設計思想
1. 新体制最初の一手として
2018年初頭、Breitlingは新CEO Georges Kernのもとで全コレクションの再編に着手した。その口火を切ったのが、同年1月末に発表されたNavitimer 8コレクションである。前年に投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズが経営権を握り、2017年7月にIWCを率いたKernをリシュモンから招いていた。A17314101C1X2は、その中でも最も簡素な3針日付モデル、Navitimer 8 Automatic 41の青文字盤・黒カーフストラップ仕様として登場した。
新体制の意図は明快だった。Navitimer 8は、1938年設立のHuit Aviation部門の機上時計やパイロットウォッチRef. 768に想を得て、複雑なスライドルールに頼らずに視認性と実用性を語り直す試みであり、A17314101はその思想を最も素直に体現した位置にある。
2. Navitimerを名乗ったことの波紋
このRefをめぐる議論は、性能ではなく名称に集中した。スライドルール・ベゼルを伴わない時計が「Navitimer」を名乗ったことに対し、長年のファンからの反発が大きく、2019年、Breitlingはコレクション名をAviator 8へ改めた。
A17314101はちょうどこの改称の境目に位置するRefで、生産期間はおおむね2018年から2019年に重なる。後継のA17315101が「Aviator 8 Automatic 41」として登場したとされる。本Refはその直前世代として、最初に世に出たNavitimer 8の姿をほぼそのまま残している。
3. 兄弟Refのなかでの位置
A17314101には、青と黒の文字盤、ブレスレットとレザーストラップの組み合わせ違いで複数の仕様が存在し、DLC加工を施したブラックスティール版も用意された。本機C1X2は、青文字盤を黒のカーフレザーで引き締めた組み合わせで、青の鮮やかさを最も静かに見せる仕立てといえる。
意匠分析
ケースと寸法
ステンレススチール製のケースは直径41mm、厚さ10.74mm、100m防水。ブラッシュ仕上げを基調とした工具的な面構成である。同時期のBreitlingが進めた「派手すぎない実用時計」への方針転換が、面の構成にも素直に表れている。
ベゼル
特徴的なのは双方向回転ベゼルで、外周に刻まれた細かい歯車状のノッチが触覚的なグリップを与える。本Refの世代では、ベゼル上にはトライアングルのリファレンスマーカーだけが置かれ、時刻目盛は省略されている。ベゼル面の余白が大きく、軍用時計的な簡潔さに寄っている。
ダイヤルとハンド
青文字盤はマット寄りの仕上げで、強い光沢を持たない。大ぶりのアラビア数字とレイルウェイ・ミニッツトラック、日付窓という構成は、Huit Aviation Departmentが手がけた機上時計やRef. 768からの引用とされる。針は大ぶりの剣型に夜光を充填する造形で、青文字盤に対してコントラストが立ちすぎないよう、シルバートーンに留められている。
ストラップ
C1X2は黒のカーフレザーにピンバックルを組み合わせる。同じ青文字盤でも、ブラウンカーフを合わせたC1X1がヴィンテージ寄りに振れているのに対し、本機は黒革で青の彩度を抑え、よりフォーマル寄りの落ち着きを得ている。
ムーブメント
Cal.17を搭載する。ETA 2824系をベースにした自動巻ムーブメントで、毎時28,800振動 (4Hz)、25石、パワーリザーブ約38時間(40時間とする資料もある)。Breitlingは1999年から全機械式ムーブメントのCOSCクロノメーター認定を方針として継続しており、本Refもその対象に含まれる。ケースバックはスクリュー式の無垢蓋とされる。
系譜と歴史
A17314101C1X2は、2018年1月末にGeorges Kern体制下のBreitlingが発表したNavitimer 8コレクションの一員として世に出た。オートマチックは同年6月ごろの発売とされ、A17314101はその中の3針日付モデルNavitimer 8 Automatic 41の、青文字盤・黒カーフストラップ・ピンバックル仕様として割り当てられた番号である。
2019年、Breitlingはコレクション名をNavitimer 8からAviator 8へ改称した。これに合わせて、Automatic 41ラインのRef番号もA17315101へ更新されたとWatchBaseは記録している。A17314101の生産はこのタイミング前後で終息したとされる。
その後、Breitlingは2020年にAVI Ref. 765 1953 Re-Editionを、2021年に46mmのSuper AVIを、2023年に42mmのClassic AVI Chronographを発表した。WatchBase上で本Refが「AVI」カテゴリに属するのは、Navitimer 8 → Aviator 8 → AVIへと連なる後継関係を反映した遡及的分類による。本Ref自体は2018年から2019年にかけての量産仕様で、限定生産ではない。
出典
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