高振動への挑戦
ゼニスは1865年にジョルジュ・ファーブル=ジャコがル・ロックルで創業した時計製造所である。創業100年にあたる1965年に向け、同社は1960年代初頭から新型クロノグラフの開発に着手した。狙いは、クロノグラフ機構をモジュールとして外付けせず、機械の内部に一体で組み込むこと。さらにコラムホイール制御と毎時36,000振動 (5Hz) の高振動を両立させ、1/10秒の計測を機械式で実現することにあった。要求水準は高く、完成は当初目標から4年遅れ、1969年1月10日に発表される。スペイン語で「最初のもの」を意味するエル・プリメロの名は、自動巻クロノグラフの開発競争を意識したものとされる。もっとも、同年にはセイコー6139、ホイヤーらの共同開発によるキャリバー11も登場しており、どれが真の最初かは現在も議論が残る。ゼニスは記者会見で試作機を公開した点で先行したが、市販はキャリバー11が先んじたとも伝わる。