設計思想
1. 新世代化の最後に来た一色
新世代のデイトジャスト 31は、まず18ctゴールドの仕様から始まった。スチールと金を組み合わせるロレゾールは後から順に移行し、イエローとエバーローズが先行する。ホワイトロレゾールの278274が加わったのは2020年で、3色あるロレゾールのうち最後の移行となった。
同じ年の新作では、専門メディアの関心は刷新されたサブマリーナに集まり、デイトジャスト 31の追加は大きく扱われなかった。278274の紹介でも、前面に出たのは鮮やかな色の文字盤である。銀文字盤の本機は、その陰で系列の土台を担う仕様として加わったとされる。
2. 178274から受け継いだもの
本機の構成は、前任の178274とほぼ重なる。オイスタースチールのケースに18ctホワイトゴールドのフルーテッドベゼル、銀文字盤にバーインデックス、そしてジュビリーブレス。178274にも同じ組み合わせが用意されており、新世代への移行で構成そのものは変えられていない。
変わったのは、外からは気づきにくい部分である。ケースはケースサイドとラグの形が見直され、ムーブメントはCal. 2235からCal. 2236へ移った。パワーリザーブは約48時間から約55時間へ伸び、シリコン製のひげぜんまいが磁気や温度変化への耐性を高めた。顔立ちの連続性を守りながら中身を入れ替えるという、ロレックスが繰り返してきた世代交代の型をなぞっている。
3. 何も足さない側の端
WatchBase上では、278274に30を超える枝番が数えられる。ローマ数字、ダイヤモンドのインデックス、マザーオブパール、花柄モチーフと、文字盤の選択肢は幅広い。その中で本機は、色も宝石も加えない側の端に立つ。銀のサンレイ文字盤は周囲の金属と同系の色調を持ち、時計全体を一つの素材でまとめたように見せる。
同じ処方はサイズ違いの兄弟にも通じ、デイトジャスト 36の126234、41の126334、レディ デイトジャスト 28の279174が並ぶ。いずれもスチールのケースに、ホワイトゴールドのフルーテッドベゼルを組む。本機はこの顔立ちを31mmに収めた一本である。
系列内での直接の兄弟は、同じ文字盤をオイスターブレスで組む278274-0011である。ダイヤモンドベゼルを持つ278384RBRは、同じホワイトロレゾールで装飾に寄せた選択肢となる。2026年時点で、278274の後継Refは発表されていない。
意匠分析
ケースは31mmのオイスターケースで、ミドルケースはオイスタースチールの一体削り出しである。新世代でケースサイドとラグが再設計された。ロレックスは、側面とラグに走る光の反射がコンパクトなケースの輪郭を際立たせると説明する。ねじ込み式のリューズはツインロック(二重の防水構造)を備える。
ベゼルは18ctホワイトゴールド製のフルーテッドである。ホワイトロレゾールで金を用いるのはこのベゼルに限られ、リューズやブレスはスチールのままとなる。イエローやエバーローズのロレゾールがブレスの中駒にまで金を通すのとは対照的だ。ホワイトゴールドとスチールは色調が近く、素材の違いは色ではなく、細かな刻みが返す光の鋭さとして現れる。刻みの稜線を立てやすく、輝きを保ちやすい点が、ベゼルに金を用いる理由として挙げられることが多い。
文字盤はシルバーのサンレイ仕上げである。中心から放射状にブラシをかけて筋を刻み、色をPVDまたは電気めっきで載せ、薄いワニスで仕上げる。手首の角度で光の帯が動くため、単色の銀でも表情は一定にならない。インデックスは18ctホワイトゴールド製のバーで、針とともにクロマライトの夜光を持ち、暗所では青く光る。3時位置の日付窓にはサイクロップレンズが載る。
ブレスは5連のジュビリーで、本機ではすべてオイスタースチールで構成される。1945年のデイトジャスト誕生に合わせて作られたブレスであり、細かな駒が手首に沿ってしなやかに曲がる。留め具は外から見えないコンシールド式のクラウンクラスプで、ブレスは途切れずに一本の帯として続く。同じ文字盤の278274-0011はオイスタークラスプと約5mmの延長機構イージーリンクを備え、長さの微調整を優先した構成となる。
ムーブメントは自社製のCal. 2236である。毎時28,800振動 (4Hz)のテンポは前任のCal. 2235と変わらない。違いは調速部にあり、特許形状を持つシリコン製のSyloxiひげぜんまいと、パラフレックス耐衝撃装置を備える。精度認定はロレックス独自のSuperlative Chronometer(高精度クロノメーター)で、ケーシング後の日差-2〜+2秒を基準とする。
系譜と歴史
デイトジャスト 31の新世代は、2018年3月のバーゼルワールドで18ctゴールドの仕様として発表された。ケースサイドとラグが再設計され、この寸法に初めてCal. 2236が搭載された。翌2019年のバーゼルワールドでは、イエローロレゾールの278273とエバーローズロレゾールの278271が新世代に加わった。
2020年9月1日、ロレックスは公式サイト上で新作を公開し、その中にホワイトロレゾールの278274が含まれていた。個別に紹介されたのは、フルーテッドベゼルにミントグリーン、ダークグレー、白のラッカー文字盤を組む3本である。これに46石のダイヤモンドベゼルを持つ278384RBRが並んだ。ロレックスは同時に、この系列が18ctホワイトゴールドのインデックスまたはローマ数字を持つ多彩な文字盤を揃えると説明した。WatchBaseは、銀文字盤の本機とオイスターブレス版の278274-0011を、いずれも2020年の登場としている。
2022年には、アッズーロブルーの花柄モチーフ文字盤を持つ278274が加わった。24輪の花をサンレイ、マット、グレインの3種の仕上げで描き分け、各花の中心にダイヤモンドを置く文字盤である。オイスターブレスで発表されたこの仕様は、系列が装飾の側へ大きく踏み出した例となった。
本機固有の仕様変更は、2026年までに公式には告知されていない。2026年現在、278274-0012はロレックス公式サイトのカタログに掲載される現行品である。
出典
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