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ZENITH · SERIES

Revival

リバイバル

1969年のオリジナルを、原設計図のまま現代に再生する。ゼニスの歴史そのものを腕に戻す復刻シリーズ。

01 — 概要 / SUMMARY

Revival(リバイバル)は、2019年にゼニスがEl Primero誕生50周年を機に立ち上げた復刻シリーズである。1969年のオリジナルを、当時の設計図と製造記録に基づいて忠実に再現する点に性格がある。中核は、El Primeroを積むChronomaster Revivalの三部作A386・A384・A385、そして1969年初代Defyの八角形ケースを蘇らせたDefy Revivalの系統。人工的な経年加工を基本的に施さず、発表当時の姿のまま組み上げる姿勢が軸にある。

02 — STORY · 物語

Revival(リバイバル)、これまでの軌跡

The story of this series
01

すべては1969年に始まる

ゼニスにとって1969年は特別な年である。1月、同社は自動巻きクロノグラフ用ムーブメント、El Primero(キャリバー3019 PHC)を発表した。コラムホイールと水平クラッチを備え、毎時36,000振動 (5Hz) という高振動で10分の1秒の計測を可能にした機械である。同じ1969年には、ホイヤーらのCaliber 11やセイコー6139も登場しており、「最初の自動巻きクロノグラフ」の称号をめぐる議論は今も続く。El Primeroがスペイン語で「最初のもの」を意味することは、その自負の表れといえる。

ムーブメントだけではない。同じ年、ゼニスは八角形ケースの初代Defy(Ref. A3642)も世に出している。300m防水とねじ込み式リューズを備えた頑丈な造りは「coffre-fort(金庫)」と呼ばれた。El Primeroを積む丸型・トノー型のクロノグラフ群と、八角形のスポーツウォッチ。後年Revivalが立ち戻る原器は、いずれもこの1年に生まれている。

02

屋根裏に隠された機械

El Primeroの歩みは平坦ではなかった。1971年、ゼニスは米国の電機企業ゼニス・ラジオ社の傘下に入る。クォーツの台頭を背景に、新経営陣は1975年、機械式クロノグラフの生産停止と製造設備の廃棄を指示した。

この命令に従わなかった時計師がいる。El Primeroの工房を率いていたシャルル・ベルモである。彼はEl Primeroの工具・治具・設計図・製造記録を密かに集め、ル・ロックルの工場の屋根裏(フランス語でgrenier)に壁で仕切って隠したと伝わる。発覚すれば職を失いかねない行為だった。

機械が再び日の目を見るのは1984年とされる。折しもロレックスが自動巻きクロノグラフ機構を求めており、El Primeroはその供給源となった。1988年に登場したデイトナRef. 16520は、El Primeroを基にしたキャリバー4030を積む。この関係は2000年頃まで続いたとされ、ゼニスの自社生産再開を支えた。Revivalが「原図のままの復刻」を掲げられるのは、ベルモが残した一次資料が現存するからである。

03

2019年、三部作の再生

Revivalシリーズは2019年、El Primero誕生50周年を機に始まった。最初の一本は、丸型ケースに青・グレー・アントラサイトの三色サブダイヤルを配したA386の復刻である。重なり合う三つのカウンターは、現在のEl Primeroの顔として知られる意匠だ。

同じ年、トノー型ケースのA384が続く。白文字盤に黒カウンターのパンダ配色で、ゼニスはこの37mmケースを1969年の設計図から起こした。当初はこの二本で50周年の復刻が完結したと受け止められていた。

三部作の最後の一本、A385が加わるのは2021年である。A384と同じトノー型ケースに、茶のグラデーション(スモーク)文字盤を組み合わせた一本だ。ゼニスはこのスモーク文字盤を業界初の試みのひとつと位置づけている。1969年のオリジナルは1970年の「オペレーション・スカイ」で、エールフランス機の脚部に固定されて大西洋を渡る耐久試験を経たと伝わる。

04

八角形の帰還

クロノグラフの復刻に続き、2022年、ゼニスは初代DefyをRevivalに迎える。八角形ケースに14面体ベゼル、面取りを効かせたエッジ、ゲイ・フレール製の「ラダー(梯子)」ブレスレット。1969年の製造図に基づく忠実な再現で、当初はブティック限定の250本の限定版として登場した。

初代Defyの意匠は、しばしば1972年のロイヤル オークに先立つ存在として語られる。一体型ブレスレットの高級スポーツウォッチという系譜の「祖型のひとつ」とみなす見方である。ただしジャンルの確立者という評価はロイヤル オークに与えられており、両者の関係は事実として慎重に扱うべきだ。Defy Revivalはその後、2023年に1971年のモデルを写したルビーレッド文字盤のA3691が加わり、初めて定番コレクションに組み込まれた。

05

忠実復刻という方法論の深化

Revivalは単なる懐古ではなく、方法論として深化してきた。2020年には、1970年の黒い試作機に想を得て、マイクロブラスト加工のチタンでA384の形を再構成した「Shadow」が登場した。忠実復刻で培った型を現代的な素材で再解釈する試みである。同じ2020年のA386「マニュファクチュール・エディション」は、ベルモが屋根裏に残した箱から見つかった未使用の試作文字盤に基づき、三色すべてを青でまとめた文字盤を再現した。一次資料への回帰をさらに進めた一本である。2026年には、退色した文字盤を思わせる茶系のトロピカル文字盤をまとうA384が加わっている。原図に忠実であろうとする姿勢と、現代へ接続しようとする意志。Revivalはその二つの軸の間で更新を続けている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Revivalを貫く設計思想は、解釈ではなく再現である。多くの復刻が現代的なアレンジを加えるのに対し、Revivalは1969年の製造図と寸法記録に立ち返り、当時の姿そのものを組み上げることを基本に置く。

その姿勢は寸法に表れる。A386は38mm、トノー型のA384とA385は37mm、Defyも37mm。直径肥大が進んだ時代にあって、Revivalはオリジナルのプロポーションを変えない。小ぶりなケースは、当時の設計を尊重した結果であると同時に、細い手首にも収まる現実的な寸法でもある。

意匠の継承も明快だ。A386の重なり合う三色カウンター、A384のパンダ配色、A385とDefyのグラデーション文字盤。これらは1969年の文字盤レイアウトをほぼそのまま踏襲する。インデックスの形状、日付窓の位置(多くは4時半)、針の造形に至るまで、原器との一致が優先される。ゲイ・フレール由来のラダーブレスレットも、当時の設計に倣って再現されている。

変えたものは限られる。風防はプレキシガラスからサファイアへ、夜光はトリチウムからSuper-LumiNovaへ置き換えられた。経年劣化を模した人工的なフェイク・エイジングは基本的に施さず、発表当時の新品の姿を再現する。これはRevivalの重要な判断である。2026年のA384 Tropicalのように、退色した色調を文字盤の色そのものとして選んだ例もあるが、それは傷や汚れを加える加工とは異なる。

機械の世代だけは現代のものだ。Chronomaster RevivalはEl Primero 400、Defy RevivalはElite 670を積む。初代では多くが裏蓋を閉じていたが、Revivalは展示用のサファイアケースバックを与え、機械を見せる。隠れていた当時の機構を、いまは正面から見せている。ここに、過去への忠実さと現代の価値観との折り合いが見える。

同時代の他社による復刻が、しばしば新解釈やサイズ拡大を伴うのに対し、Revivalは原図への忠実さを軸に据える点で輪郭が異なる。変えないことを設計思想とする姿勢が、このシリーズの核にある。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2019-現在
El Primero 400
3019 PHCの直系。Chronomaster系を駆動。
2022-現在
Elite 670
自動巻。28,800振動でDefy Revival系を駆動。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2019

A386復刻、シリーズ始動

A386
El Primero 50周年。丸型ケースで復刻が始動した最初の一本。
2019

トノー型パンダの復刻

A384
クッション型37mmケースにパンダ配色。設計図から起こした。
2020

試作資料からの再現モデル

A386 Manufacture Edition Shadow
屋根裏の試作文字盤を再現したA386と、チタンのShadow。
2021

三部作の完結、スモーク

A385
茶のグラデーション文字盤で1969年トリロジーが揃った。
2022

八角形Defyの帰還

A3642
14面ベゼルと300m防水の初代Defyを、ブティック限定250本で復刻。
2023

Defy Revivalの定番化

Defy Revival A3691
1971年のルビーレッド文字盤を写したA3691が初の定番モデルに。
2026

トロピカル文字盤のA384

A384 Tropical
退色を思わせる茶系の文字盤とラダーブレスでA384を再構成。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Introducing The Zenith Chronomaster Revival A386 Manufacture Edition 専門メディア · Fratello · 2026.10.12 閲覧 Fratello · 2026.10.12
  2. 02 専門メディア First Look: The new Zenith Chronomaster Revival A384 Tropical 専門メディア · Monochrome Watches · 2026.10.12 閲覧 Monochrome Watches · 2026.10.12
  3. 03 専門メディア Hands-On - The new Zenith Defy Revival A3642 (Live Pics & Price) 専門メディア · Monochrome Watches · 2026.10.12 閲覧 Monochrome Watches · 2026.10.12
  4. 04 専門メディア Hands-On - Zenith El Primero A384 Revival (Live Pics, Specs & Price) 専門メディア · Monochrome Watches · 2026.10.12 閲覧 Monochrome Watches · 2026.10.12
  5. 05 専門メディア Introducing - Zenith Chronomaster Revival A385 (Specs & Price) 専門メディア · Monochrome Watches · 2026.10.12 閲覧 Monochrome Watches · 2026.10.12
  6. 06 専門メディア Zenith Introduces the Chronomaster Revival “Shadow” 専門メディア · SJX Watches · 2026.10.12 閲覧 SJX Watches · 2026.10.12
  7. 07 専門メディア Zenith Introduces the Defy Revival A3691 専門メディア · SJX Watches · 2026.10.12 閲覧 SJX Watches · 2026.10.12
  8. 08 専門メディア Zenith Introduces the Final Remake of the Original, 1969 El Primero Trio 専門メディア · SJX Watches · 2026.10.19 閲覧 SJX Watches · 2026.10.19
  9. 09 専門メディア Zenith Chronomaster Revival A384 Tropical | INTRODUCING 専門メディア · Time+Tide · 2026.10.19 閲覧 Time+Tide · 2026.10.19
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

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