1940年、観測時計B-Uhrの誕生
第二次世界大戦下のドイツ空軍は、長距離爆撃機の航法を支える正確な観測時計を必要としていた。航空省は仕様書Fl. 23883を発行し、A. ランゲ&ゾーネ、ラコ、シュトワ、ヴェンペとIWCの五社に観測時計(Beobachtungsuhr、通称B-Uhr)の製造を委託する。IWCは1940年、Ref. 431として約1,000本を空軍に納入した。
直径55mm、高さ16.5mmという破格の寸法は、グローブを装着したまま視認・操作する必要から導かれた合理である。手袋越しでもリューズを掴めるよう、コニカル型の巨大なオニオンクラウンが採用された。文字盤は黒地に大ぶりなアラビア数字、12時の三角インデックス、ソード型のルミナス針、インダイレクト式センターセコンドを持つBaumuster A仕様。心臓部のCal. 52 T.S.C.は懐中時計用キャリバーを腕時計用に転用した手巻きの大型ムーブメントで、製造された1,200本のうち1,000本がRef. 431に用いられたと伝わる。