1969年、クォーツへの抵抗として
1969年は、ゼニスにとって二重の意味を持つ年である。世界初の自動巻きハイビートクロノグラフとして知られるエル・プリメロが発表され、同じ年に、もう一つの新機軸が静かに姿を現した。デファイである。当時、安価で正確なクォーツ時計が機械式時計の足場を脅かしつつあった。ゼニスはこれに対し、量産電子時計には真似のできない頑健さと際立った造形で応えようとした。その器が初代デファイ A3642だった。八角形のケースに14面のベゼルを重ねた角張った姿は、フランス語で金庫を意味する「コフルフォール」と渾名された。ゲイ・フレール社製の通称「ラダー」ブレスレットを備え、300m防水(30気圧)を確保している。鋼鉄製スポーツウォッチの先駆けの一つであり、一体型ブレスレットの高級スポーツウォッチとして、後のロイヤル オークに三年先んじていた。同年には600m防水のダイバーA3648も登場し、デファイは一つの時計ではなく、頑健さを軸とした一群として出発した。