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BREITLING · SERIES

Chronomat 36

クロノマット36

クロノグラフを持たないクロノマット。ライダータブとRouleauxを36mmの日常に移した一本

01 — 概要 / SUMMARY

Chronomat 36(クロノマット36)は、Breitlingが2020年に発表した自動巻の三針デートである。クロノグラフ機構は持たないが、1984年のクロノマットに由来するライダータブとRouleauxブレスを受け継ぎ、36mmのケースに収めた。発表時は同社初の女性向けクロノマットとして登場し、ステンレススティール、ステンレス×レッドゴールド、マザーオブパールやダイヤモンドを配した多彩なバリエーションを展開してきた。2026年には完全統合型のケースとブレスへ刷新され、より広い層へ向けたコレクションへと位置づけを移している。

02 — STORY · 物語

Chronomat 36(クロノマット36)、これまでの軌跡

The story of this series
01

「クロノマット」という名の二重性

「クロノマット」という名は、Breitlingの歴史のなかで二度、意味を変えている。最初に現れたのは1940年代初頭であった。1940年の特許に基づく計算尺ベゼルのクロノグラフに与えられた名で、「数学のためのクロノグラフ」を意味した。この発想は、のちのナビタイマーへと連なっていく。

名が現在の姿に近づくのは1980年代である。1984年、創業100周年に合わせて機械式クロノグラフのクロノマットが発表され、名は新たな意匠とともに甦った。

つまりクロノマットの名は、もとはクロノグラフを前提としていた。時刻表示のみのChronomat 36は、その名を機能ではなく系譜として受け継いだモデルである。

02

ライダータブとRouleaux — 1984年からの意匠

現行クロノマットの顔は、1980年代に定まった。発端は1983年、イタリア空軍のアクロバットチーム「フレッチェ・トリコローリ」のために開発されたクロノグラフである。ベゼルの四方に置かれた突起「ライダータブ」と、円筒状のコマを連ねたRouleaux(ルーロー)ブレスレットは、このとき初めて姿を見せた。

翌1984年、創業100周年を機に一般向けのクロノマットが発表される。クォーツが市場を席巻していた時代に、あえて機械式クロノグラフを押し出した一本であった。

ライダータブとRouleauxは、その後のクロノマットを識別する記号となる。2020年、Breitlingはこの二つを軸にコレクションを再設計し、クロノマットを現代の万能スポーツウォッチとして再定義した。Chronomat 36が受け継ぐのは、この2020年世代の意匠言語である。

03

2020年、クロノグラフを持たないクロノマット

Chronomat 36が発表されたのは2020年10月である。同時に32mmのクォーツ版も披露され、Breitlingは女性に向けた初のクロノマットと位置づけた。シャーリーズ・セロン、ミスティ・コープランド、ヤオ・チェンを起用した「スポットライト・スクワッド」が、その発表を彩っている。

構成はシンプルである。直径36mm、厚さ10.01mmのケースに、COSC認定の自動巻Caliber 10(約42時間)を収めた三針デート。クロノグラフ機構は持たない。100m防水を備え、バタフライクラスプ付きのRouleauxブレスを標準とした。ステンレス、バイカラー、18Kレッドゴールドが用意された。

意匠の面では、文字盤のロゴに、2018年以降のブライトリングが用いる翼を外した「B」マークが置かれ、36mmという控えめな径と合わせて、日常に馴染む方向へ振られている。

04

装飾という方向 — South Seaカプセル

Chronomat 36は、登場後まもなく装飾の幅を広げていく。マザーオブパールや宝石をあしらった派生、色鮮やかなラッカー文字盤などがその代表である。2024年には、デザイナーのヴィクトリア・ベッカムとの協業モデルも加わった。

機構はCaliber 10のまま、ケース径も36mmを保ち、外装だけが華やかさへ向かう。クロノマットの中で、36はもっとも表情の自由なモデルとして育っていった。

05

2026年、一体型ブレスレットへ

2026年5月、Breitlingはクロノマット全体を刷新し、22の新リファレンスを発表した。B01 42、新設の40mm(B31 Automatic 40)、そしてChronomat Automatic 36の三本柱で、いずれもラグをケースの陰に隠した完全統合型のケースとブレスへ改められている。

Chronomat Automatic 36は厚さを10.01mmから9.68mmへ削り、ラグtoラグは39.5mmとなった。スティールとバイカラーのブレスには、装着したまま延長できる微調整機構が加わった。キャリバーは引き続きSellitaベースのCaliber 10で、5モデルが用意された。

発表時の広告では、オースティン・バトラー、ヤニス・アデトクンボ、アーリング・ハーランドらが起用された。女性向けとして出発したシリーズは、いまはより広い手首を想定する位置へと移っている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Chronomat 36の設計は、「クロノマットの顔を、機能から切り離して残す」という判断の上に立っている。

シリーズを貫く要素は二つある。ベゼルの四方に置かれたライダータブと、円筒状のコマを連ねたRouleauxブレスレットである。大型のB01 42では、ライダータブは回転ベゼルとともに経過時間の計測に関わる実用部品であり、15分と45分のタブを入れ替えてカウントアップとカウントダウンを切り替えられる。一方36では、ライダータブは計測の道具というより、クロノマットであることを示す視覚的な記号として残されている。同じ意匠が、片や工具、片や識別子として働く。

意匠の取捨も明快である。インデックスと針を主役にした静かな構成で、ロゴは翼を持たない「B」マークとなる。36mmという径も、誇張を避ける選択の一部といえる。

防水は100mで、深く潜るための道具とは役割を分けている。深く潜るための一本ではなく、日常に置くための一本という線引きである。一体型ブレスレットを備えた同径帯のスポーツウォッチと並べたとき、Chronomat 36の輪郭はライダータブとRouleauxによって明確になる。文字盤や素材は多彩に展開されてきたが、この二つの記号だけは色や宝石の有無を問わず保たれ、どの仕様もひと目でクロノマットとわかる。

2026年の刷新は、この方向をさらに進めた。ラグをケースの陰に隠し、ケースからブレスへと一続きの曲線で流れる一体型の輪郭を得ている。厚さを9.68mmまで削りながら、ライダータブとRouleauxという二つの記号は手放していない。変えるのは厚みとつながり方であり、変えないのは顔である。その区別が、このシリーズの設計思想を最もよく表している。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2020-現在
Caliber 10(Sellita ベース)
COSC認定の自動巻、約42時間。全世代で一貫採用。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1984

クロノマット意匠の祖型

Chronomat(1984)
ライダータブとRouleauxブレスを確立した、現行意匠の原点。
2020-2026

クロノマット36の初代

A10380 系
女性向け初のクロノマット。36mm・自動巻Caliber 10の三針デート。
2026-現在

完全統合ブレスへ刷新

A10320 系
ラグを隠した一体型ケースへ。厚さ9.68mm、Caliber 10を継続。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

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06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

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