設計思想
1. SIHH 2018で示された、ロゴ・シリーズの転換点
2018年1月、ジュネーブで開催されたSIHH (Salon International de la Haute Horlogerie) において、パネライはルミノール・ロゴ系の新世代として6本のレファレンスを発表した。PAM00774はそのうちの一本である。ベース・ロゴ系の3本(PAM00773・PAM00774・PAM00775)とマリーナ・ロゴ系の3本(PAM00776・PAM00777・PAM00778)はいずれも44mmステンレス・ケースを共有し、新開発の自社製手巻Cal.P.6000を初搭載した。それまでベース・ロゴ系には、ETA 6497をベースとする改良ムーブメントが用いられてきた。本世代でその系譜から完全に離れ、自社設計の3日間パワーリザーブを得たことで、パネライはETAムーブメントを積む時計を作らなくなったと伝えられた。
2. ETA時代からの世代刷新
PAM00774の前身は、ETA 6497系を積んだ従来のルミノール・ベース・ロゴである。PAM00774世代では、ベッタリーニが手がけたヴァンドーム以前のルミノールに由来するケース構造と無垢の裏蓋を基本的に踏襲しつつ、心臓部をヌーシャテルの自社マニュファクチュールで作るCal.P.6000に置き換えた。一方で、サンドイッチ・ダイヤルではなく印刷主体のダイヤルを採用するという意匠的な判断は維持された。これは価格を据え置く狙いと、薄く平らな文字盤が初期パネライを想起させるという二つの観点から語られてきた選択である。
3. ブルーOPロゴという家族内での位置
ベース・ロゴ系3本のなかで、PAM00774が固有に持つのは黒文字盤と青のOPロゴの組み合わせである。PAM00773は同じ黒文字盤に白のOPロゴ、PAM00775は白文字盤に青のOPロゴとブラウンのストラップを組み合わせる。上下二本の矢印を組み合わせたOPロゴは1980年代に考案されたもので、海の上と下、二つの領域を表すとされる。後継世代となる2020年前後のロゴ・シリーズは、Super-LumiNovaの色や文字盤の作りを改め、PAM00774世代とは異なる路線を歩んだとされる。PAM00774は、印刷ダイヤル時代のロゴ・シリーズに自社製ムーブメントが組み合わされた、過渡期の世代を示すレファレンスである。
意匠分析
PAM00774の44mm磨き上げステンレス・ケースは、1943年に生まれ、アレッサンドロ・ベッタリーニが手がけたヴァンドーム以前のルミノール・ケースを正統に継ぐ。両側面のクッション形状と、12時側に大ぶりに張り出すクラウンガード、リューズを下から固定するレバー機構は、現代パネライの記号として広く知られる。ベゼル外周は緩やかに傾斜する研磨仕上げ、ケースサイドからラグ先端までも鏡面で統一され、クラウンガードのレバー部分のみがブラッシュ仕上げに切り替わる。防水は100mである。
文字盤はマット仕上げの黒地で、3・6・9・12時にアラビア数字を置き、その間に細長いバトン状のインデックスを配する。アラビア数字とインデックスはサンドイッチ構造を採らず、上面への印刷で表現される。サンドイッチ・ダイヤルを持たないことは価格帯を保つための判断であり、薄く平らな印刷文字盤はパネライ初期の素朴な意匠を想起させるとも語られてきた。針は文字盤の指標と寸分違わず揃えられ、同様に夜光塗料が施される。黒文字盤と青のOPロゴの組み合わせは、本機を兄弟Ref(PAM00773・PAM00775)から区別する固有の意匠であり、6時位置のロゴは上下二本の矢印を組み合わせた歴史的なシンボルを採用する。
ケースバックはスナップオン式の無垢仕上げで、ディスプレイバックは備えない。自社製Cal.P.6000を裏側から視認することはできない。ストラップは24mm幅のグレー・ファブリック製で、青のステッチを伴う。
系譜と歴史
2018年1月、ジュネーブで開催されたSIHH (Salon International de la Haute Horlogerie) において、PAM00774は5本の兄弟Refとともに発表された。同時発表は、ルミノール・ベース・ロゴ系のPAM00773・PAM00775、および9時位置にスモールセコンドを備えるルミノール・マリーナ・ロゴ系のPAM00776・PAM00777・PAM00778である。6本はいずれも44mmステンレス・ケースを共有し、新開発の自社製手巻Cal.P.6000を初搭載する世代として位置づけられた。PAM00774は同年中に正規流通に乗った。発売後、グレーのファブリック・ストラップと青いステッチという固有の組み合わせは大きな変更を受けずに継続生産された。
その後、パネライは新世代のルミノール・ロゴを投入し、2018年シリーズの実質的な後継とした。これに伴いPAM00774は正規ラインナップから順次姿を消し、現在公式カタログ上では新作扱いの掲載は確認できない。
出典
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