ナビタイマーのかたわらで
1950年代初頭に確立されたナビタイマーは、計算尺ベゼルによる飛行計算を武器とするパイロット用クロノグラフであった。一方で操縦席では、一目で経過時間を読み取れる頑健な時計も求められていた。ブライトリングが1930年代半ばから手がけた軍用航空部門「EIGHT(ユイ)」の機上計器が、その素地となる。1953年、同社はこの要請に応える腕時計として、大戦前のRef. 765 Premierから大きく作り替えた765 AVIを発表した。AVIは航空(aviation)を指し、まもなく「Co-Pilot」の通称で呼ばれるようになる。
初代765 AVIは、当時として大ぶりなベゼル径41mm・ラグ幅22mmのスチールケースに、12時間表示の双方向回転ベゼルを備えた。マットブラックの文字盤には大型の夜光アラビア数字と夜光針が並び、操縦席での視認性を最優先する設計である。ムーブメントは手巻コラムホイールのヴィーナス Cal. 178。6時と9時に小文字盤を置き、3時には15分ごとに数字が進む「デジタル」式の積算計を備えたため、当時は765 Digitalとも呼ばれた。1955年には、フランス側の要望に応えて通常の15分計の小文字盤とした「アナログ」版も一般に発売される。