設計思想
1. Extreme Sportという新系統
2024年9月、TAG HeuerはカレラのなかにExtreme Sportと呼ぶ新系統を立ち上げた。Glassboxに代表される復古的なカレラとは対照的に、グレード2チタンの肉抜きケース、スケルトン文字盤、一体型ラバーストラップで構成された、徹底して現代志向のクロノグラフ群である。第一陣はクロノグラフ4本とトゥールビヨン2本。青いフランジとアクセントを持つCBU2081.FT6274は、その中核を担う1本だった。ラグをスペースフレーム状に肉抜きした造形は、44mm径という大ぶりな寸法に対して視覚的な軽さを与えるための回答であり、従来の44mm級カレラで50mmを超えていたラグ間全長を切り詰めた点も、この系統の設計的な進歩とされる。
2. ブレスレットという第二の選択肢
CBU2081.BF0007は、このFT6274のヘッド構成を踏襲しつつ、装着系をグレード2チタン製のH型ブレスレットへ置き換えた仕様である。WatchBaseによれば2026年にコレクションへ追加された。発表から1年あまりの間に、系統はGMT機構を加えたTwin-Time(CBU2084.FT6297)やF1関連の限定トゥールビヨンへと枝を広げており、ブレスレット仕様の投入は、Extreme Sportを一過性の実験ではなくカレラの常設系統として定着させる動きと読める。チタンブレスレットは、軽量性という素材の利点を腕周りまで一貫させると同時に、ラバーを好まない層への回答でもある。
3. 系統内での位置
ヘッドの仕様に変更はなく、本機固有の意味はもっぱら装着体験の側にある。ラバーが競技用の道具という性格を前面に出すのに対し、ブレスレット仕様は同じスケルトンの機械を日常の腕時計として成立させる。系統内に並ぶ黒DLC仕様(CBU2080系)やオレンジ仕様(CBU2082系)に対し、青は発表当初からこの系統の訴求の中心に据えられてきた色であり、ブレスレット仕様の本機もその延長線上で、系統の標準的な顔として位置づけられる。
意匠分析
本機を本機たらしめているのはブレスレットである。グレード2チタン製のH型リンクはファインブラッシュ仕上げで、サンドブラストとヘアラインを切り替えたケース外装と質感を揃える。クラスプはダブルセーフティプッシュボタン付きのフォールディング式で、こちらもチタン製。44mm径・厚さ15.1mmという大柄なヘッドに対し、比重の小さいチタンで装着系まで統一することで、金属ブレスでありながら総重量の増加を抑えている。
ヘッド側はCBU2081.FT6274と共通である。ラグを肉抜きしたスペースフレーム状のケースは、側面の彫り込みにサンドブラストを施し、面ごとの明暗で立体感を強調する。ベゼルはマットな黒セラミックの固定式で、タキメーターを刻む。リューズはグレード5チタン製だ。
文字盤はロジウム仕上げのスケルトンで、ブランドの盾形ロゴを思わせる格子状のブリッジが骨格を成す。外周のフランジと積算計の縁取りは青、中央部はグレインドブラックで、ロジウム仕上げの針とアプライドインデックスには白のスーパールミノバが入る。6時位置にはスケルトン化された日付ディスクが覗き、クロノグラフ秒針の先端は青ラッカーで色を合わせる。
ムーブメントは自社製Cal.TH20-00。コラムホイールと垂直クラッチを備えるHeuer 02系の改良版で、双方向巻き上げ化とパワーリザーブ80時間への延長が世代の要点である。シースルーバックからは、暗色のNAC処理を施した受けと、文字盤の差し色に呼応する装飾が確認できる。
系譜と歴史
Extreme Sport系統は2024年9月に発表された。第一陣はCal.TH20-00を積むクロノグラフ4本(チタン2本、黒DLCチタン1本、ローズゴールド1本)と、Cal.TH20-09によるトゥールビヨン2本で、青文字盤のCBU2081.FT6274は一体型ラバーストラップを伴ってこのとき登場した。
2025年には系統の拡張が続いた。10月にはGMT機構を加えたTwin-Time(CBU2084.FT6297)が発表され、F1世界選手権75周年を記念する限定トゥールビヨンなども加わった。
グレード2チタン製ブレスレットを備える本機CBU2081.BF0007は、WatchBaseによれば2026年にコレクションへ追加された。正確な発表月は公式リリースでは確認できていない。ヘッドの仕様はFT6274から変更されておらず、装着系のみを置き換えた追加展開である。2026年6月現在、本機はTAG Heuer公式サイトに現行モデルとして掲載されている。