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CALIBER · PANERAI

OP XXXIV

自動巻 Automatic Analog

2018年登場、シリコン脱進機を備えるリシュモン・グループ製の自動巻、後にP.900へ改名されたパネライ"OP"系列最後のキャリバー

OVERVIEW · 概要

OP XXXIVは、2018年のSIHHでパネライが発表した自動巻キャリバーである。リシュモン・グループのManufacture Horlogère ValFleurierが開発したベースを採用し、パネライ向けに再構成した「グループ・ムーブメント」に分類される。直径30.00mm、振動数28,800vph(4Hz)、石数25、単一香箱で72時間のパワーリザーブを備え、ガンギ車とアンクルにシリコンを用いて耐磁性能を高めている。同年中に名称はP.900へ改められ、現在はGMT・ムーンフェイズ等の派生機構も展開される。初搭載はLuminor Due 38mm。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerPanerai
ReferenceOP XXXIV
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels25 石
Power reserve72 h
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

1. パネライにおける「OP」系列の到達点

パネライのキャリバー命名は二系統に分かれる。Roman数字を伴う"OP"接頭辞は外部のエボーシュを再仕上げした群、"P."で始まるアラビア数字は自社開発系列を意味してきた。OP XXXIVは、この"OP"系列の34番目にして最後を担うキャリバーである。

パネライは1997年の現代再興期以降、ETAの汎用機(OP IはETA 6497-2をベース)から始まり、グループ内のジャガー・ルクルトやミネルバ製ムーブメント(OP XIII、OP XXV等)、そしてグループのムーブメント部門マニュファクチュール・オロルジェール・ヴァルフルリエ(Manufacture Horlogère ValFleurier)に開発委託した群へと、調達構造を段階的に「グループ内化」していった。OP XXXIVはこの移行プロセスの終着点に位置する。

2. 開発と初搭載

2018年1月、ジュネーブで開催されたSIHHにおいて、パネライは新世代のLuminor Due 38mmコレクションを発表した。同コレクションの心臓部として披露されたのがOP XXXIVであり、PAM00755(ステンレススチール/アンスラサイト・ダイヤル)とPAM00903(同/アイボリー・ダイヤル)、さらに42mm版のPAM00904、PAM00906、レッドゴールド系のPAM00756、PAM00908を含む計6本のリファレンスで同時にデビューした。

それまでパネライの薄型自動巻機構はP.1000、P.4000といった自社開発キャリバーが担っていたが、これらは46mm前後の大型ケースを前提とする設計であった。新たに展開された38mmサイズには、より小径かつ薄型で、十分な耐磁性を備えたキャリバーが必要となる。この要求に応える形で、リシュモン・グループの技術リソースを背景に開発されたのがOP XXXIVであった。

3. ヴァルフルリエ系プラットフォームと姉妹キャリバー

OP XXXIVの設計プラットフォームは、Baume & Mercier(ボーム&メルシエ)のBaumatic Cal. BM12-1975A、およびIWC Cal. 32110と基盤を共有すると伝わる。これらはManufacture Horlogère ValFleurierとリシュモン・リサーチ&イノベーションが共同開発した次世代ムーブメント基盤を出発点とし、各ブランドが独自仕様で再構成する「グループ・マニュファクチュア」方式で展開された。

パネライ仕様のOP XXXIVは、ベースの中央秒針配置をスモールセコンド(9時位置)へ改め、3時位置にデイト窓を配したパネライ伝統のダイヤル構成に合わせて再設計されている。パワーリザーブもBaumatic(5日)より短い、パネライ主要キャリバーに揃えた3日(72時間)に設定された。

4. P.900への改名

OP XXXIVは2018年中に「P.900」へと正式名称が変更された。これにより、パネライ公式の整理上は"P."接頭辞を冠する系列に編入され、マニュファクチュア・ムーブメントとして位置づけられている。一方、機構自体は同一であるため、本キャリバーを「自社製」と呼べる範囲については専門メディア間で見解が分かれるとも伝わる。WatchBaseはOP XXXIVを基幹、P.900をその派生として登録しており、両者は技術的に同一キャリバーの二つの呼称として扱うのが妥当である。派生としてP.900/GMT、P.900/GMT24(24時間針表示)、P.900/MP(ムーンフェイズ)が存在する。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

1. 基本構成

OP XXXIVは、輪列・テンプ・脱進機・自動巻機構を包む3針自動巻キャリバーである。直径30.00mm、構成部品点数171個、石数25、単一の香箱を持つ。振動数は28,800vph(4Hz)、パワーリザーブは72時間で、ロレックスCal. 3235やオメガCal. 8800といった同時代の自社製ムーブメントが採用する長時間パワーリザーブの設計潮流に沿った構成となる。

時刻表示は時・分の中央針、9時位置のスモールセコンド、3時位置のデイト窓という構成で、これはベースのValFleurier製エボーシュ(中央秒針構成)に対し、パネライがダイヤル側を再設計した結果である。ケースバックは多くの搭載モデルで非シースルー仕様となり、ムーブメントの仕上げを直接観察できるリファレンスは限られる。

2. シリコン脱進機

OP XXXIVの技術的中核は、シリコン製のガンギ車とアンクル(パレット・フォーク)を採用した脱進機にある。シリコンは比重が鋼の約3分の1と軽量で、磁気の影響を受けず、注油量を抑制しても摩耗が極端に小さいという特性を持つ。脱進機の往復運動部品にこれを用いることで、(a)耐磁性能の向上、(b)エネルギー伝達効率の改善、(c)注油間隔の延長による保守性の向上、という3つの利益が同時に得られる。

姉妹機構であるBaume & MercierのBaumatic Cal. BM12-1975Aでは、これに加えてシリコン製ヒゲゼンマイ(リシュモン・グループのTWINSPIR技術)も搭載され、5日間のパワーリザーブと1,500ガウス級の耐磁性能を実現している。OP XXXIVの公式仕様としてヒゲゼンマイ素材は明示されていないが、脱進機がシリコン化されている点では基盤を共有する。

なおリシュモン・グループは、ガンギ車とアンクルの幾何形状を最適化した脱進機構を「POWERSCAPE」と称しており、Baumaticにこれが搭載されたことが公表されている。OP XXXIVがこの形状を継承するか否かは公式に明言されていないが、エボーシュを共有する系統的位置からは類縁性が推察されるとも伝わる。

3. 単一香箱と72時間パワーリザーブ

OP XXXIVは香箱を一つしか持たない単バレル構成である。一般に3日(72時間)以上の長時間パワーリザーブを実現するには、香箱を二つ並列する「ツインバレル」構成、もしくは香箱を大型化しゼンマイを長尺化する「メインバレル拡大」のいずれかが選択される。OP XXXIVは後者を採り、加えて脱進機の効率改善と輪列の低摩擦化により、コンパクトな機構ながら72時間の駆動を成立させている。

4. 自動巻機構と仕上げ

自動巻機構は、リシュモン系の小型ムーブメントで広く採用される「マジック・レバー」式の双方向巻き上げ機構を搭載するとされる。マジック・レバーは構成部品が少なく、両回転で香箱を効率良く巻き上げる方式で、Cal.基盤の薄型化と保守性の両立に寄与する。耐衝撃機構にはIncabloc系のショック・アブソーバーが用いられる。

仕上げ面では、地板にペルラージュ(円形粒目)、ブリッジにコート・ド・ジュネーブ(ジュネーブ縞)の装飾が施され、ローターには「Panerai」のマーキングが入る。ただし本キャリバーはLuminor DueやSubmersibleの多くで非シースルー・ケースバックの内側に収められるため、装飾の主目的は外観上の鑑賞というよりも実用上の耐久性確保にあるとも見なせる。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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