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TUDOR · SERIES

Black Bay 54

ブラックベイ 54

1954年の初代ダイバーズ Ref. 7922を37mmに写した、ブラックベイで最も原典に忠実な一本

37 mm
01 — 概要 / SUMMARY

ブラックベイ 54は、チューダーが2023年に発表したダイバーズウォッチである。同社初の潜水時計、1954年のオイスター・プリンス・サブマリーナー Ref. 7922の寸法と意匠を受け継ぎ、ケース径37mmという往年の比率を現代に再現する。ブラックベイ群のなかで原型に最も忠実な一本とされ、発表時の黒文字盤に加え、2025年の「ラグーンブルー」、2026年の「チューダー・ブルー」へと色の表現を広げてきた。針やベゼルには初代の面影を残しつつ、機構は自社系キャリバーへと刷新されている。

02 — STORY · 物語

Black Bay 54(ブラックベイ 54)、これまでの軌跡

The story of this series
01

1954年、最初のサブマリーナー

1954年、チューダーは初のダイバーズウォッチ、オイスター・プリンス・サブマリーナー Ref. 7922を発表した。創業者ハンス・ウイルスドルフが描いたのは、ロレックスと同じオイスターケースを用いながら、ムーブメントに外部供給品を採ることで価格を抑えた実用時計である。「オイスター」は防水ケースを、「プリンス」は自動巻機構を指す名であった。搭載されたのはフルーリエのベースを用いた自動巻キャリバー390、毎時18,000振動(2.5Hz)である。100m防水のねじ込み式ケース、リューズガードを持たないねじ込みリューズ、5分刻みのみの回転ベゼル、視認性を重視した大型の蛍光針とインデックス。リューズとオイスターブレスレットにはロレックスの刻印が入った。Ref. 7922はフランス海軍や米海軍に評価され採用に至ったとされ、堅牢さと手頃な価格を武器に職業ダイバーの道具として広まっていった。

02

ブラックベイと年号の系譜

チューダーは2012年、往年のダイバーズの意匠を現代に甦らせるブラックベイ・コレクションを立ち上げた。やがてこの系譜には、過去の名作が世に出た西暦を名に冠する流儀が生まれる。2018年のブラックベイ 58(39mm)は、200m防水を実現したRef. 7924の登場年、1958年を指す。となれば、すべての起点である1954年に立ち返る一本がいつか現れることは、愛好家の予感するところであった。ブラックベイは2012年の初代(41mm)以降、39mmのブラックベイ 58へと寸法を絞ってきた。37mmはその流れのなかで、最も小さく最も往年に近い到達点であった。最初のRef. 7922がまとっていた37mmという寸法は、大型化が進んだ現代のダイバーズのなかでは異例に小さい。その小ささこそが、原型回帰の核心であった。

03

2023年、37mmという解答

2023年のウォッチズ&ワンダーズで、ブラックベイ 54(Ref. M79000N)は発表された。黒文字盤に黒ベゼル、基部を絞った針、初代を思わせるロリポップ(棒状)秒針。ブラックベイ群のなかで最も原型に忠実な一本として、登場とともに大きな反響を呼んだ。判断は明快であった。往年の小径を選び、文字盤の色は黒一色、日付表示も持たない。一方でケースには現代の自社系キャリバーを収め、防水性能は初代の100mを上回る200mとする。視認性を担う時針には、1954年当時にはなく後年のサブマリーナーで定着したスノーフレーク(雪片型)を採った。発表と同時に正規店で購入できる体制も話題を呼び、ヴィンテージの寸法と現代の保証を同時に得られる点が、一本で完結する時計を求める層の支持を集めた。原型の寸法を最優先しつつ、細部は現行ブラックベイの語法でまとめる——その折り合いの付け方に、このシリーズの性格が表れている。

04

色による拡張、そして100周年へ

発表当初、ブラックベイ 54は黒一色のみであった。2025年、シリーズは「ラグーンブルー」(Ref. M79000)を加える。砂を思わせる質感の青文字盤と5列のジュビリー型ブレスレットをまとい、ヴィンテージの文脈から離れた色彩を試みた一本である。続く2026年、チューダー創業100周年のウォッチズ&ワンダーズで、サンレイ仕上げの青文字盤に同色ベゼルを合わせた「チューダー・ブルー」(Ref. M79000B)が登場した。黒、ラグーンブルー、チューダー・ブルーは世代交代ではなく、同じ土台の上に並ぶ色の選択肢である。ケースとムーブメントを変えぬまま、色という一点で表情を更新していく。短い歴史のなかで、このシリーズはそうした拡張の作法を選んでいる。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ブラックベイ 54の設計が最も大切にするのは、初代Ref. 7922が備えていた寸法と比率である。ケース径37mm、ラグ間46mm、厚さ約11.2mm、ラグ幅20mm。大型化したダイバーズのなかでは小さく、1950年代の実用時計が手首に収まる感覚を現代に取り戻している。とはいえ機能的な文字盤と金色のミニッツトラックの効果で、数値ほど小さくは映らない。回転ベゼルには分目盛りを設けず、5分ごとの指標だけを刻む。これは早期のスキューバダイビング、すなわち潜水時間を大まかに計れば足りた時代のベゼルを写したものである。鏡面のベゼル外周は握りやすいよう輪郭を整え直し、リューズも初代の比率を参照して描き直された。秒針には初代を思わせるロリポップ型を据える。

一方で、意匠のすべてを1954年に揃えたわけではない。時針はスノーフレーク型であり、これは初代にはなく後年のサブマリーナーで確立したチューダー独自の語法である。風防はドーム型のサファイアクリスタル、リューズ脇のロゴはチューダーの薔薇に置き換わる。防水も初代の100mではなく200m。装着調整には現代的なT-Fitクラスプを備える。同じブラックベイでも、ブラックベイ 58が分目盛り付きのベゼルとスノーフレーク型の秒針を持つのに対し、54はベゼルから分目盛りを省き、秒針も初代に倣う。ケース裏は現行の多くと異なり、初代に倣ったソリッドバックを保つ。つまりこのシリーズは、原型の「寸法と佇まい」を最優先しながら、視認性や信頼性に関わる部分は現行ブラックベイの設計言語に委ねている。色や装飾を増やさず、ケース径も大きくしない。その自制こそが、70年前の輪郭を保ったまま「ブラックベイ 54の顔」を成立させている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2023-現在
Cal. MT5400
チューダー/ケニッシ製の自動巻。70時間・COSC認定。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2023-現在

原型に忠実な黒の初代

M79000N
1954年Ref. 7922の比率を写した37mm。黒文字盤の基準形。
2025-現在

デアリング系のラグーンブルー

M79000
砂質感の青文字盤と5列ブレスをまとう色違いの一本。
2026-現在

100周年のチューダー・ブルー

M79000B
サンレイ青文字盤に同色ベゼル。創業100周年の新色。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive