戦後のトリビュートとして
第二次大戦下、英国空軍 (RAF) の搭乗員は、支給品よりも自費で購入したロレックスのオイスターを好んで腕に巻いたと伝わる。創業者ハンス・ウイルスドルフはこの信頼に応える形で、戦後の1945年、空を主題とする一連のモデルを発表した。エアライオン、エアタイガー、エアジャイアント、そしてエアキング。四機種のうち現在まで生き残ったのはエアキングだけである。
初代の Ref. 4925 は、34mmのオイスターケースに手巻きムーブメントを収めた簡素な時計だった。防水機構と視認性の高い文字盤を備えるが、複雑機構は持たない。実戦用の航空時計ではなく、戦った将兵への敬意を込めた一本。その出自そのものが、後年まで続くエアキングの性格を決めた。飾らず、過度な主張をしない。この姿勢は半世紀以上にわたり受け継がれていく。