軍用原型 ― 1950年代のRef. 6152/1
Luminor 1950という名称は、1950年という特定の年に発表されたモデルを指すのではない。1950年代にOfficine Paneraiが、当時のMarina Militare(イタリア海軍)に納入した一連の軍用ダイバーズウォッチの意匠を、現代に翻案したケース設計へ与えられた呼称である。
原型となるのはRef. 6152/1。1955年頃にロレックスがパネライ向けに製造したとされ、現存する記録から判明している製造数は約500本に留まる。ロレックス製のオイスター型ケース、8mmの大型リューズ、当初はラジオミウム(ラジウム系発光体)を用いた文字盤を備え、1949年にパネライが特許を取得したルミノール(トリチウム系発光体)が普及するに従い、1960年代半ば頃から文字盤が順次置換されたと伝わる。Ref. 6152/1の意匠的特徴は、リューズの上を覆う半月形の保護ブリッジである。レバーを倒してリューズを押し当てる構造は、潜水時の不意のリューズ脱落と浸水を防ぐためにパネライが独自に開発し、特許化したものだ。