ロレックス デイトジャスト
防水・自動巻・クロノメーターを備えた実用時計に、自動で変わる日付を重ねたとき、現代の腕時計の定型が姿を現した。
概要
Overview1945年、ロレックスは創業40周年を記念し、新型のオイスター パーペチュアルとしてデイトジャストを発表した。型番は4467、18金イエローゴールド製で、ケース径は36mmだった。防水のオイスターケースと自動巻に、文字盤3時位置の日付窓を組み合わせ、専用のジュビリーブレスレットも初めて与えられた。ロレックスはこれを、自動で日付が変わる窓を備えた最初の自動巻クロノメーター腕時計と位置づける。単純な機能を堅牢な実用時計へ組み込んだこの一本は、後にロレックスの定番となり、現代のオールラウンドな腕時計の原型となった。
背景
Background1945年以前のロレックスは、すでに二つの基礎を築いていた。一つは1926年のオイスターケースで、ねじ込み式の密閉構造により防水を実現していた。もう一つは1931年のパーペチュアル、全回転ローターによる自動巻である。水と巻上げの課題に答えたこの二段の上に、次に残っていたのが日付の表示だった。
日付を示す機構そのものは新しくない。文字盤に日付を出す試みは懐中時計の時代からあり、腕時計でも1915年のモバードや、3時位置に窓を置いた1930年のミモ・メーターなどの先例が伝わる。ただし当時は時刻のみの腕時計が主流で、日付窓は一部にとどまった。多くは手で送る方式で、日付が深夜にひとりでに変わるわけではない。
日付は毎日参照する情報でありながら、当時は手で合わせるのが普通だった。手巻きの手間を自動巻が解いたように、日付送りも機構に委ねられれば、日々の道具としての実用は一段増す。防水で自動巻のクロノメーターケースに、自動で変わる日付窓を重ねる——この組み合わせがまだ無かったことが、デイトジャストの出発点だった。
出来事
The Event1945年、ロレックスは創業40周年を機に新しいオイスター パーペチュアルを送り出した。型番は4467。素材は18金イエローゴールド、ケース径は36mmで、当時の腕時計としては大ぶりだった。発表は祝賀の場で行われ、このとき初めて披露された5列リンクのブレスレットは、40周年(ジュビリー)にちなんでジュビリーと名づけられた。当初は時計本体にこの名を与える案もあったが、名は最終的にブレスレットへ移ったと伝えられる。
時計の名は日付の機能に由来する。手を加えずとも日付が正しく(ジャスト)保たれることから、デイトジャストと呼ばれた。もっとも発表時の文字盤に「Datejust」の文字はなく、「Oyster Perpetual」「Chronometre」と記されるのみだった。3時位置に開いた窓に日付が現れ、細かく刻まれたベゼルが外周を縁取った。
機構の面では、自動巻とクロノメーター認定のムーブメントに、日付表示の機構を組み込んでいる。ローターと日付機構を収めるためケース裏は膨らみ、後にバブルバックと呼ばれる丸みを帯びた姿になった。初期の日付は深夜に一気には切り替わらず、午前0時の前後で送られる方式で、現在の瞬間日送りとは異なる。ロレックスはこの一本を、日付窓を備えた最初の自動巻クロノメーター腕時計と位置づけた。日付窓そのものには先例があり、その点は限定して捉えるべきだが、防水・自動巻・クロノメーターという三つの要素に日付を統合した点が新しかった。
意義
Significanceデイトジャストがまず残したのは、日付窓を実用時計の標準装備へ押し上げたことである。自動で変わる日付は、その後の腕時計に広く受け継がれ、今日では珍しくない。この一本はオイスターの防水とパーペチュアルの自動巻をひとつにまとめ、そこへ日付を加えた到達点でもあった。後年には日付が深夜に瞬時に切り替わる機構へと改められている。
意匠の面でも影響は大きい。細かく刻まれたフルーテッドベゼルと5列のジュビリーブレスレットは、一目でロレックスとわかる記号として定着した。1953年にはサイクロプスレンズが加えられたとされ、文字盤の見え方にも固有の特徴が生まれる。頑丈な防水自動巻を端正な姿にまとめた構成は、礼装にも普段使いにも合う一本という後の評価につながった。
スイス時計産業の流れのなかでは、デイトジャストはロレックスの商業的な柱となった。当初は金無垢のみだったが、1950年代には鋼やロレゾールの版が加わり、文字盤にも名が入って、より広い層へ届く定番となる。鋼と金を組み合わせるロレゾールは、以後ロレックスがよく用いる手法となった。発表から現在まで生産が続き、ロレックスでもっとも息の長い系列の一つに数えられる。素材や寸法、ムーブメントを更新しながらも、基本の構図は今日まで保たれている。