ビッグバンを増幅する
2005 年に登場したビッグバンは、異素材の組み合わせという発想でウブロを一躍人気ブランドへ押し上げた。その勢いのなか、2008 年にウブロは LVMH の傘下に入る。潤沢な資源を得たブランドが次に向かったのは、ビッグバンの設計言語をさらに極端へ振り切ることであった。
2009 年、キングパワーが発表される。ケース径は 48mm。当時のウブロでも最大級の寸法であり、厚みも増した重厚な造形である。ビッグバン由来のポートホール(舷窓)を思わせる円形ケースに、頭部を立体的に成形した H 型ビスを配し、ベゼルとケースを幾層にも積み重ねるサンドイッチ構造を強調した。「大きく、強く、目立つ」という方向性を、ためらいなく選び取った世代である。
初期のキングパワーは、外注ベースの自動巻クロノグラフ HUB4100 系を積んでいた。ビッグバンと同じ路線の機械であり、この時点では機械そのものがまだ主役ではなかった。