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SPEAKE-MARIN · SERIES

Ripples

リップルズ

ロンドンの建築を鋼の一体型ブレスに写した、Speake-Marin初のスポーツウォッチ

40.3 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Ripples(リップルズ)は、Speake-Marinが創業20周年の2022年に発表した、同社初の鋼製・一体型ブレスレットを備えたスポーツウォッチの系譜である。ロンドンの金融街に着想を得た「La City」ケースと、12本の水平な波を刻んだ文字盤を識別子とする。ノーデイトの初代に始まり、Ripples Date、開放的なRipples Skeleton、総ゴールドのRipples Gold、超薄型のRipples Kármán Lineへと派生してきた。自社製マイクロローター・キャリバーを核に、英国的な意匠と現代的なスポーツ表現を結ぶ。

02 — STORY · 物語

Ripples(リップルズ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

二十周年の方向転換

2022年、Speake-Marinは創業20周年を迎えた。英国人時計師Peter Speake-Marinが2002年に立ち上げた同社は、丸型の「Piccadilly」ケースとハート型の時針を識別子として歩んできた。Ripplesは、その語彙からの意図的な離脱である。

当時の高級時計市場では、一体型ブレスレットを備えた鋼製スポーツウォッチが支配的な潮流をなしていた。同社はこの領域に、初めて自らの解を持ち込む。Ripplesは、Speake-Marinにとって初の鋼製・一体型ブレスレットウォッチとなった。丸型ではない新しいケースと、波打つ文字盤。20周年の節目に、ブランドは過去の意匠を反復せず、別の言語で語ることを選んだ。

02

「La City」という解

ケースを手がけたのはデザイナーのStéphane Lacroixである。円と正方形を掛け合わせた輪郭は、ロンドンのシティ(金融街)の現代建築から着想を得たとされ、「La City」と名付けられた。径40.3mm、角を丸めた四角形のベゼル、磨きとサテンを交互に配した面構成。装飾的でありながら、過度に華美ではない。

文字盤には12本の水平な溝が刻まれる。これが「Ripples(さざ波)」の名の由来であり、光を受けて陰影を変える。1時半の位置に置かれたスモールセコンドは、この波の連なりを意図的に断ち切り、左右非対称の表情を生む。時針の先端はハート型で、これは創業以来のSpeake-Marinの符牒であり、ロンドンのビッグベンへの目配せとも伝わる。

初代に夜光は与えられなかった。スポーツウォッチとしては珍しい判断だが、磨き面とサテン面のコントラストが、明るさの異なる場面でも視認性を支える。動力は自社製のキャリバーSMA03-T。タングステン製のマイクロローターを備え、機械を薄く保ちながら、毎時28,800振動(4Hz)で52時間の駆動を蓄える。末尾の「T」は、伝統的な高級仕上げ(Tradition)を施したことを示す。

03

デイトと色の拡張

20周年の年には、18Kイエローゴールドの無垢文字盤を持つ記念モデルも用意され、波の意匠が貴金属で表現された。翌2023年には、6時位置にラージデイトを備えるRipples Dateが加わる。日付機構を組み込んだキャリバーは、SMA03-TDと呼ばれた。

2024年のWatches and Wondersでは、メタリックシルバーのRipples Infinity Dateと、砂色のツートンを纏うRipples Dune Dateが登場する。ケースとキャリバーの骨格を保ったまま、文字盤の色と質感で表情を広げる時期であった。

04

超薄型・高振動への跳躍

2024年のGeneva Watch Daysで、シリーズは技術的な転回点を迎える。Ripples Skeletonである。新設計のキャリバーSMA07は、文字盤と機械が一体化したスケルトン構造を採り、厚さはわずか3.25mm。毎時36,000振動(5Hz)の高振動で、日差はおよそ±5秒に収まる。

この薄い機械により、ケース厚は従来の9.20mmから6.30mmへと縮められた。素材には、耐食性に優れる904Lステンレススティールが用いられる。意匠を主役とした初期のRipplesから、機械的な野心を前面に出す段階への移行を、この一本が告げた。

05

ゴールド、そしてカルマン・ライン

2025年のWatches and Wondersでは、Ripples Goldが発表される。これはシリーズ初の総ゴールド・ケースで、責任ある調達が認証された18K・4Nローズゴールドを用い、Gold Brownと称する温かな文字盤を組み合わせた。

2026年、シリーズはRipples Kármán Lineに到達する。名は、地表からおよそ100km上空にあり、大気圏と宇宙の境界とされる「カルマン・ライン」に由来する。904L鋼の薄いケースに、シリーズ初となるサファイアクリスタル製の文字盤を据え、青の金属化処理で深さと透明感を与えた。動力は新型のキャリバーSMA06。厚さ2.5mmの機械が毎時36,000振動(5Hz)で時を刻み、12時位置のマイクロローターが薄さを支える。意匠の独自性から出発したシリーズは、ここで薄型・高振動という技術の語彙を獲得し、現在地に立っている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Ripplesの設計思想は、「英国的な意匠を、現代のスポーツウォッチの作法に翻訳する」という一点に集約される。Speake-Marinが従来用いてきた丸型のPiccadillyケースを手放し、円と正方形を掛け合わせた「La City」ケースを採ったことが、その出発点である。ロンドンの金融街の建築を想起させる輪郭は、一体型ブレスレットという同時代の様式に、ブランド固有の出自を重ねる試みであった。

このシリーズが変えなかったものは三つある。第一に、文字盤を横断する12本の波。光の角度で陰影を変えるこの面は、装飾でありながら情報量を抑え、静けさを保つ。第二に、1時半に置かれたスモールセコンド。左右対称を避けるこの配置はSMA03系キャリバーの構造に根ざし、Speake-Marinの符牒として全派生に受け継がれてきた。第三に、先端がハート型の時針。創業以来の意匠であり、シリーズの英国的な性格を一筆で示す。

機能設計の哲学は「薄さ」と「自制」にある。タングステン製のマイクロローターは、巻き上げ効率を保ちながら機械を薄く保つための選択であった。初代に夜光を与えなかった判断も、これと通じる。光るのではなく、磨き面とサテン面のコントラストで読ませる。色も装飾も声高にしない設計は、一体型スポーツウォッチの定番であるRoyal OakやNautilus、同社が属する独立系の文脈とも異なる輪郭を描く。優劣ではなく、選んだ語法の違いである。

2024年以降、この自制は技術的な深化へと向かう。SMA07、続くSMA06の超薄型・高振動キャリバーは、ケースをさらに薄くし、毎時36,000振動(5Hz)の精度を加えた。意匠で始まったシリーズが、機械の薄さと精度という別の軸でも語りうることを示している。変わらない顔と、変わり続ける中身。その両立が、Ripplesの設計言語の核にある。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2022-
Cal. SMA03-T / SMA03-TD
毎時28,800振動(4Hz)のマイクロローター機。
2024-
Cal. SMA07
厚さ3.25mmのスケルトン、毎時36,000振動へ。
2026-
Cal. SMA06
厚さ2.5mmの超薄型、毎時36,000振動の高振動機。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2022

初代 Ripples(ノーデイト)

604015040 ほか
ブランド初の鋼製一体型ブレス。La Cityケースと波の文字盤を確立。
2023

デイト追加のSMA03-TD世代

Ripples Date
6時位置にラージデイトを備え、機能面でノーデイトと二系統に。
2024

超薄型スケルトンへの転回

604020150
904L鋼で厚さ6.30mm、SMA07による初のスケルトン文字盤。
2025

初の総ゴールド Ripples Gold

624015050
18K・4Nローズゴールドケース、Gold Brown文字盤を採用。
2026

サファイア文字盤の超薄型

Ripples Kármán Line
904L鋼で6.30mm、初のサファイア文字盤と新型SMA06を搭載。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive