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TUDOR · SERIES

Black Bay Chronograph

ブラックベイ クロノグラフ

ブラックベイの意匠と、ブライトリング協業による自製キャリバーが出会った、チューダー初のダイバーズ・クロノグラフ

41 mm
01 — 概要 / SUMMARY

2017年のバーゼルワールドで発表されたチューダー ブラックベイ クロノグラフは、200m防水のダイバーズウォッチとして定着したブラックベイ・コレクションに、初の自製クロノグラフ機構を融合させたシリーズである。搭載されるキャリバーMT5813は、競合関係にあったブライトリングとの技術協業から生まれた一台で、業界に静かな衝撃を与えた。現行ラインナップは、パンダ/逆パンダの定番、ツートーンのS&G、そして近年加わったピンク、フラミンゴ・ブルー、F1カラーをまとうカーボン25へと枝分かれし、ツール・ウォッチの骨格を保ちながら表現の幅を広げている。

02 — STORY · 物語

Black Bay Chronograph(ブラックベイ クロノグラフ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

「自製クロノグラフ」という長く未踏の領域

チューダーのクロノグラフ史は、1970年のRef. 7031/7032「オイスターデイト・クロノグラフ」、通称「ホームプレート」から始まる。続いて1971年に第二世代「モンテカルロ」、1976年にブランド初の自動巻クロノグラフとなる第三世代「ビッグブロック」が登場した。これらのシリーズに共通する事実は、すべて外注ムーブメント──ヴァルジュー7734、234、7750──に依存していたという点である。

姉妹ブランドであるロレックスがCal. 4130によってデイトナの自製化を完了させたのとは対照的に、チューダーは長く「自製クロノグラフ・キャリバー」を持たなかった。2010年に再始動した「ヘリテージ・クロノ」(Ref. 70330N) も、ETA 2892にデュボア・デプラのモジュールを載せた構成である。自製化は、長く先送りされてきた宿題であった。

02

2017年バーゼル、Ref. 79350の登場

2017年バーゼルワールド前夜、チューダーは「ブラックベイ クロノグラフ」(Ref. 79350) を発表する。41mmのスチールケース、200m防水、固定式タキメーターベゼル、ねじ込み式リュウズとプッシャー、そしてダイバーズの象徴であるスノーフレーク針。ブラックベイ・コレクションが2012年以来築いてきた意匠を、クロノグラフという新たな器に注ぎ込んだ一本である。

ただし発表会場では戸惑いの声も上がった。これはダイバーズなのか、クロノグラフなのか。タキメーターベゼルとダイバーズの組み合わせには歴史的な整合性がないという指摘も少なくなかった。チューダーの答えは明快だった──両方である、と。

03

キャリバーMT5813、競合との協業

最も大きな話題は、新型キャリバー「MT5813」だった。「MT」は「マニュファクチュール・チューダー」の略だが、その実体はブライトリングのB01をベースに同社が製造する構造であり、チューダーはこの事実を当初から開示した。コラム・ホイールと垂直クラッチ、70時間パワーリザーブ、毎時28,800振動 (4Hz)、シリコン製ヒゲゼンマイ、COSCクロノメーター認定。現代の上位クロノグラフが備える要素を一通り押さえている。

特徴的なのは45分積算計の採用である。通常の30分計と異なり、これはチューダーが意匠面でB01から逸脱した数少ない部分のひとつであり、シリーズのアイデンティティとなった。引き換えにブライトリングは、チューダーの三針キャリバーMT5612をベースとした「B20」を獲得した。Swatchグループへの依存を脱したい中堅ブランドどうしの、極めて実務的な技術交換であった。

04

2019年、シリーズの幅が広がる

2019年、シリーズは初めての派生を得る。ひとつはツートーン仕様の「ブラックベイ クロノグラフ S&G」(Ref. 79363N)、もうひとつはニュージーランド代表ラグビーチーム「オールブラックス」をテーマにした「ブラックベイ クロノグラフ ダーク」(Ref. 79360DK) である。後者はPVDコーティングを施した黒一色の仕上げで、オールブラックスの歴代選手数 (発表時点で1,181本) に対応する形で生産されるという、チューダーには珍しい個別シリアル付きの限定企画となった。

05

2021年、Ref. 79360Nへの世代交代

2021年、シリーズは大きな世代交代を迎える。リファレンスは79350から79360Nへと移行し、定番のダイヤルはパンダ (M79360N-0002) と逆パンダ (M79360N-0001) の対構成となった。ケース構造はわずかに見直され、ベゼル周りやリュウズ近傍の細部に整理が加えられている。

このタイミングはチューダー初代クロノグラフから50周年に当たり、シリーズが「ブラックベイの一バリエーション」から、独立した系譜として確立されたことを内外に示す節目となった。

06

「Daring Watches」へ — 色と素材の冒険

2024年以降、シリーズは新たな性格を加える。「Daring Watches」を掲げるチューダーは、まず2024年3月に「ブラックベイ クロノグラフ ピンク」(M79360N-0019) を発表。デヴィッド・ベッカム共同オーナーのインテル・マイアミCFのチームカラーをまとう異色作で、シリーズで初めて5連ジュビリー風ブレスレットと「T-fit」マイクロアジャスト・クラスプを採用した。

2025年1月には「フラミンゴ・ブルー」(M79360N-0024)、続く5月にはF1チーム「ヴィザ・キャッシュアプリRB」とのコラボから「カーボン25」(Ref. M79377KN、42mmフォージドカーボンケース、2,025本限定) が登場。翌2026年には「カーボン26」が続き、シリーズは“ツール・ウォッチ”の枠を越えてレーシング・クロノグラフの領域へと足を伸ばしている。

2017年に「両方である」と答えた一本は、いまや色彩・素材・物語の幅を備えた一族となった。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ブラックベイ クロノグラフの設計思想は、シリーズ名そのものが示すとおり、二つの異なる伝統を一本のケースに収めるという課題から始まる。チューダーの選択は折衷ではなく、両者の語彙をそのまま重ねるというものだった。

ケース構造はブラックベイの語彙に従う。41mmの低めのプロポーション、研磨と艶消しを併用したラグ、内側に向かって落ち込む一体感のあるラグ形状。これらは2012年以来のブラックベイの形式に忠実である。一方でリュウズとプッシャーはねじ込み式とされ、200m防水を保ったまま2時位置と4時位置に立てられた。プッシャーには細かい溝が刻まれており、これは1970年代チューダー製クロノグラフ、いわゆる“Mk 0”系プッシャーへのオマージュである。固定式のタキメーターベゼルはダイバーズベゼルとは性格を異にするが、ねじ込みプッシャーと組み合わせることで「水中でも安全に止められるクロノグラフ」という独自の機能像を立ち上げている。

意匠言語の中心は、1969年に登場したチューダーのダイバーズに由来する角ばった「スノーフレーク」針である。クロノグラフ針との視覚的な棲み分けを成立させるため、時針は通常のブラックベイより細身に再設計された。アプライド・インデックスは3時・6時・9時を欠き、二つの積算計と6時の日付窓を通常のレイアウトに収める。45分計という選択は、ベース機構であるブライトリングB01の30分計から離れた数少ない判断のひとつで、シリーズの識別子として機能している。

文字盤上の赤い200m表示、雪の結晶を思わせる針、太いリュウズ。ダイバーズの記号は維持される一方、ねじ込みプッシャー、タキメーター、二つの積算計はクロノグラフの記号を担う。意図的に裏蓋は密閉式とされ、MT5813の意匠は外からは見えない。装飾を背負わせない選択は、競合のオメガ シーマスター クロノグラフやブライトリング スーパーオーシャン クロノグラフが取る方向性とは対照的で、内部の見せ方より外形のバランスを優先するブラックベイの姿勢を貫いている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2017-現在
Cal. MT5813
Breitling B01派生、Tudor仕様、70時間PR。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2017-2021

初代BB Chrono

79350
Baselworld 2017発表、41mm、Cal.MT5813、3-9配列。
2019-2021

S&Gとdark追加

79363N (S&G)
BB Chrono S&G(steel & gold)とDark(全PVD)で多色展開。
2021-現在

Panda dial化

79360N
50周年でPanda/Reverse Panda化、ベゼル意匠刷新で現行主軸。
2024-現在

新色シリーズ展開

79360 Pink Blue Turquoise
Pink/Blue/Turquoise投入、5-link+T-fit採用。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

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