設計思想
1. 2020年再起のクロノマットと、その36mm派生
ブライトリングのクロノマットは、1984年に発表されたRef.81950を起点とする自動巻クロノグラフである。イタリア空軍曲技飛行隊フレッチェ・トリコローリ向けに前年から開発された機体を、創業100周年に合わせて市販化したもので、ライダータブ付きベゼルとルーロー ブレスレットを特徴とした。
2017年にCEOへ就任したジョルジュ・ケルンの指揮下で、コレクションは2020年に再構築される。1980年代の意匠を呼び戻したクロノマットB01 42mmから始まり、同年中に36mmの自動巻と32mmのスーパークォーツが発表された。これはブライトリング初の女性のためのクロノマットとして企画されたものである。同社は1940年代から女性向けのモデルを手がけてきたが、クロノマットにそれが加わったのはこのときが初めてだった。
2. サウスシー カプセルという企画
A10380611C1P1が属するサウスシー カプセル コレクションは、2021年3月に発表された。発表は、インタラクティブなファッション・ゲームアプリ「DREST」との提携を通じて行われた。CEO のジョルジュ・ケルンは、このカプセルを「期間限定で生産する」と述べている。
ベージュ、ミッドナイト ブルー、ミント グリーンの三色のラッカー文字盤に、それぞれカクテルを思わせる色味のサファイアとルビーを配した宝石ベゼルが組み合わされた。クロノマットの設計上の象徴であるライダータブ付きベゼルを、初めて宝飾的な意匠で読み替えた試みである。
3. このRefの位置と、その後
ミッドナイトブルー仕様のA10380611C1P1は、三色のうち最も落ち着いた色調を持つ。
サウスシーの名は後年、新たな構成でも用いられ、ステンレスと18Kホワイトゴールドを組み合わせたモデルや、メタリック/マザー オブ パールの文字盤、ルーロー ブレスレット仕様などが加わった。これらは別の型番系列(G10380 など)に振られている。
意匠分析
A10380611C1P1の設計は、クロノマット36の構造的な骨格を保ちながら、その表面に宝飾的な意匠を施したものである。
ケースは36mm径、厚さ10.01mmのステンレススチール製で、全長は約43.3mm、ラグ幅は18mm。リューズはねじ込み式ではない構造で2つのガスケットを備え、ケースバックはスクリュー固定、防水性能は100mに設定される。ベゼルは片方向回転のラチェット式で、宝石装飾が施される。風防は両面に反射防止加工を施したドーム型のサファイアクリスタルである。
ベゼルにはサファイアとルビーが、カクテルを思わせるグラデーション状に配される。深い青のミッドナイトブルー文字盤に対し、ルビーの赤からサファイアの青へと色相が移行する構成で、文字盤と緩やかに呼応する。
文字盤はラッカー仕上げのミッドナイト ブルー。インデックスと針はゴールドで、時刻マーカーにはダイヤモンドがセットされる。デイト窓を備える。
ストラップは文字盤色に揃えたミッドナイトブルーのアリゲーター レザーで、ステンレスのフォールディング バックルで留められる。基幹のクロノマット36に金属ルーロー ブレスレット仕様が用意される一方、本機はレザーを選択することで、宝飾的な性格と装着感の柔らかさを優先している。
ムーブメントはブライトリング キャリバー 10。自動巻機械式で、25石、毎時28,800振動 (4Hz)、約42時間のパワーリザーブを持ち、COSCのクロノメーター認定を受ける。
系譜と歴史
A10380611C1P1は、ブライトリングのサウスシー カプセル コレクションの第一弾として、2021年3月に発表された。ベージュ文字盤のA10380611A1P1、ミント グリーン文字盤のA10380611L1P1とともに同時発表された三本のうち、ミッドナイト ブルー文字盤を担う型番である。発表に際しては、ファッション・ゲームアプリ「DREST」上で、2021年3月17日正午(GMT)から72時間、本コレクションを題材にしたブライトリングとの2回目のムードボード企画が展開され、新作の披露チャネルとして用いられた。オンラインとブティックでの販売も同日から始まった。
本数の限定は公表されていないが、CEO のジョルジュ・ケルンは期間限定の生産と説明している。
サウスシーの名は後年、ステンレスと18Kホワイトゴールドを組み合わせたモデルや、メタリック/マザー オブ パール文字盤の派生にも用いられ、別系統の型番(G10380 など)が割り当てられた。
出典
本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。
- 01 専門メディア Presenting Breitling's Chronomat South Sea Capsule Collection
- 02 専門メディア La Cote des Montres: Breitling’s South Sea capsule collection - Fun and exotic
- 03 専門メディア Breitling Presents the South Sea Capsule Collection – Signé Magazine
- 04 ブログ Chronomat Automatic 36 South Sea | Michaud SA
- 05 ブログ Chronomat Automatic 36 South Sea | Watches of Switzerland