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HUBLOT · SERIES

Spirit of Big Bang

スピリット・オブ・ビッグ・バン

円形のビッグバンを樽形ケースへ翻案した、複雑機構と先端素材の実験を受け止めるウブロのトノー。

45 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Spirit of Big Bang(スピリット・オブ・ビッグ・バン)は、ウブロが2014年に発表した樽形(トノー)ケースのコレクションである。円形のビッグバンが築いた積層ケース構造、ベゼルを留める6本のH型ビス、素材を融合させる設計言語を、横長のトノーへ翻案した。ビッグバン、キングパワー、クラシック・フュージョンに続く柱と位置づけられ、当初はゼニスのエル・プリメロを基にした自動巻クロノグラフから始まった。その後はムーンフェイズ、5日巻きトゥールビヨン、10日巻きのメカ10へと枝分かれし、チタンやキングゴールド、カラーセラミック、サファイアといった素材実験の器にもなっている。

02 — STORY · 物語

Spirit of Big Bang(スピリット・オブ・ビッグ・バン)、これまでの軌跡

The story of this series
01

円から樽へ

ウブロは1980年にカルロ・クロコが創業し、ゴムと金を組み合わせた一本から出発したブランドである。2005年のビッグバンで存在感を確立した同社が、その円形ケースから初めて本格的に踏み出したのが、2014年のSpirit of Big Bangだった。

トノー(樽形)は20世紀前半のアールデコ期に流行した形状で、円形ほど一般的ではない。ウブロはこの形を、ビッグバンの個性を保ちつつ一段と立体的な腕元の存在感へ翻案する器として選んだ。発表時、同社はこのシリーズをビッグバン、キングパワー、クラシック・フュージョンに続く「第四の柱」と紹介したと伝わる。

02

エル・プリメロを積んだ初号機

初号機はスケルトン仕様の自動巻クロノグラフだった。心臓部のHUB4700は、同じLVMH傘下のゼニスが擁する名機エル・プリメロを基にしている。毎時36,000振動(5Hz)の高振動と、ウブロ流に肉抜き・再仕上げした外観が特徴である。

ウブロは2010年に初の自社クロノグラフ「ウニコ」で機械の独立を果たしていたが、Spirit of Big Bangの初号機はあえて姉妹ブランドの資産を選んだ。ケースは前後の金属プレートで黒い樹脂を挟む積層構造で、ベゼルには6本のH型ビスが並ぶ。Ref. 601.NX.0173.LRのチタンを筆頭に、チタン+セラミックベゼル、キングゴールドが用意された。ケース幅は45mm(ラグを含めると51×45mm)、100m防水とされる。

03

複雑化と42mmへの展開

2016年頃、シリーズは初めてクロノグラフ以外の複雑機構へ踏み出す。Spirit of Big Bang Moonphase(Ref. 647.NX.1137.RX ほか)は、6時位置にムーンフェイズ、1〜2時位置にビッグデイトを備えた。搭載するHUB1770もゼニスのエリート系を基にした自動巻で、毎時28,800振動(4Hz)、約50時間のパワーリザーブを持つ。この世代でケース径は42mmへ落ち着き、より日常的に扱える寸法と、クロノグラフ以外の表情がシリーズに加わった。

04

素材としてのサファイア

2016年以降、ウブロはサファイアの成形と着色に磨きをかけてきた。その技術はSpirit of Big Bangにも及び、2017年頃には4つのサファイアブロックをチタンビスで締め上げた透明ケースのモデル(Ref. 601.JX.0120.RT、250本限定)が登場する。HUB4700クロノグラフの構造が、ケースごと透けて見える一本である。透明に続いて黒や黄など着色サファイアの派生も生まれ、Spirit of Big Bangは複雑機構と並んで「素材を見せる器」という性格を強めていく。

05

自社キャリバーの時代

転機は、自社設計のキャリバーの投入である。2019年頃のSpirit of Big Bang Tourbillon 5-Day Power Reserveは、手巻スケルトンのHUB6020を積み、約115時間(5日)のパワーリザーブを持つ。トノーの制約から時刻表示は右へ偏心し、トゥールビヨンとパワーリザーブ表示が同居する独特の盤面となった。

続く2020年、Spirit of Big Bang Meca-10(Ref. 614.NX.1170.RX ほか)は、ビッグバンで実績のある10日巻きメカ10をトノー用に再設計したHUB1233を搭載する。丸い主板を左右のブリッジとリング状の土台へ組み替え、機械をケース形状に合わせた。並列2つの香箱と、ラックとピニオンによるパワーリザーブ表示が見どころである。ゼニス由来の機械から出発したシリーズが、ここで自社らしい機構の器へと重心を移した。

06

現代の到達点

2025年、トゥールビヨン5DAYは赤・黒・黄・スカイブルーのセラミックとブラックサファイアへ色数を広げ、所有者が追加ベゼルを選べる仕組みも導入された。2026年にはSpirit of Big Bang Moonphase Impactが登場し、サファイアへ直接ダイヤモンドを留めるブランド初の技法や、希少金属オスミウムを採り入れている。樽形という一貫した骨格の上で、機構と素材の更新が今も続いている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Spirit of Big Bangの設計を貫くのは、円形のビッグバンが確立した「組み立ての文法」を樽形ケースへ移し替えるという発想である。前後の金属プレートで中央の樹脂やゴムを挟む積層(サンドイッチ)構造、ベゼルを留める6本のH型ビス、ケース側面の素材コントラスト、そしてゴムと金属・宝飾を同居させる「フュージョン」の思想。これらはビッグバンと共通しながら、シルエットだけが円から樽へ置き換わっている。だからこそ素材や複雑機構がどれほど変わっても、ひと目でSpirit of Big Bangと分かる。

機能面では視認性が基準に置かれる。スケルトン化された盤面でも、太い夜光針と立体的なアプライドインデックスが時刻の読み取りを担保する。ケースは緩やかに湾曲し、横長のトノーがもたらすラグ間の長さで、数値以上の腕元の存在感を生む。

このシリーズに固有の思想として、機械をケース形状に合わせる姿勢がある。HUB1233やHUB6020では、丸い機械をそのまま樽へ収めるのではなく、ブリッジやリングの構成を組み替えて樽の輪郭を満たした。透けて見えることを前提に、機械そのものを意匠の一部として設計する考え方である。

素材は意匠の中心にある。色を安定させるためプラチナを加えたキングゴールド、金とセラミックを融かしたマジックゴールド、着色セラミック、カーボン、そして透明・着色のサファイア。色や装飾を抑えることで個性を保つ時計とは逆に、Spirit of Big Bangは素材表現の振れ幅そのものを個性とする。変わらないのは骨格、変わり続けるのは素材という構図である。

同時代の対比では、樽形・スケルトン・技術志向という点でリシャール・ミルが引き合いに出される。一方で家の中では、円形のビッグバンが基準点であり続ける。Spirit of Big Bangは、その2つの軸の間に、樽形ならではの居場所を築いている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2014-現在
HUB4700
ゼニスのエル・プリメロ由来。毎時36,000振動(5Hz)。
2016-現在
HUB1770
ゼニス・エリート系の自動巻。毎時28,800振動(4Hz)。
2019-現在
HUB6020
自社の手巻スケルトン・トゥールビヨン。約115時間。
2020-現在
HUB1233
自社手巻メカ10。並列2香箱で10日巻き。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2014-現在

クロノグラフ初号機

601.NX.0173.LR
トノーケースの起点。エル・プリメロ系HUB4700を積む45mmクロノ。
2016-現在

ムーンフェイズ

647.NX.1137.RX
42mmへ縮小し、ムーンフェイズとビッグデイトを加えた世代。
2017-現在

サファイア

601.JX.0120.RT
透明サファイアの一体ケースをシリーズに導入した節目。250本限定。
2019-現在

トゥールビヨン5DAY

645系
自社設計の手巻スケルトン・トゥールビヨン、約115時間巻き。
2020-現在

メカ10

614.NX.1170.RX
10日巻きの自社手巻HUB1233をトノー専用に再設計。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive