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Sinn · Instrument Watches · 2023

556 F-4 / Japan

2023年、F-4ファントムIIの退役を称えて生まれた日本限定第二弾。ネイビー文字盤に8部隊のマークと赤い秒針を配した556

556.F-4.IIは、2023年にジンが日本市場へ投入した556シリーズの限定モデルである。愛称「ファントム」で知られるF-4ファントムII戦闘機の、航空自衛隊からの退役を称えた記念第二弾にあたる。2021年の第一弾556.F-4が黒文字盤にアラビア数字を採ったのに対し、本機はネイビー文字盤とバーインデックスを採り、新たにデイトを備える。直径38.5mmのステンレスケースにスイス製自動巻きSW200-1を収め、200m防水と減圧耐性を持つ。文字盤にはF-4を運用した8つの飛行隊の部隊マークが並び、赤い秒針が差し色となる。日本限定200本。

Ref. 556.F-4.II
発表年 2023
状態 現行品
限定 限定 200
コレクション Instrument Watches
カテゴリ パイロット
キャリバー SW200-1 a
ケース径 38.5 mm
防水 200 m
関連人物 ヘルムート・ジン / ロタール・シュミット
デイト
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.10
Case · ケース
素材 Stainless Steel
形状 Round
38.5 mm
厚さ 11 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
防水 200 m
Movement · ムーブメント
キャリバー SW200-1 a
タイプ Automatic
振動数 28,800 bph
石数 26 石
パワーリザーブ 38 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 Blue
インデックス Mixed
Sword
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

退役したファントムを腕に刻む

F-4ファントムIIは、航空自衛隊がF-4EJの名で1971年から運用した戦闘機である。半世紀にわたり防空の主力を担い、2021年までに日本のすべての機体が退役した。ジンは計測機器に出自を持つドイツのメーカーであり、操縦室の計器に通じる視認性の高いパイロットウォッチを得意とする。日本市場との結び付きは深く、このファントムの退役という航空史の節目を、腕時計という形で記録した。題材に選ばれたのは、ジンで最も親しまれる機械式の一つである556であった。直径38.5mmのステンレスケースに収まるこの小ぶりなパイロットウォッチは、過度な装飾を持たず、計器としての素性を色濃く残す。高価な専用機ではなく、入りやすい定番を土台に据えた点に、退役機への敬意を広く分かち合おうとする姿勢が見える。記念モデルの第一弾556.F-4は、退役の記憶が新しい2021年に登場している。

第一弾から第二弾へ

556.F-4.IIは、その続編として2023年に生まれた。第一弾は標準の556.Aを土台とし、黒文字盤にアラビア数字を配した100本限定であった。第二弾の本機は、バーインデックスを持つ素の556シリーズへ土台を移し、文字盤をネイビーに改めている。アラビア数字から線的なバーインデックスへの転換は、計器然とした556本来の簡潔さへ立ち返る選択であった。最大の機能上の違いはデイトの追加である。第一弾が時・分・秒の三針に徹したのに対し、本機は日付表示を備え、日常での実用度を一段引き上げた。限定本数も100本から200本へと倍増し、第一弾が示した需要の厚みを引き継いでいる。

物語を載せた556

本機の核心は、ジンらしい質実さの上に、特定の航空史を載せた点にある。視認性を最優先する素の556は、装飾を削ぎ落とした道具としての性格が強い。本機はその系譜にありながら、文字盤へ8つの飛行隊の記憶を呼び込み、語るべき物語を持つ一本へと姿を変えた。1枚の文字盤に8つもの公式部隊マークを同居させた例は珍しく、本機固有の性格を決定づけている。記念碑的な意匠と実用時計の骨格を両立させた点に、このRefの位置づけがある。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

556.F-4.IIの設計は、視認性に徹した素の556シリーズを土台としつつ、文字盤のあらゆる要素にF-4の意匠を織り込む点に特徴がある。下敷きとなったのは、第301飛行隊が運用末期に飛ばした特別塗装機436号機である。同機の側面には運用8部隊のマークが描かれており、その配列が文字盤へと写された。

文字盤色のネイビーは、この機体のパイロットブルーの差し色に由来する。赤い秒針は日の丸と機体の赤いラインを写したもので、北米でこのRefが「556 Phantom Fighter II RS」の名で流通したのは、この赤い秒針(RS=rote Sekunde)に基づく。白い秒針の黒文字盤であった第一弾556.F-4に対し、ネイビーと赤の対比は本機固有の表情をつくる。

インデックスにも仕掛けがある。バーインデックスは2種類の太さで構成され、これはF-4の機首に備わる「ピトー管」を模した造形である。文字盤の8か所にはF-4を運用した飛行隊の部隊マークが配され、残る位置にこのバーインデックスが置かれる。1枚の文字盤へ8つの公式部隊マークを収めた構成は珍しく、第一弾から受け継いだ本シリーズ最大の見どころである。インデックスと時分針には夜光処理が施され、暗所での視認性を確保する。

機構面では、スイス・セリタ製の自動巻きSW200-1を搭載する。毎時28,800振動 (4Hz)で駆動し、パワーリザーブは約38時間。装飾を競う機械ではないが、DIN 8309に準拠した耐磁性を備え、計器に出自を持つジンの実用思想に沿う。サファイアのシースルーバックからは、ファントムの公認キャラクター「スプーク」を印したローターが覗く。直径38.5mm・厚さ11mmのケースは200m防水と減圧耐性を持ち、パイロットウォッチとしての堅牢性を裏づける。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

記念の対象となったF-4ファントムIIは、航空自衛隊がF-4EJの名で1971年に運用を開始した戦闘機である。半世紀にわたり防空任務を担ったのち、2020年12月に最後の戦闘機部隊である百里基地第301飛行隊が運用を終え、2021年3月17日に岐阜基地でラストフライトを迎え、日本のF-4はすべて退役した。

ジンはこの退役を称えた記念モデルの第一弾556.F-4を、日本限定100本で2021年に投入している。本記事の556.F-4.IIは、その第二弾として2023年8月1日に発売された。

生産数は日本限定200本で、第一弾の倍に拡大している。端正な556シリーズをベースに、文字盤をネイビー、秒針を赤に改め、第一弾になかったデイトを新搭載した点が刷新の柱である。ムーブメントはスイス製自動巻きSW200-1を搭載する。北米では「556 Phantom Fighter II RS」の名で扱われた。

供給はステンレスブレスレットで行われ、8部隊マークとスプークのパッチを付したヘルメットバッグ、インテグレーションカウレザー1本が付属する。200本の限定枠は正規流通の早い段階で満たされ、生産期間中の仕様変更や追加生産は確認されていない。本機は単一ロットの限定生産として完結したRefである。

02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants