本文へ
HUBLOT · SERIES

Big Bang

ビッグ・バン

2005年、素材の対比とむき出しの構造で、ラグジュアリースポーツの語法を一変させたクロノグラフ

44 mm
01 — 概要 / SUMMARY

ビッグ・バンは、2005年にウブロが発表したクロノグラフのシリーズである。1980年の初代ウブロに由来する、異素材を重ねる「フュージョン」の思想を、サンドウィッチ構造のケースと大ぶりなサイズで増幅した。鋼やゴールドにセラミック、ラバーを組み合わせる手法は、復刻が主流だった当時の業界に異物として迎えられた。現在はオリジナル、自社製ムーブメントを擁するウニコ、一体型ブレスのインテグラル、手巻のメカ-10などへ枝分かれし、ウブロの旗艦であり続けている。

02 — STORY · 物語

Big Bang(ビッグ・バン)、これまでの軌跡

The story of this series
01

2005年、静かな業界に投じられた一石

2000年代半ばの時計業界は、各社が自社の文書庫を掘り起こし、往年の名作を復刻することに傾いていた。意匠の語彙は親しみやすく、変化は穏やかだった。そこに2005年のバーゼルワールドで投じられたのがビッグ・バンである。ジャン-クロード・ビバーの指揮のもと、ウブロは鋼やローズゴールドにセラミック、ケブラー、ラバーを重ねた44.5mmのクロノグラフを発表した。発表と同時に賛否を呼び、その年のジュネーブ・グランプリでデザイン賞を受けている。

初代のRef. 301.SB.131.RXは、突如現れた異形ではない。丸いベゼル、むき出しのビス、ラバーストラップという要素は、1980年にカルロ・クロッコが手がけた初代ウブロにすでにあった。ビバーはその素材を組み合わせる発想を受け継ぎ、より大胆なケース構造へと翻訳した。心臓部にはバルジュー/ETA 7750をベースとするHUB44を据え、ラ・ジュー・ペレと協業して仕立てたとされる。

02

フュージョンを素材の戦場へ

ビッグ・バンの個性は、まず素材に現れた。2006年には全身を黒で覆う「オールブラック」が登場し、見えにくさをあえて意匠とする発想を示した。続いてウブロは色付きセラミックの開発に踏み込み、2013年には赤いセラミックを実現したと公表している。

最も象徴的なのが2011年のマジックゴールドである。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)との共同で、炭化ホウ素にゴールドを浸透させ、傷がつきにくい18Kゴールドをつくり出した。硬度はおよそ1,000ビッカースに達し、世界初の引っかき傷に強いゴールドと位置づけられた。素材そのものを発明する姿勢が、このシリーズの核に据えられていく。

03

ウニコ — 機械を「見せる」へ

調達ムーブメントへの批判に対して、ウブロは自前のキャリバーで応えた。2010年、最初の自社製ムーブメントであるウニコ(HUB1240 / 1241系)を発表する。コラムホイールとダブルクラッチを文字盤側に配し、フライバック機能を備えた毎時28,800振動 (4Hz) のクロノグラフであり、約72時間のパワーリザーブを持つ。機構を裏に隠さず正面から見せる設計は、ムーブメントを意匠の一部とする宣言だった。

2016年には別の方向の自社製も加わる。手巻のメカ-10(HUB1201)は、2本の並列香箱で約10日間の駆動を実現し、地板を骨格化して機械を露出させた。クロノグラフ一辺倒だったシリーズに、機械式の表現を広げる一手となった。

04

一体型ブレスという回答 — インテグラル

2020年、ビッグ・バンは15周年を一体型ブレスレットで迎えた。Ref. 451.NX.1170.NXに代表されるインテグラルは、ケースから最初のコマまでを途切れなく連ねる初の試みで、チタン、キングゴールド、セラミックといった単一素材で仕立てられた。樹脂インサートを廃し、プッシャーは2005年の角張った造形に立ち返っている。

一体型ブレスのラグジュアリースポーツは、ジェラルド・ジェンタが手がけたロイヤルオークやノーチラスが切り開いた領域である。ウブロはそこへ追随するのではなく、より角の立った構築的な造形と素材で輪郭を引いた。模倣ではなく、ビッグ・バンの語法を一体型へ翻訳する選択だった。

05

20年の到達点 — 記念と再設計

2025年、ウォッチズ&ワンダーズでビッグ・バン20周年エディションが披露された。初代の積層ケースとつまんだようなラグ、ローレット加工のベゼルを現行のウニコと組み合わせる5本の限定で、Ref. 431.NM.1337.RXなどがこれにあたる。過去の意匠と現在の機械を「融合」させる、フュージョンの理念そのものを記念にした構成である。

翌2026年には、ビッグ・バン リローデッドが続く。ウニコを内側から再設計し、文字盤の開口からコラムホイールと振動するクラッチをのぞかせる44mmで、機構を主役に据えた。素材から始まったシリーズは、20年を経て機械そのものを語る段階へと進んでいる。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ビッグ・バンの設計を貫くのは、ケースを層として積み上げる「サンドウィッチ構造」である。ベゼル、ケースミドル、裏蓋を別々の部材として重ね、側面に断面を見せる。中央のケースには張り出した「耳」状の造形があり、6本のH字ビスがベゼルを貫いて締める。要素を隠さず、組み立ての論理を表に出すことが、このシリーズの基本姿勢といえる。

素材は装飾ではなく、設計の主題そのものである。鋼とゴールド、セラミックとラバー、カーボンといった性質の異なる素材を対比させ、その質感差を意匠の核に据える。ケース側面の樹脂インサートも、色と質感のコントラストを生む構成要素として扱われてきた。マジックゴールドやキングゴールド、色付きセラミックのように、素材を自ら開発して投入する点に、このシリーズの一貫した思想が表れている。

「見せる」という発想は、外装から機械へと広がった。むき出しのビスで構造を見せたのと同じ論理で、ウニコは機構を文字盤側に配し、コラムホイールやクラッチを正面から眺められるようにした。機械を裏に隠さない設計は、ビッグ・バンが何を価値とするかをそのまま映している。

変えなかったものも明快である。丸いベゼルと6本のビス、積層ケース、ラバーストラップ、そして大ぶりなサイズ。これらの組み合わせは20年を通じて保たれ、素材やサイズが変わっても一目でビッグ・バンと分かる輪郭を支えている。

同時代のラグジュアリースポーツがジェンタ流の端正な一体型ブレスや控えめな復刻へ向かうなかで、ビッグ・バンは大きさと素材の対比、構造の露出をあえて選んだ。派手さを抑えるのではなく、構築の力強さを前面に出す。その態度こそが、このシリーズの輪郭を競合と分けている。ストラップを工具なしで交換できるワンクリック機構も、使う場面での自由度を意匠に織り込んだ判断である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2005-2025
HUB44 / HUB4100 系
バルジュー/ETA 7750をベースとした調達クロノグラフ。
2010-2018
UNICO HUB1240 / 1241 系
初の自社製フライバック、機構を文字盤側に配置。
2016-現在
MECA-10 HUB1201
手巻・10日巻、2香箱のスケルトン。
2018-現在
UNICO 2 HUB1280
薄型化し42mmケースに対応した第2世代。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2005-2009

ビッグ・バン オリジナル

301.SB.131.RX
鋼やゴールドに樹脂・ラバーを重ねた44.5mmで業界に衝撃を与えた。
2010-2019

ビッグ・バン ウニコ世代

411.NX.1170.RX
自社製フライバックを文字盤側に露出させた45mm世代。
2020-2024

ビッグ・バン インテグラル

451.NX.1170.NX
初の一体型ブレスを備えた42mm単一素材ケース。15周年。
2025

20周年エディション

431.NM.1337.RX
初代の意匠とウニコを融合した43mmの記念限定。
2026-現在

ビッグ・バン リローデッド

Big Bang Reloaded
ウニコを再設計し、機構を主役に据えた44mm世代。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive