メモボックスから潜水へ
ジャガー・ルクルトがアラーム付き腕時計メモボックスを発表したのは1950年である。会議や約束の時刻を音で知らせる実用機構で、名は「記憶の声」を意味する。のちに自動巻のアラームキャリバーも加わり、複雑な機構を日常の道具へと近づけた。
1950年代から60年代は、レジャーダイビングが急速に広がった時代である。潜水時間の管理は安全に直結し、各社が専用のダイバーズウォッチを世に問うた。ジャガー・ルクルトはこの需要に、自社の得意とするアラームで応える道を選ぶ。1959年のメモボックス・ディープシーは、潜水者へ浮上の頃合いを音で告げる、世界初のアラーム付き潜水時計とされる。ポラリスは、この発想の延長線上に生まれている。