2014年、三つのコレクションへの再編
2014年、ピーター・スピーク=マリンは個人工房をひとつのブランドへと組み替える作業に入っていた。それまで個別に発表してきた多数のモデルを、性格ごとに整理する試みである。生まれたのが三つの系譜だった。軍用に着想したスポーツ系のSpirit、装飾と複雑機構を競うCabinet des Mystères、そして古典的な実用時計を束ねるJ-Classである。
J-Classという名は、1930年代の英国で競ったJクラス・ヨットに由来する。ヴェルシェダ、エンデバー、シャムロックVといった名艇が帆走した時代の優美と技術を、コレクション名へ重ねたものである。命名は意匠とも響き合う。スピーク=マリンは、共通ケースであるピカデリーが古い航海用クロノメーターに着想を得ていると語ってきた。「ケースとはムーブメントをまとわせる衣服だ」という彼の言葉は、海の道具になぞらえたものである。J-Classは、この海事的な含意を一群の名として引き受けた。