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JUNGHANS · SERIES

Form

フォルム

凹面の文字盤と四角い分目盛り。バウハウスの機能主義を現代の日常へ開いた、ユングハンスのミニマルウォッチ

01 — 概要 / SUMMARY

FORM(フォルム)は、2017年にユングハンスが発表した現代的なミニマルウォッチの系譜である。バウハウスの理念を受け継ぐmax billに対し、FORMはその機能主義を現代の日常へと翻訳した。凹面の文字盤、四角い分目盛り、サファイアクリスタルが共通の意匠言語となる。自動巻のFORM A、石英クロノグラフのFORM C、薄型石英のFORM Quarz、レディースのFORM Damenが主要な構成で、限定モデルではバウハウスや黒い森(故郷)を主題に掲げてきた。

02 — STORY · 物語

Form(フォルム)、これまでの軌跡

The story of this series
01

max billの隣に、もう一つの現代性を

ユングハンスとバウハウスの結び付きは、1950年代にマックス・ビルが手がけた時計に始まる。その遺産は現在もmax billコレクションとして生き続けている。だがシュタイム家が経営を担うようになってから、ブランドは過去の再発行にとどまらない解釈を模索していた。max billが歴史的な原型への忠実さを重んじるのに対し、より若い世代の日常に向けた選択肢が必要だと考えられた。FORMはその要請から生まれている。名称の「FORM」は、古典的な時計の「形(フォルム)」と、機能主義の標語「形態は機能に従う」の双方を含意するものと解せる。

02

2017年 — FORM AとFORM Cの始動

FORMは2017年のバーゼルワールドで初公開された。発表されたのはFORM AとFORM Cの二本である。Aは自動巻(Automatic)、Cはユングハンスがクロノグラフを指す語「クロノスコープ(Chronoscope)」の頭文字を採る。FORM Aはケース径39.1mmで、碗のように丸みを帯びたケースを持つ。ETA 2824-2を基にしたキャリバーJ800.2を搭載し、毎時28,800振動 (4Hz)、約38時間のパワーリザーブを持ち、機械は色付きのサファイアの裏蓋越しに見える。FORM Cは石英クロノグラフである。防水は50m。文字盤はマットなシルバーめっきで仕上げられ、時分針には夜光が置かれた。5分ごとの数字の一部は、ストラップの色に合わせて赤・ベージュ・青で差し色を入れた。max billが樹脂ガラスを用いるのに対し、FORMはサファイアクリスタルを採り、文字盤を平面ではなく緩やかな凹面とした。四角い分目盛りを立体的に刻む手法は、簡潔な文字盤に陰影を与えるFORM固有の意匠となった。

03

限定モデルが定義した主題 — バウハウスと黒い森

FORMの性格は、いくつかの記念モデルを通じて明確になっていく。2019年、バウハウス創設100年に際してFORM A Edition 100 Jahre Bauhausが1,000本限定で登場した。12の時字の配色は、バウハウスで教鞭を執ったヨハネス・イッテンの12色の色環に由来する。色環は青・黄・赤の三原色と、その混色による二次色・三次色からなり、文字盤では黄色が12時の位置に置かれた。FORMが単なる無装飾の時計ではなく、バウハウスの造形理論に連なる系譜であることを表明した一本である。2021年には創業160年を記念するFORM A Edition 160が限定で発表されたとされる。記念や題材を介して語るという手法は、この頃には明確なFORMの語法になっていた。

04

家族へと広がる — 新世代と現在地

2025年、FORMは意匠を更新する。マットな単色の文字盤、そして裏蓋の内側に印刷された鹿の頭部。鹿は本拠地である黒い森(シュヴァルツヴァルト)を象徴し、「故郷」の主題を造形へ落とし込んだものとされる。同年春には新しいFORM DamenとFORM Quarzが加わった。レディースはケース径34.1mm・厚さ7mm、石英のFORM Quarzは39.9mm径で厚さ7mmと薄い。自動巻・石英クロノ・薄型石英・レディースが揃い、FORMは一つの家族へと広がった。同年夏には、バウハウスがデッサウへ移転して100年を迎えたのを機に、全身黒のFORM A Bauhausと、色環の時字を持つFORM Quarz Bauhausが各1,000本限定で登場している。発進から日の浅いシリーズでありながら、FORMはユングハンスの現代的な入口として位置を固めつつある。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

FORMが最も大切にするのは、簡潔さの中に三次元的な奥行きを与えることである。一見すると無装飾の文字盤だが、表面は中央へ向けて緩やかに窪む凹面で、光の当たり方によって陰影が変わる。分目盛りは四角形を立体的に刻んで配され、平らに見える面に細やかな起伏を与える。この四角い目盛りは視覚的な錨としても働き、無地に流れがちな表情に拍り所を与えている。max billが樹脂ガラスとドーム状の文字盤で往年の柔らかさを再現するのに対し、FORMはサファイアクリスタルと凹面によって、より硬質で現代的な表情を選んだ。これがmax billとFORMを分ける最大の意匠的判断である。

ケースは側面から見ると緩やかに張り出し、薄く見せながら装着感を高める設計がとられる。ラグは短く、手首への収まりを優先する。視認性を重んじる姿勢も一貫しており、文字盤の縁まで届く大きな数字や指標、高いコントラストがそれを支える。針は細く、ロゴの主張も控えめで、読み取りを妨げる要素を極力削ぐ。差し色は5分ごとの数字などに小さく置かれるにとどまり、全体の静けさを壊さない。題材を語る図像はもっぱら裏蓋に置かれ、文字盤の側はあくまで簡潔に保たれる。

色や寸法を抑えるという自制は、ノモス・グラスヒュッテなど同時代のバウハウス系ミニマルウォッチとも共通する。ただしノモスが自社製ムーブメントと禁欲的な作りで輪郭を描くのに対し、FORMはETA系などの汎用キャリバーを用い、日常的な気軽さを優先する点に違いがある。「形態は機能に従う」という理念を、両者を対立させずに一つの面へ同居させること。それがFORMの設計上の答えであり、その一貫した姿勢こそシリーズの個性である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2017-現在
J800.2(ETA 2824-2 ベース)
FORM A用の自動巻。25石・毎時28,800振動。
2017-現在
J645系(石英クロノ)
FORM C用の石英クロノグラフ。
2025-現在
J645.36ほか(石英)
刷新されたFORM Quarz / Damen の石英。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2017

FORM A・FORM C 始動

FORM A FORM C
自動巻のFORM Aと石英クロノのFORM C。FORMの意匠言語を確立。
2019

バウハウス100年記念

FORM A Edition 100 Jahre Bauhaus
イッテンの12色の色環を時字に配した1,000本限定。
2021

創業160年の記念限定モデル

FORM A Edition 160
創業160周年を記念して発表された限定モデル。
2025-現在

新世代 — 意匠刷新と拡充

新世代 FORM FORM Quarz・Damen
鹿の裏蓋で故郷の主題を掲げ、石英・レディースを拡充。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive