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SINN · SERIES

Classic Timepieces

クラシック・タイムピース

計器の時計をつくる工房が、伝統的な装いの時計に注いだ技術。フランクフルト発の古典コレクション

44 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Classic Timepieces(クラシック・タイムピース)は、計器の時計で知られるドイツのSinnが、伝統的な装いの時計に向き合うコレクションである。原点は1994年に経営を継いだロタール・シュミットの時代にあり、1999年のフランクフルト・フィナンツプラッツ6000を皮切りに育った古典路線を母体とする。現行は薄型のドレス三型1736/1739/1746、レギュレーターの6100、ドイツ製手巻を積むMeisterbundなど少数で構成される。道具の時計と同じ堅牢さを、控えめな姿に収めた点にこのコレクションの性格がある。

02 — STORY · 物語

Classic Timepieces(クラシック・タイムピース)、これまでの軌跡

The story of this series
01

道具の工房が伝統に向き合う

Sinnは1961年、ヘルムート・ジンがフランクフルトに創業した計器の時計の工房である。パイロットクロノグラフやコックピット時計を出自とし、堅牢な道具としての時計を磨いてきた。その性格を大きく広げたのが、1994年に経営を継いだロタール・シュミットである。彼の時代に、Sinnは道具一辺倒の系譜とは別に、伝統的な装いの時計群を育て始めた。

その起点となったのが、1999年9月2日にフランクフルトの先史・古代史博物館で披露されたフランクフルト・フィナンツプラッツ6000(Ref. 6000)である。文字盤には初めて「Frankfurt am Main」の銘が記された。後に「Made in Germany」として前面に出る出自への自負が、ここで控えめに刻まれている。この古典路線は当初「Klassische Meisterwerke(クラシックの名作)」と呼ばれ、本コレクションClassic Timepiecesの母体となった。道具で知られる工房が装飾的な時計を出すことには相応の賭けがあったが、計器の時計と同じ堅牢さを保った点で、Sinnは自社の流儀を崩さなかった。

02

レギュレーターという選択

2006年、Sinnはこの路線に伝統的な複雑表示を持ち込む。6100レギュレーター(Ref. 6100)である。レギュレーター表示は、かつて精密な振り子時計が時刻の基準であった時代に、時・分・秒を分離して読み取らせた配置に由来する。Sinnはこれを腕時計に移し、12時位置に時、中央に分、6時位置に秒を置いた。

機械には手巻のUnitas 6498系を採り、自社で調整・仕上げを施した上でCal. SZ-04と名付けた。クロノメーター基準で精度を追い込み、両面にサファイアを備える。道具の時計を本領とする工房が、あえて古典的な機構と装いを選んだこの一本は、Sinnが「現代の伝統時計」と呼ぶ姿勢を端的に示している。

03

薄いケースのドレスウォッチ

同じ2006年前後、Sinnは薄型のドレスウォッチも育て始める。1736・1739・1746の三型である。いずれも自動巻のETA 2892-A2を基幹とし、薄いケース壁で文字盤を大きく見せる設計を採った。エナメルやサンバースト、あるいは陶板の文字盤など、道具の時計とは異なる繊細な意匠が並ぶ。

なかでも1746は、フランクフルト西部のヘキスト陶磁器製作所と結びつく。同製作所は1746年創業と伝わる、ドイツで二番目に古い陶磁器の窯である。その手描きの陶板を文字盤に用いた1746は、地元の工芸とSinnの時計づくりを重ねた一本となった。1739にも、フランクフルトの旧市庁舎レーマーや世界遺産マチルダの丘を題材とした限定版があり、三型は土地の記憶を意匠に取り込んでいる。

04

メイド・イン・ジャーマニーの到達点

2016年、創業55周年を機に、このコレクションは一つの頂点を示す。6200 Meisterbund I(Ref. 6200)である。Meisterbund(マイスターの結束)の名のとおり、これはSinnと、ケースを担うグラスヒュッテのSUG、ムーブメントを担うドレスデンのUWDという、三社の協業による作品である。

心臓部の手巻Cal. UWD 33.1は、片持ちの香箱と偏心錘式の調整機構を備え、毎時21,600振動 (3Hz)で約55時間を駆動する。Sinnはこれを、ケース・文字盤・機械・ひげぜんまいの主要部をドイツ国内で製造した初の機械式時計と称する。18金のローズゴールド製で55本に限られ、後にホワイトゴールド版も続いた。調達ムーブメントを土台としてきた工房にとって、国産の機械を中核に据えた意義は小さくない。

05

現在地

近年、汎用ムーブメントの供給環境は変わった。2020年、1739はETAの供給縮小を受けてSellita SW300-1へと移っている。一方で1739にはレーマーなどの限定版が継続的に加わり、コレクションは小さな規模を保ちながら更新を続ける。

Classic Timepiecesは、Sinnのなかで道具の時計と対をなす存在である。派手な機構や大ぶりのケースを抑え、伝統的な姿に計器づくりの堅牢さを収める。その抑制こそが、このコレクションの一貫した態度である。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Classic Timepiecesの設計思想は、「中身は道具、姿は伝統」という一語に集約できる。Sinnが計器の時計で培った堅牢さを保ちながら、その性格をあえて表に出さず、古典的な装いに収める。ここにこのコレクションの核がある。

第一の特徴は、Sinnらしさの意図的な抑制である。回転ベゼルや大量の夜光、厚いケースといった道具の時計の記号を退け、薄いケースと静かな文字盤を選ぶ。1736は36mm、1746は42mm前後と、いずれも腕に沿う寸法に収まる。視認性を最優先する計器の論理は、ここでは繊細な針や明快なインデックスという別の形で受け継がれている。

第二に、堅牢さは姿を変えても残る。これらのドレスウォッチも、ねじ込み式のD3システム竜頭、DIN規格に適合する耐磁性、両面のサファイア風防、そして多くが100m防水を備える。装飾的な外観の内側に、計器の時計と同じ実用の備えが置かれている。華やかさのためではなく、日常の道具として成立させるための設計である。装いを変えても守るべき性能は変えないという判断が、ここに表れている。

第三に、土地の記憶を意匠に織り込む。文字盤の「Frankfurt am Main」、ヘキストの陶板、回転錘に刻まれた旧市庁舎レーマー。これらはフランクフルトという出自を、控えめな細部として時計に宿す試みである。誇示ではなく示唆として土地を語る点に、計器メーカーらしい節度がある。

同じドイツの古典系では、ノモス・グラスヒュッテがバウハウス的な意匠の純度で輪郭を描くのに対し、Sinnは工学を起点に据える。設計の出発点が意匠ではなく堅牢さにある点が、Classic Timepiecesを他のドレスウォッチから分かつ特徴である。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2006-現在
ETA 2892-A2
ドレス三型を支える自動巻。毎時28,800振動 (4Hz)。
2006-現在
Cal. SZ-04 (Unitas 6498ベース)
手巻をレギュレーター配置に改修、6100に搭載。
2016-2017
Cal. UWD 33.1
Meisterbundのドイツ製手巻。毎時21,600振動。
2020-現在
Sellita SW300-1
ETA供給縮小を受け1739が採用した自動巻。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1999

古典コレクションの起点

6000
文字盤に初の「Frankfurt am Main」銘。古典路線の母体となる。
2006

6100レギュレーター

6100
時・分・秒を分離した伝統的表示。手巻SZ-04を搭載。
2006-現在

1736/1746ドレス三型

1736 1746
薄型ケースのドレス。陶板やエナメルの文字盤を採る。
2016

6200 Meisterbund

6200
三社協業によるドイツ製手巻を積む55周年の限定作。
2020-現在

現行ドレスの刷新と継続

1739
ETA供給縮小を機にSellitaへ移行、限定版を継続する。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive