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LONGINES · SERIES

Conquest Heritage

コンクエスト ヘリテージ

ロンジンが初めて名を与えた1954年型コンクエスト。その意匠を範とする復刻の系譜。

01 — 概要 / SUMMARY

コンクエスト ヘリテージは、1954年に登場したロンジン初の商標登録コレクション「コンクエスト」の意匠を、現代に甦らせる復刻の系譜である。防水と自動巻を備えたドレスウォッチという初代の性格を受け継ぎ、ケースバックには水中の魚をかたどったメダルを残す。2014年の60周年記念復刻を経て、2024年の70周年には1959年型の中央パワーリザーブを甦らせ、現行では38mmと40mmの三針モデルが複数のダイアル色で展開される。スポーティな現行コンクエストとは異なる、静かな品格を担う系譜である。

02 — STORY · 物語

Conquest Heritage(コンクエスト ヘリテージ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1954年、名を与えられた最初の時計

1954年、ロンジンはスイスのベルンにある連邦知的財産庁に「コンクエスト」の名を登録した。4月3日に出願し、5月5日に登録されたとする資料がある。同社が製品に固有の名を与え、ひとつの「ファミリー」として束ねた最初の例である。それ以前、時計は個別の型番で売られるのが常であり、名を冠したコレクションという発想そのものが新しかった。「征服」を意味する名は、当時としては野心的な選択だった。コンクエストはその後のロンジンの製品戦略の出発点となり、後続の系譜を生む土台になった。コンクエスト ヘリテージが範とするのは、この初代の文字盤と、そこに込められた性格である。

02

防水と自動巻 — 初代が持っていた資質

初代コンクエスト(Ref. 9001)は、登場の時点で防水と自動巻を備え、耐衝撃性も与えられていた。心臓部の自社キャリバー19ASは、毎時18,000振動 (2.5Hz)・19石の自動巻であり、約39時間の動力を蓄えたとされる。ケースバックには水中を泳ぐ魚をかたどった金とエナメルのメダルがはめ込まれ、ロンジンの品質の証とされた。金無垢モデルでは、魚に代えて星座が刻まれた。同時代、オメガはコンスタレーションで似た領域 — 精度と格を兼ねたドレスウォッチ — を競っていた。コンクエストは、その対抗軸に置かれた一本として記憶される。

03

1959年、文字盤の中央に宿った残量計

1959年、コンクエストに独特な機構をもつモデルが加わる。自動巻Cal.292を積んだRef. 9028で、文字盤の中央で二枚の円盤が回り、ぜんまいの残量を示すパワーリザーブ表示である。巻き上げとほどけに応じて円盤が回り、指標の先が残りの時間を指す。少なくとも現代では、この表示を文字盤の中央に置くのはロンジンだけとされる。残量計は通常、小さな扇形の目盛りで脇に添えられる地味な機構だが、これを文字盤の主役へ引き上げた点に独創があった。この一本は、後年のヘリテージが復刻の主題に選ぶことになる。

04

復刻の方法論 — 60周年の忠実な再現

コンクエストの復刻で象徴的なのは2014年である。コレクション商標の60周年を記念し、初代をほぼそのまま再現した限定モデル「Conquest Heritage 1954-2014」が登場した。ケース径は初代に倣った35mm、風防には往年と同じアクリル樹脂が選ばれた。傷への強さでサファイアに劣るこの選択も、当時の姿を残すための判断だった。ステンレス(600本)のほか、イエローゴールド(銀文字盤と金色文字盤の各60本)とローズゴールド(60本)が用意された。文字盤の書体や植字インデックス、裏蓋のメダルまで初代に倣い、機械にはETA 2824-2をベースとするCal. L633(約38時間)を積む。「変えない」ことを徹底した復刻だった。

05

70周年、独立した系譜として

70周年にあたる2024年、ロンジンはコンクエスト ヘリテージを記念の枠を超えた常設の系譜として育て始める。まず1959年の中央パワーリザーブを甦らせたモデルが登場した。38mmケースに、シリコン製ひげぜんまいと最長72時間の動力を備えるCal. L896.5を収め、中央の二枚円盤を現代の機構で再現している。続く2025年には三針モデルが38mmと40mmで複数色に拡充された。ダイアルはブルー、グリーン、ブラウン、ブラック、シルバーが用意され、スティールブレスレットも選べるようになった。心臓部にはCal. L888.5を積む。スポーティなハイドロコンクエストや現行コンクエストとは別に、初代のドレス性を引き継ぐ位置に置かれている。記念碑から、選べる現行コレクションへ。それが現在のヘリテージである。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

コンクエスト ヘリテージの設計は、初代コンクエストの文字盤言語をどこまで保つかという一点に集約される。

最も分かりやすい継承は、ケースバックのメダルである。水中の魚をかたどった円形の意匠は、初代ではロンジンの品質の証とされた。三針モデルでは現在も、18金のメダルに彫りと手作業のエナメルで魚が描かれ、裏蓋を塞ぐ(過去の金無垢モデルでは魚に代えて星座が置かれた)。一方、中央パワーリザーブは裏蓋にサファイアを用い、機械を見せる側に立つ。

文字盤では、二重に面取りした三角形の植字インデックスが引き継がれる。表面はドーム状で、サンレイ仕上げの地にインデックスを支える同心円の輪を重ね、光の角度で二層の表情が出る。インデックスと針の色は文字盤ごとに変えられ、銀文字盤にはイエローゴールド色、黒・グリーン・ブラウンにはローズゴールド色、ブルーにはロジウム色が合わせられる。視認性と落ち着きを両立させ、要素を増やさないという判断が一貫している。

寸法と風防は、時代に合わせて変えられた数少ない部分である。初代と2014年の復刻は35mmにアクリル風防だったが、現行は38mmと40mmのケースにボックス型のサファイアを載せる。径の拡大は現代の好みへの歩み寄りであり、ボックス型のサファイアは往年のアクリルがもつ丸みを引き継ぎつつ、傷への強さを得るための選択といえる。寸法を別にすれば、見えているのはほぼ初代の顔である。

同時代の競合 — オメガ コンスタレーションをはじめとするドレスウォッチ群 — が装飾や複雑さで個性を主張したのに対し、コンクエストは派手にしない側に立ち続けた。70年を経てなお初代の顔が認識できるのは、この自制の一貫性による。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1954-1960年代
Cal. 19AS
自社自動巻。毎時18,000振動・19石の初代心臓部。
2014
Cal. L633
ETA 2824-2ベース。毎時28,800振動、約38時間。
2024-現在
Cal. L896.5
ETA製でシリコンひげ、25,200振動・72時間。
2025-現在
Cal. L888.5
ETA 2892系ベース。シリコンひげ、72時間。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1954

初代コンクエスト誕生

9001
防水・自動巻のドレスウォッチ。ヘリテージが範とする文字盤を確立。
1959

中央パワーリザーブ原型

9028
Cal.292搭載。二枚の回転円盤で残量を示す表示を文字盤中央に配置。
2014

60周年記念の忠実な復刻

Conquest Heritage 1954-2014
35mm・アクリル風防で初代を再現。SS 600本、金無垢各60本。
2024

中央パワーリザーブ復刻

L1.648.4 系
1959年型をCal. L896.5で現代化した70周年の一本。
2025

38・40mmの現行ヘリテージ

38mm 40mm 三針
38mm・40mmの三針を5色とスチールブレスへ拡充。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive