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GLASHüTTE ORIGINAL · SERIES

Lady Serenade

レディ・セレナーデ

メンズの縮小版でも宝飾品でもなく、女性のために一から設計された自社製機械式という選択。

01 — 概要 / SUMMARY

レディ・セレナーデは、2007年に発表されたグラスヒュッテ・オリジナルのレディースコレクションを代表する機械式ウォッチである。直径36mmのラウンドケースに自社製自動巻きキャリバー39-22を収め、スワンネック緩急調整やスケルトナイズドローターをサファイアバックから見せる。多くの女性用ウォッチがクォーツやメンズモデルの転用に頼るなか、装飾を抑えた端正なドレスウォッチとして本格的な時計製造を貫いた点に独自性がある。2024年にはムーンフェイズを備えた小径のセレナーデ・ルナが加わり、クッション型のパボニーナと並んで、セレナーデ系の女性向けラインを形づくっている。

02 — STORY · 物語

Lady Serenade(レディ・セレナーデ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

女性用時計に、本物の機械式を

グラスヒュッテ・オリジナルが現在の姿になったのは1990年、ドイツ再統一の前後である。2000年にスワッチグループの傘下に入り、自社製ムーブメントを軸とするマニュファクチュールとしての体制を固めていった。その整備が一段落した2000年代後半、ブランドは一つの空白に目を向ける。女性用ウォッチである。

当時、高級時計の女性向けモデルはクォーツか、宝飾を主役に据えたジュエリーウォッチが主流だった。機械式であっても、メンズモデルを小さくしただけの設計が少なくない。グラスヒュッテ・オリジナルはここで、女性のために設計した機械式という方針を選ぶ。2007年に発表されたレディースコレクションがその答えであり、その中核に置かれたのがレディ・セレナーデである。

セレナーデ(小夜曲)という名のとおり、過度な主張を避けた端正なラウンドのドレスウォッチ。心臓部には自社製自動巻きキャリバー39-22が収まる。スワンネック緩急調整やスケルトナイズドローターといった、グラスヒュッテ仕立ての仕上げを、女性用の小さなケースでも省かなかった。

02

36mmラウンドという基準形

レディ・セレナーデの輪郭は、直径36mm・厚さ約10.2mmのラウンドケースで定まっている。緩やかにカーブしたケースは手首になじみ、防水性能は50m。潜水のためではなく、日常を過ごすための数字である。

文字盤は白や淡いブルーのマザー・オブ・パール、あるいはシルバーやブラックのサンレイ仕上げ。アプライドのローマ数字やインデックスが手作業で取り付けられ、6時位置にはスモールデイトが置かれる。日付ディスクの色は文字盤の濃淡に合わせて整えられ、針はローズゴールドまたはロジウムで仕上げられる。秒針の尾部に添えられた無限大(∞)のモチーフは、このシリーズの控えめな署名である。

BaselWorld 2012では文字盤意匠が刷新され、現行へとつながる世代が確立した。リューズにはサファイアカボションまたはブリリアントカットダイアモンド、ベゼルには52石のダイアモンドを留めた仕様も用意される。かつてはやや角を帯びたクッション型ケースの「カレ(Karree)」も併売されていたが、こちらは現在カタログから外れている。

03

「縮小版」ではないという思想

グラスヒュッテ・オリジナルには、ムーンフェイズを備えたパノマティックルナという人気の女性用モデルもある。ただしこちらは、メンズのパノマティックルナーを小径化した設計と位置づけられている。レディ・セレナーデの立ち位置は、こことは異なる。

メンズの寸法や機構を縮めるのではなく、最初から女性の手首を前提に組み立てる。36mmという控えめなサイズ、装飾を盛り込みすぎない文字盤、ダイアモンドをあくまで差し色にとどめる判断。派手にしないという選択の積み重ねが、結果としてこのシリーズの輪郭を保ってきた。

機械式と高級な仕上げを犠牲にしない一方で、見せ方は抑制する。サファイアクリスタル製ケースバックから自社製ムーブメントを覗かせるのは、宝飾ではなく時計であることの宣言でもある。

04

2024年、セレナーデ・ルナという拡張

セレナーデの名が新しい局面を迎えたのは2024年である。この年、ブランドは32.5mm径のセレナーデ・ルナを発表した。8.9mmの薄いケースに、ムーンフェイズを統合した自社製自動巻きキャリバー35-14を収める。シリコン製ひげぜんまいと約60時間のパワーリザーブを備え、6時位置の開口部に月を浮かべる構成である。

注目すべきは、これがメンズの縮小ではなく、当初から女性用として開発されたムーンフェイズだという点だ。パノマティックルナとは設計の出発点が異なる。2025年には4モデルが追加され、その後ブルーのマザー・オブ・パールを纏うスカイライン・ブルーも続いた。セレナーデは単一モデルの名から、女性向けラインを束ねる名へと広がりつつある。

05

セレナーデ系の現在地

現在のレディ・セレナーデは、36mmラウンドの自動巻きという基準形を保ったまま、文字盤色や素材、ダイアモンドの有無で幅広く展開している。傍らには、ムーンフェイズのセレナーデ・ルナ、そして1920年代のクッション型に着想したパボニーナが並ぶ。

これらはパノマティックルナとともに、グラスヒュッテ・オリジナルのレディースコレクションを構成する。派手な世代交代で語られるシリーズではない。むしろ、女性用に本格的な機械式を据えるという2007年の判断を、静かに更新し続けている系譜だと言える。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

レディ・セレナーデの設計思想は、変えなかったものの輪郭にこそ表れている。

機能面の中心は、直径36mm・厚さ約10.2mmのラウンドケースである。緩やかに湾曲したケースは小ぶりな手首にも収まり、操作しやすいリューズと50m防水が日常の実用を支える。ここでの防水は潜水のためではなく、装いを選ばず身につけられるための備えである。ケースバックはサファイアクリスタルとされ、自社製ムーブメントの仕上げを見せる。時計の中身を隠さないこと自体が、このシリーズの意匠の一部になっている。

意匠言語は、視認性と手仕事の痕跡を両立させる方向にある。白や淡いブルーのマザー・オブ・パール、サンレイ仕上げのシルバーやブラックといった文字盤に、アプライドのローマ数字やインデックスが手作業で据えられる。6時位置のスモールデイトは日付ディスクの色を文字盤に合わせ、外周には真珠を連ねたようなドット装飾が回る。秒針の尾部の無限大(∞)モチーフ、そしてケースバックから覗くスワンネック緩急調整やダブルGのスケルトナイズドローターは、世代をまたいで受け継がれる細部である。スワンネック構造自体、グラスヒュッテの時計師が古くから用いてきた緩急調整の手法に連なる。

そして、このシリーズを最も特徴づけるのは抑制の判断である。サイズは36mmにとどめ、複雑機構を詰め込まず、ダイアモンドは差し色として扱う。全面をパヴェで覆うジュエリーウォッチとは、価値の置きどころが異なる。グラスヒュッテ・オリジナル自身の女性用モデルと比べても輪郭は明瞭だ。メンズを小径化したパノマティックルナ、クォーツのクッション型パボニーナに対し、レディ・セレナーデはあくまで女性のために設計された機械式のラウンドという立ち位置を保つ。

ラウンドケース、6時位置の日付、緩やかなカーブを描く数字、無限大の秒針、そして惜しまず見せる仕上げ。これらの組み合わせが、世代を重ねても認識できるセレナーデの表情を支えている。2024年のセレナーデ・ルナが当初から女性用として設計されたことも、この思想の延長線上にある。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2007-現在
Cal. 39-22
自社製自動巻き。6時位置にスモールデイト、スワンネック調整。
2024-現在
Cal. 35-14
ムーンフェイズ統合の小径自動巻き。シリコンひげぜんまい採用。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2007-2011

初代レディ・セレナーデ

1-39-22 系
Lady Collectionの一員。36mmラウンドの自社製自動巻きの初代。
2012-現在

意匠刷新後の現行世代

1-39-22 系
文字盤意匠を一新。MOPやダイヤベゼル等で多彩に展開する基準形。
2024-現在

セレナーデ・ルナの追加

1-35-14 系
32.5mmにムーンフェイズを統合。当初から女性用として開発。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 公式 Serenade Luna 1-35-14-03-02-14 - Glashütte Original 公式 · Glashütte Original · 2026.08.15 閲覧 Glashütte Original · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア Glashütte Original Serenade Luna - WATCH REVIEW 専門メディア · Escapement Magazine · 2026.08.15 閲覧 Escapement Magazine · 2026.08.15
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive