1955年、磁場と戦う技術者のための時計
1944年、IWCは新たな技術部長としてAlbert Pellatonを迎えた。スイス・フランス語圏出身のこの時計師は、英国国防省の要求に応える軍用パイロットウォッチMark 11(1949年)の開発に携わり、ムーブメントを軟鉄製ケースで覆う反磁性技術を確立する。戦後、電気機器が家庭に普及し、磁場に晒される職業のための時計需要が生まれた。IWCはMark 11の技術を民生に応用する道を探っていた。
1955年、初代Ref. 666が発表された。ケース径36.5mm、軟鉄製のファラデーケージで毎メートルあたり80,000アンペア(A/m)の磁場に耐え、100m防水を備える。ムーブメントはPellaton設計のCal. 852および日付付Cal. 8521。毎時19,800振動、Pellaton自身の名を冠した両方向自動巻機構を搭載する。文字盤に小さく刻まれた稲妻のマークだけが、その特殊性をひそかに伝えていた。Rolex Milgauss(1956年)、Omega Railmaster(1957年)に先行し、Ingenieurは反磁性民生時計の起点となる。