1954年、空のための仕様
第二次大戦後、フランス国防省は手持ちの軍用クロノグラフの多くを米英からの供給に頼っており、その補充が課題となっていた。1950年代初頭、空軍と海軍航空隊のために統一仕様のクロノグラフ腕時計が起草される。コードネームは Type 20。黒文字盤に夜光数字と夜光針、圧力や加速度の変化に耐える機械、双方向回転ベゼル、そして最重要の要件としてフライバック(retour en vol)機能。日に8秒以内の精度や35時間以上のパワーリザーブも条件に含まれたと伝わる。
この仕様は単一のブランドに発注されたのではない。Breguet のほか Dodane、Auricoste、Vixa、Airain など複数の製造者が Type 20 を供給した。ブレゲは1952年に試作を提出し、1953年に航空技術部門(STAé)の承認を得たとされる。1954年、フランス空軍向けの量産が始まる。航空に深い縁を持つメゾンにとって、これは自然な参入であった。創業者アブラアム-ルイ・ブレゲの血を引くルイ・ブレゲ(1880–1955)は、20世紀初頭から航空機製造に身を投じ、エールフランスの設立にも関わった人物である。