル、アナデジと表示形式も揺れていた。この時期に少しずつ加わっていったのが、ソーラー充電のタフソーラーと、標準電波を受信して時刻を自動修正する電波受信機能である。2007年ごろのMTG-1000では、ソーラーと電波受信が一つのモデルに統合されたと伝わる。

時刻精度と電池交換の手間という、クォーツ時計の弱点を技術で潰していく。派手な世代交代ではなく、機能の積み増しが続いた十数年であった。

03

設計言語の確立 — MTG-S1000

転機は2013年に訪れる。G-SHOCK誕生30周年のこの年、カシオはMTG-S1000を発表した。樹脂製の中枢部を上下の金属フレームで挟み、四本の細いステンレスパイプでベゼルとケースバックを締結する。この「コアガード構造」によって、機械を金属の檻で守るというMT-G固有の設計言語が、ここで定まった。

落下・遠心重力・振動の三方向に耐えるTriple G Resist、サファイアガラス、電子クラウンで操作するスマートアクセス。針と小針で時刻を示す総アナログの文字盤は、樹脂デジタルのG-SHOCKとは別の顔を持つ。aBlogtoWatchはこのモデルを、米国を含め正式に流通した初の高級金属G-SHOCKと位置づけた。MT-Gが「大人のG-SHOCK」として輪郭を得たのは、この一本からである。

04

全世界で正確に — MTG-G1000

2015年のMTG-G1000は、時刻精度の探求を一段押し進めた。GPS衛星の信号と標準電波の双方を使い分けるGPSハイブリッド電波ソーラーを搭載し、地球上のほぼどこでも時刻を自動で合わせる。6時位置の小針にはデュアルコイルモーターを採り、二つの時間帯を素早く切り替えた。

一方で、ケースは58.8mm×54.7mm、厚さ16.9mm、重さ約198gと大柄であった。技術を詰め込んだ旗艦としての存在感。その重量と寸法は、次の世代が向き合う課題ともなる。搭載モジュールは5455。

05

小さく、軽く — MTG-B1000

2018年、カシオはバーゼルワールドでMTG-B1000を披露する。MT-Gとして初めてBluetoothによるスマートフォン連携を備えたConnected Engineを積み、専用アプリ経由で時刻を取得できる。GPSは外し、電波受信とBluetoothに役割を絞った。

設計の主題は小型化であった。中央ケースの樹脂を炭素繊維で強化し、バンド接続部と一体化させた新しいコアガード構造により、寸法は55.8mm×51.7mm×14.4mm、重量は約123g(樹脂バンド)まで下がる。柔らかなウレタンバンドの採用も、装着感を優先した判断である。大きく強く、から、軽く心地よく、へ。MT-Gの価値観がここで転回した。搭載モジュールは5544。

06

カーボン、スリム、そしてAIへ

転回の先で、素材と構造の探求が続く。2020年のMTG-B2000は、ケースとケースバックを一体成形したカーボンモノコックを金属フレームで囲うDual Core Guard構造を採り、金属の見え方を増やしながら約15%の軽量化を果たした。十二角形のベゼルが新しい顔となる。搭載モジュールは5636。

2022年のMTG-B3000は、高密度実装で薄型化したモジュール5672を載せ、厚さ12.1mmという、ソーラー電波クロノグラフとして際立って薄い水準に到達する。立体的なステンレスのケースバックがラグとガードを兼ね、工具なしのワンタッチでバンドを替えられる。

そして2025年のMTG-B4000では、カシオによれば市販のG-SHOCKで初めて、生成AIを構造設計に用いたフレームを採用した。蓄積した耐衝撃データをAIが解析し、人の手が仕上げる。山形カシオで作られ、ザラツ研磨が施される金属と炭素の複合体である。金属と樹脂をいかに撚り合わせるか——四半世紀前の問いは、いまも更新され続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

MT-Gが一貫して守ってきたのは、「金属の質感」と「壊れにくさ」を一つのケースで両立させるという主題である。標準のG-SHOCKが樹脂のクッションで衝撃を吸収するのに対し、MT-Gは金属と樹脂、のちには炭素を層状に組み合わせ、中枢の機械を囲って守る。この発想を構造化したのが2013年以降のコアガード構造であり、その延長線上にDual Core Guard構造がある。素材は変わっても、機械を複合素材の檻で守るという設計言語は変わらない。

耐衝撃の約束も一貫する。落下・遠心重力・振動の三方向に耐えるTriple G Resistは世代を超えて掲げられてきた性能の核であり、200m防水(20気圧)とともに、G-SHOCK由来のタフネスを金属の身体で表現する。

意匠の面では、総アナログの文字盤が軸になる。デジタル表示で知られたG-SHOCKにあって、針と小針で時を示す顔は、MT-Gを「大人のG-SHOCK」として印象づけてきた。前面に覗くネジ、金属パーツの稜線に施されるミラー研磨とヘアライン仕上げ、山形カシオでのザラツ研磨。これらの多層的な仕上げが、樹脂一色とは異なる質感を支える。金属と樹脂が交わる接合部そのものを、隠さずに見せる構成も特徴である。

変わってきたものも明確だ。ケースは大型から薄型へ、素材はステンレス中心から炭素複合へ、時刻同期はソーラー電波からGPS、Bluetooth、そして構造設計へのAI活用へと移ってきた。

カシオの線でいえば、全金属の最上位MR-Gや、フルメタルの角形GMW-B5000とは出自が異なる。MT-Gは全身を金属にするのではなく、金属と樹脂の境界を設計の主題に置く。だからこそ四半世紀を経ても、層を成すケースとアナログの顔が「MT-Gらしさ」として認識される。装飾の華やかさではなく、素材の組み合わせ方そのものを意匠とする。それがこのシリーズの設計思想である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1999-2006
初期アナログ/アナデジ石英モジュール
金属樹脂複合の黎明期。クォーツ駆動。
2007-2012
タフソーラー+電波受信モジュール
ソーラー充電と標準電波受信を統合。
2013-2014
Module 5369(MTG-S1000)
アナログ駆動。コアガード構造世代の中核。
2015-2017
Module 5455(GPSハイブリッド)
GPSと電波で全世界の時刻を自動修正。
2018-現在
Module 5544→5743(Connected Engine)
Bluetooth連携と薄型化を継続して推進。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1999-2012

金属樹脂の黎明・形成期

GC-2000 ほか初期MTG
金属と樹脂の複合を確立し、ソーラーと電波受信を段階的に導入。
2013-2014

コアガード構造の確立

MTG-S1000
G-SHOCK 30周年。コアガード構造でアナログ高級路線を確立。
2015-2017

GPSハイブリッド世代

MTG-G1000
GPSと標準電波の併用で全世界の時刻を自動修正する大型旗艦。
2018-2019

Bluetooth連携と小型化

MTG-B1000
初のBluetooth連携を備え、大幅なダウンサイジングを実現。
2020-2021

カーボンモノコック世代

MTG-B2000
カーボンモノコックのDual Core Guard構造と十二角ベゼル。
2022-2024

薄型スリムモジュール世代

MTG-B3000
薄型モジュールで厚さ12.1mm。工具不要のバンド交換を採用。
2025-現在

AI協働フレーム世代

MTG-B4000
生成AIを構造設計に用いたフレームを市販G-SHOCKで初採用。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive