本文へ
CALIBER · TAG Heuer

Calibre 17 RS

自動巻 Automatic Analog クロノグラフ デイト

2007年、グランカレラを彩る回転ディスク表示。ETA 2894-2を土台とする自動巻クロノグラフ

振動数
28,800 vph · 4 Hz
パワーリザーブ
42 時間
石数
37 石
ムーブメント径
28 mm
Cal. Calibre 17 RS
movement · Calibre 17 RS 図: ムーブメント — WatchBase
01 — OVERVIEW

概要

Calibre 17 RSは、TAG Heuerが2007年に発表したグランカレラ・コレクション向けの自動巻クロノグラフである。土台はETA 2894-2で、これにブランド独自の回転ディスク表示機構「Rotating System」を組み合わせた点に最大の特徴がある。振動数28,800vph (4Hz)、37石、パワーリザーブ約42時間。COSC公認クロノメーターとして仕上げられたとされる。3時位置にスモールセコンド、9時位置にクロノグラフ30分計を回転ディスクで示し、6時位置に日付を備える。43mmのCAV511系などに搭載され、後にRS2やRS150といった派生が編成されたと伝わる。

02 — SPECIFICATIONS

仕様

MakerTAG Heuer
ReferenceCalibre 17 RS
TypeAutomatic(自動巻)
DisplayAnalog
Frequency28,800 vph (4 Hz)
Jewels37 石
Power reserve42 h
Movement ⌀28 mm
HandsHours, Minutes, Small Seconds
DateDate
ChronographChronograph
03 — EDITORIAL

系譜と歴史

Genealogy & history

ETA 2894-2という土台

Calibre 17は、TAG Heuerが汎用ムーブメントETA 2894-2に与えた呼称である。ETA 2894-2は1996年に登場し、TAG Heuerのクロノグラフにも採用されてきたとされる。構造は、薄型自動巻のETA 2892-A2を基盤に、クロノグラフ機構をモジュールとして上載せした「モジュール式」である。基盤側と計時側を分けて設計するこの方式は、同一のベースから多様な複雑機構を派生させやすい利点を持つ。TAG HeuerはETA系のベースにCalibre 7、Calibre 8など複数の呼称を与え、用途ごとに展開してきた。Calibre 17は、そのうちクロノグラフを担う系統にあたる。

グランカレラと「Rotating System」

2007年、TAG Heuerは1964年のカレラに連なる上位ラインとしてグランカレラを発表した。このコレクションの核となったのが、回転ディスク表示機構「Rotating System」である。従来のスモールセコンドやクロノグラフ計のように針で示すのではなく、目盛りを刻んだ円盤そのものを回転させ、固定された指標で読み取らせる。発想の源泉はGTレーシングカーのエンジンとダッシュボードにあるとされ、計器盤を思わせる視認性が狙いとされる。Calibre 17 RSは、この機構をクロノグラフに応用した系統である。3時位置にスモールセコンド、9時位置にクロノグラフ30分計を回転ディスクで配し、中央のクロノ秒針と組み合わせる。

RS・RS2・RS150の展開

グランカレラのクロノグラフは、複数の呼称で段階的に展開された。2007年には43mm径のCalibre 17 RS 43(CAV511系)が登場し、続いて2つの回転システムを前面に打ち出したCalibre 17 RS2(CAV518系)が2008年に加わったとされる。RS2はチタンのケースを採用したと伝わる。2010年のTAG Heuer創業150周年には、RS2を基とするRS150が登場し、各150本規模の特別仕様として欧州・英国向けに振り分けられたと伝わる。いずれも機構の核は、ETA 2894-2とRotating Systemの組み合わせを共有する。

グランカレラRSファミリーの中で

Rotating Systemはクロノグラフ専用の機構ではなく、グランカレラ全体を貫く設計言語であった。2針のCalibre 6 RS、GMTのCalibre 8 RS、そしてクロノグラフのCalibre 17 RSは、いずれもETA 2892系を土台とするとされる。例外は、Zenith El Primeroを基盤とする最上位のCalibre 36で、回転ディスクに加えて直線表示機構「Linear System」を備えたと伝わる。Calibre 17 RSは、この一群のなかで最も普及したクロノグラフ機構として位置づけられる。

04 — LINEAGE

キャリバーの系譜

Predecessors & derivatives
05 — MECHANISM

技術解説

Technical breakdown

Calibre 17 RSの構造は、土台と計時部の二層に分けて理解するとよい。

土台となるETA 2892-A2は、薄型自動巻の汎用ベースである。直径約26mm、厚さ約3.6mmとされ、安定した実績から多くのブランドに採用されてきた。自動巻のローター(回転錘)は両方向巻き上げで、香箱(ゼンマイを収める部品)1つからパワーリザーブ約42時間を得る。この土台の上にクロノグラフ機構をひとまとまりのモジュールとして重ねたものがETA 2894-2であり、TAG HeuerはこれをCalibre 17と呼ぶ。石数は37石で、ベース単体の21石より多いのは、モジュール側に軸受が加わるためである。

調速はスイスレバー脱進機(エネルギーを一定間隔で解き放つ機構)による。テンプ(往復運動で時を刻む輪)の振動数は28,800vph (4Hz)で、1秒あたり8回振動する。クロノグラフの計測分解能はこの振動数に規定され、理論上は1/8秒の刻みに対応する。ヒゲゼンマイ(テンプに復元力を与える渦巻ばね)とテンプの組み合わせが精度の根幹を担い、緩急針による調整で日差が追い込まれる。

本機の核心は、計時結果の見せ方にある。一般的なクロノグラフが積算計を針で示すのに対し、Rotating Systemは目盛りを刻んだ円盤を回転させ、固定指標で読み取らせる。Calibre 17 RSでは、3時位置のスモールセコンドと9時位置のクロノグラフ30分計が、それぞれ回転ディスクとして構成される。中央のクロノ秒針は通常どおり針で示される。

モジュール式という構成は、保守の面でも性格を規定する。基盤側のETA 2892-A2は広く流通した汎用機であり、整備の知見が業界に蓄積されている。一方で計時モジュールと回転ディスク部は専用部品を含むため、分解と再組立には相応の手順を要する。香箱1つで約42時間という構成も、薄型ベースの素性をそのまま受け継いだものである。

仕上げの面では、回転ディスクにコートドジュネーブ(平行の波模様)と磨いた面取りが施され、計器盤を思わせる質感が与えられるとされる。自動巻ローターはサファイアの裏蓋から鑑賞できる。ムーブメントはCOSC(スイス公認クロノメーター検査協会)の認定を受けたとされ、COSCの基準は日差-4〜+6秒である。ケース側はねじ込みリューズを備え、100m防水を確保する。クロノグラフ機構を保護しつつ、スポーツウォッチとしての実用域を担保する設計である。

06 — CARRIERS

このキャリバーを搭載する 2 本のリファレンス

This caliber appears in 2 references
07 — SOURCES

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア ETA Caliber 2894-2 専門メディア · Caliber Corner · 2026.08.15 閲覧 Caliber Corner · 2026.08.15
  2. 02 専門メディア TAG Heuer - CAV511A.BA0902 Grand Carrera Calibre 17 RS 43 Stainless Steel / Black / Bracelet 専門メディア · WatchBase · 2026.10.15 閲覧 WatchBase · 2026.10.15