認定が、名になった
1992年、Jaeger-LeCoultreは新しい品質認定とともに一本の時計を発表した。認定の名は「1000 Hours Control(1000時間管理)」。完成しケーシングを終えた時計を、約1000時間=およそ6週間にわたり試験する制度である。複数の姿勢での精度、パワーリザーブ、温度、磁気、防水を通しで確認する。ムーブメント単体ではなく、ケースに収めた完成品そのものを評価対象とした点が当時としては新しく、これに匹敵する管理体制は他になかったとされる。
最初にこの認定を冠した時計が、マスター・コントロールであった。初代はグランドタイユと呼ばれた37mmの三針デイト、Ref. 140.8.89。鏡面のオイスター調ケース、ドフィーヌ針、6・9・12時のアラビア数字。装飾を削いだ文字盤は、認定の厳格さを姿で語るものだった。認定の名がそのままコレクション名となった例は珍しい。マスター・コントロールは、性能の保証書を製品名に変えて生まれた系譜である。