海軍時計師の称号
18世紀から19世紀の航海において、船の現在地を知ることは生死に関わる課題であった。緯度は六分儀で測れたが、経度の決定には正確な時計が欠かせない。出航地の時刻を狂いなく刻む船舶用クロノメーターは、六分儀と並ぶ最重要の航海装置だった。
アブラアム=ルイ・ブレゲは1814年にパリの経度局 (Bureau des Longitudes) の一員となり、翌1815年、ルイ18世から「海軍時計師 (Horloger de la Marine)」の称号を授けられる。当時この称号を同時に名乗れる者は一人だけで、時計師に与えられる最高位の名誉とされた。ブレゲはフランス艦隊へ高精度の船舶時計を供給し、二条香箱やデテント脱進機を組み込んで精度を高めたと伝わる。マリーンの名は、この海事との結びつきに由来する。