1917年、戦車から生まれた時計
第一次世界大戦のさなか、ルイ・カルティエは西部戦線で用いられたルノーの戦車に目を留めた。装甲車両を上から見たとき、車体が文字盤に、左右の履帯がケースを縦に貫く帯に重なる。その輪郭を腕時計へ移したのがTankである。考案は1917年とされる。当時の腕時計は丸型が主流であり、直線で構成された角型ケースは異例だった。
試作機は1918年ごろ、米国遠征軍を率いたジョン・パーシング将軍に贈られたと伝わる。市販が始まったのは1919年で、最初に納められたのはわずか6本だった。カルティエはすでに1904年にサントスを世に出していたため、Tankは同社初の腕時計ではない。しかし角型という造形を一個の様式として確立した点に、その後の影響力の源がある。