2006年、機械式という選択
2006年、セイコーは「メカニカル(Mechanical)」と銘打った新シリーズを日本市場で発表する。シリーズ名はそのまま「機械式」を意味した。世界初の量産クォーツ「アストロン」を1969年に世に送り出した同社が、改めて機械式へ立ち戻る意思表示でもあった。
ブランドの位置づけは明確だった。「機械式時計が全盛を誇った1950年代から1970年代にかけてセイコーが培った技を、最先端の技法で現代に蘇らせる」。当時のセイコーが残した最良の遺産を、現代の生産技術と素材で組み直す。それがメカニカルが掲げた目的である。
下地は前年に整っていた。2005年、セイコーは新しい中級ムーブメントとしてキャリバー6R15を発表する。1996年から続く7S26を改良したもので、秒針停止機能と手巻き機構を追加し、Spron 510合金製のヒゲゼンマイで毎時21,600振動 (3Hz)、約50時間のパワーリザーブを実現した。メカニカルの基幹キャリバーは、ここから始まる。