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BREITLING · SERIES

Chronomat B01 44

クロノマット B01 44

ブライトリングを一貫製造へ導いた、自社初キャリバーB01を宿す44mmクロノグラフ

44 mm
01 — 概要 / SUMMARY

クロノマット B01 44は、ブライトリングが2009年に発表した44mm径のクロノグラフである。同社初の一貫製造ムーブメント、キャリバーB01を初めて宿した一本であり、外部供給に依存してきたブランドが製造元へ踏み出す節目となった。意匠の源流は、1984年に再生したパイロット用クロノマットにある。2011年にクロノマット44へ改称し、GMTなどの派生を広げたのち、2020年の全面刷新を経て、現行はセラミックを多用するスーパークロノマット B01 44(UTC版を含む)へと引き継がれている。回転ベゼルのライダータブと高い視認性を軸とする、実用志向の系譜である。

02 — STORY · 物語

Chronomat B01 44(クロノマット B01 44)、これまでの軌跡

The story of this series
01

「クロノマット」という名が背負うもの

クロノマットの名は、1941年に広告へ登場した計算尺付きクロノグラフにさかのぼる。chronograph と mathematics を掛けた造語であり、回転ベゼルの目盛で乗除算を行う発想は、のちのナビタイマーへと受け継がれた。ただし現在のクロノマットの意匠は、この初代とは直接つながらない。

設計言語の起点は1984年にある。1979年に経営権を得たアーネスト・シュナイダーは、自身も飛行家であり、1983年にイタリア空軍のアクロバット飛行隊フレッチェ・トリコローリ向けの時計を開発した。ブライトリング公式の説明によれば、隊員の風防がコックピットの天蓋枠に当たって傷つくのを見たシュナイダーは、ベゼル上に四つの突起を立てて風防を守る構造を考案したと伝わる。これが「ライダータブ」である。翌1984年、創業100周年に合わせて市販化されたクロノマットは、このタブと円筒リンクの「ルロー」ブレスレットを備え、石英全盛の時代に機械式クロノグラフを押し出した。

02

2009年、自社製ムーブメントという選択

長くブライトリングは、ETAやヴァルジューといった外部供給の機械を磨き上げて使ってきた。クロノマットも例外ではなく、世代によってはヴァルジュー7750系を積んでいた。その構図を変えたのが、2009年のクロノマット B01である。

キャリバーB01は、同社が初めて設計から製造まで自前で完結させたクロノグラフムーブメントだった。開発は2004年に始まり、2006年にCOSCへ送られ、約5年を経て市販に至った。コラムホイールと垂直クラッチを備え、毎時28,800振動 (4Hz)、約70時間のパワーリザーブ、47石。リセットハンマーの自動調心機構と、使用者側で歩度を微調整できる機構の二つで特許を取得している。

このムーブメントを最初に宿した一本が、Ref. AB0110である。発表当初は「クロノマット B01」、ほどなく「クロノマット01」と呼ばれた。ケース径は資料によって43.5mmとも44mmとも記されるが、実質は同一である。ステンレススチール版は500m防水を確保し、クロノグラフとしては高い防水性能を備えていた。発表はブライトリング125周年と重なり、組み立て業者から製造元への移行を象徴する節目となった。

03

クロノマット44への改称と派生の広がり

2011年、この時計は「クロノマット44」へと名を改めた。ケースは変わらず、文献上の表記が44mmへ統一された。文字盤は4時半寄りに日付、三つのインダイアルを配し、リーフ内側にタキメーターを刻む。ブレスレットはルローではなく、幅広の「パイロット」ブレスが組み合わされていた。1984年の象徴だったルローは、この世代では採用されていない。

クロノマット44は、単一モデルにとどまらず複数の派生へ枝分かれした。GMT機構を加えたクロノマット44 GMTは、B01をベースにGMTモジュールを載せたキャリバーB04を搭載する。黒色被膜をまとうレイヴン (Ref. MB0111)、エアボーン (Ref. AB0115) など、外装やテーマを変えた版も加わった。44mmという寸法と、視認性を優先した三つ目のレイアウトは、この時期のブライトリングを代表する顔のひとつになった。

04

2020年、全面刷新とルローの帰還

2017年、ブライトリングはシュナイダー家から投資家グループへ売却され、IWC出身のジョルジュ・ケルンがCEOに就いた。新体制は2020年、クロノマットを全面的に描き直す。中心となったのはケース径を42mmに収めたクロノマット B01 42 (Ref. AB0134) で、1984年型の短いラグや「玉ねぎ」型のリューズといった意匠を呼び戻した。

この刷新で最も象徴的だったのが、ルローブレスレットの復活である。長く円筒リンクのブレスは姿を消していたが、ケルン体制はこれを意匠の核として再導入した。先端をやや平らに整え、つや出しを施した現代的な仕立てだが、由来は明確に1984年型にある。直前の世代が44mm×約16.95mmと厚かったのに対し、刷新版は42mm×15.1mmと寸法を抑え、防水は200mとした。フレッチェ・トリコローリの記念版 (250本限定) も用意され、シリーズの来歴が改めて前面に置かれた。

05

スーパークロノマット B01 44 ― 44mmの現在地

42mmの刷新からおよそ1年後の2021年、44mm径の系譜は「スーパークロノマット B01 44」(Ref. AB0136) として再構成された。ベゼル、クロノグラフプッシャー、リューズにセラミックを用い、シリーズ中で最も押し出しの強い一本に位置づけられている。ムーブメントは引き続きキャリバーB01、防水は200m、厚さは約14.45mm。第二時間帯をブレスレット内蔵のクォーツUTCモジュールで示すUTC版も派生した。スチール、スチール×レッドゴールド、18Kレッドゴールド (Ref. RB0136) と素材の幅も持つ。

2026年には、クロノマットがふたたび刷新された。ただし対象はクロノマット B01 42、オートマチック B31 40、オートマチック36の三本柱で、ケースとブレスの一体感を高めた完全一体型へ移行している。44mm径はこの更新には含まれておらず、現行の44mmは2021年のスーパークロノマット B01 44が担い続けている。専門メディアは、44mm版の刷新を今後の課題と見ている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

クロノマット B01 44の設計を貫くのは、「計器としての読みやすさ」と「ベゼルの実用」という二つの原則である。三つのインダイアルは時・分・秒のクロノグラフ情報を分担し、太い針と立体的なインデックスに夜光を載せて、視認性を最優先する。装飾よりも判読性を取るこの姿勢は、パイロット用計器という出自に根ざしている。

シリーズの外観を決定づけるのは、回転ベゼル上の四つのライダータブである。12・3・6・9時位置に立つ突起は、もともと風防を保護する目的で生まれた。うち二つは外して反転でき、ベゼルをカウントアップとカウントダウンの双方に使える。手袋をはめた手でも操作しやすいこの突起は、機能から導かれた造形でありながら、遠目にもクロノマットと分かる視覚的な錨にもなっている。「玉ねぎ」と呼ばれる溝付きの大ぶりなリューズも、操作性と外観の両面で一貫した記号として残された。

一方で、この系譜は「変えなかったもの」と「変えたもの」を明確に持つ。通底するのは、自社製キャリバーB01という心臓と、ライダータブのベゼル、そして判読を優先した文字盤構成である。対して、ブレスレットは大きく揺れた。1984年型を象徴した円筒リンクのルローは、初代B01世代(2009〜2018年)では採用されず、幅広のパイロットブレスが用いられた。ルローが戻るのは2020年の全面刷新以降で、44mm系では2021年のスーパークロノマット B01 44がこれを受け継ぐ。日付位置や防水値(500mから200mへ)、セラミックの導入なども、世代をまたいで更新された点である。

同時代の実用クロノグラフと並べると、輪郭はより明確になる。オメガ スピードマスターやロレックス デイトナがレースや宇宙という物語を軸に据えるのに対し、クロノマットは飛行隊向けの計器という出自と、ライダータブという独自の操作系で性格を分けている。2020年以降にルローを核とする一体感のある外装へ寄せたことで、近年は一体型ブレスレットのスポーツウォッチという文脈にも接する。ただしシリーズの重心は、流行よりも「飛行隊のために考えられた道具」という来歴の側にある。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2009-現在
Cal. B01(Manufacture)
自社初の一貫製造クロノ。コラムホイールと垂直クラッチ。
2011頃-2018
Cal. B04
B01にGMT機構を追加。GMT版に搭載。
2021-現在
Cal. B01 + UTCモジュール
UTC版は第二時間帯をクォーツで表示。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2009-2010

初代 クロノマット B01

AB0110
自社製キャリバーB01を初めて宿した初代。500m防水。
2011-2020

クロノマット44

AB0110 ほか
44へ改称。GMTやレイヴン等の派生が広がる。
2021-現在

スーパークロノマット B01 44

AB0136
2020年刷新の44mm版。ルロー復活、セラミック採用。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive