「大きいBlack Bay」という選択
2010年代後半以降、機械式時計では小径化が一つの潮流となっていた。Tudor も、2018年の Black Bay 58 で39mm、2023年の Black Bay 54 で37mm と、ダイバーのケース径を段階的に下げてきた。その流れに対し、2025年の Watches and Wonders で発表された Black Bay 68 は、逆に43mm という大柄なケースを選んでいる。
Tudor がこの判断に掲げた理由は明快である。あらゆる手首に合うサイズを揃える、というものだ。37mm の Black Bay 54、39mm の Black Bay 58、41mm の標準 Black Bay、そして43mm の Black Bay 68。これによりシリーズのダイバーは、小径から大径までの段階を一通り備えることになった。
Black Bay 自体は2012年に登場し、2015年には自社製ムーブメントを得て、Tudor を再定義する柱へと育った系譜である。Black Bay 68 は、その上に新しい意匠を足した時計ではない。確立された設計言語を、最も大きな寸法へ素直に展開した一本である。