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CALIBER · ETA

251.262

クォーツ Quartz Analog クロノグラフ デイト

中央に重なる60秒・60分の計測針を備えた、1988年生まれのETAフラットライン製クォーツ・クロノグラフ

石数
27 石
ムーブメント径
30 mm
Cal. 251.262
movement · 251.262 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

ETA 251.262は、1988年に登場したアナログ・クォーツ式のクロノグラフムーブメントである。スイスの量産ムーブメント大手ETAのフラットライン系に属し、32,768Hzの水晶振動子を基準に駆動する。最大の特徴は、中央に重なる60秒・60分の2本の計測針と、合計7本の針を持つ多機能表示にある。6時位置に常時運針する秒、2時位置に1/10秒、10時位置に12時間積算計を配し、4時半付近に日付窓を備える仕様もある。27石。タグ・ホイヤーのアクアレーサーやリンク、サーチナのDSポディウム、ラドーのD-Starなど、複数ブランドのクォーツ・クロノグラフに広く採用された。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerETA
Reference251.262
TypeQuartz(クォーツ)
DisplayAnalog
Jewels27 石
Movement ⌀30 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate
ChronographChronograph
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

1. クォーツ時代に生まれた多機能クロノグラフ

ETA 251.262が登場した1988年は、機械式時計が量産クォーツの普及で大きく数を減らした時代の只中にあった。スイスの量産ムーブメント大手であるETAは、この時期にアナログ表示の多機能クォーツを相次いで送り出している。251.262は、その流れのなかで生まれたクロノグラフ用キャリバーである。針で時刻と計測値を読ませる伝統的な表示形式を保ちながら、電子制御で複雑な計測機能を盛り込んだ点に、当時の設計思想がうかがえる。

2. フラットラインからサーモラインへ

251.262は、ETAの薄型クォーツ群「フラットライン」に位置づけられる。この系列はやがて、温度補正(サーモコンペンセーション)を加えた高精度版「サーモライン」へと枝分かれしていく。251.262自体は温度補正を持たない標準的なクォーツである一方、後継の251.264や251.232、251.233は温度補正を備える。針を高速で駆動するパワードライブや、より精度を高めたプレシドライブといった技術も取り込まれた。基本となる機械部分を共有しつつ、電子モジュールの違いで精度の階層を作る——これがこの系列の発展の道筋であった。

3. ブランドごとの展開

温度補正を備えたサーモライン系は、ブライトリングが「スーパークォーツ」と呼ぶ高精度クォーツの基盤となった。同社のキャリバー73は、251.232、のちに251.264を土台としている。各ブランドは、文字盤レイアウトや内部プログラムを自社向けに調整して採用した。251.262そのものも、タグ・ホイヤー、サーチナ、ラドー、エテルナなど、多くのスイスブランドのクォーツ・クロノグラフに搭載されている。

4. 業界基盤としての意義

針式の多機能クロノグラフを、手の届く価格帯で実現できる——この一点が、251.262が広く採用された理由である。中央に重なる2本の計測針という独特の表示は、機械式では難しい構成であり、電子制御だからこそ成り立つ。量産クォーツの利点を活かしつつ、計器としての読み応えを残した設計は、クォーツ全盛期のスイス時計が選んだ一つの解答といえる。

04 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

表示とレイアウト

251.262の機構を特徴づけるのは、合計7本の針による多機能表示である。内訳は、時針・分針、中央のクロノグラフ60秒針と60分針、6時位置の小秒針、2時位置の1/10秒針、10時位置の12時間積算針となる。一般的なクロノグラフが積算分を小さなサブダイヤルで示すのに対し、本キャリバーは経過分を中央の針で読ませる。これにより、計測中の経過時間を盤面中央でまとめて把握できる。6時位置の秒は常時運針し、1秒ごとに歩進するジャンピングセコンドである。10時位置に12時間積算計を備え、4時から4時半付近に日付窓を持つ仕様もある。

1/10秒表示の仕組み

2時位置のサブダイヤルは1/10秒を示すが、この針はクロノグラフの計測中は動かない。計測を停止した瞬間に、内部で数えていた1/10秒の値へと針が移動し、結果を表示する。常時1/10秒を運針させれば電力を多く消費するため、停止時にのみ算出して表示するこの方式は、電池駆動のクォーツに適した合理的な設計といえる。計測の中間値を読み取るSPLIT(スプリット)機能や、計測を継続して加算するADD機能も備える。

クォーツ機構と石数

基準となるのは32,768Hzの水晶振動子(クォーツ・オシレーター)である。32,768は2の15乗にあたり、この振動を分周回路で15段に分けて1秒の信号へと変換する。その信号でステップモーターが1秒ごとに歩進し、輪列を介して各針を動かす。多数の針をそれぞれ独立に駆動する必要から、輪列の構成は標準的な三針クォーツより格段に複雑である。注目したいのは27石という石数である。三針の標準的なクォーツが数石にとどまるのに対し、本キャリバーは多くの針を駆動する複雑な輪列を持つため、摩擦を抑える受石を多く要する。径は13 1/4型(約30mm)、厚さは約5mm、電池は394を用いる。電池交換の際には複数の計測針を改めて零位へ合わせる必要があり、これも多機能クォーツに固有の性格といえる。

精度の位置づけ

251.262は温度補正を持たない標準的なクォーツであり、精度は周囲の温度の影響を受ける。クォーツの基準周波数は温度でわずかに変動するため、補正のない設計では季節や着用環境によって日差が動く。後継のサーモライン系が温度補正で年差クラスの精度を狙い、長寿命のリチウム電池で持続時間を伸ばしたのとは、設計上の前提が異なる。両者は優劣ではなく、コストと精度のどこに重心を置くかという選択の違いとして理解するのが妥当である。

05 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

This caliber appears in 1 references
06 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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