本文へ
MB&F · Legacy Machines · 2021

Legacy Machine LM101 Steel / Blue

2021年発表、MB&Fが通常コレクションで初めてステンレスを纏わせたLM101。本質回帰をさらに推し進めた転換点の一本

52.SL.BLは、2021年に発表されたレガシーマシン LM101のステンレススチール仕様である。40mmケースにライトブルーのトッププレートを組み合わせ、ホワイトゴールドの52.WL.P、レッドゴールドの52.RL.BLと同時に登場した。ベゼルの縮小、サブダイヤルの拡大、Straumann製ダブルヘアスプリングの採用など、2014年の初代から続くLM101を技術と意匠の両面で更新した2021年世代に属する。限定10本のHodinkee版を別とすれば、MB&Fがステンレスを通常コレクションに用いた初めての機械であり、ブランドの入口を広げた点でも意味を持つ。

Ref. 52.SL.BL
発表年 2021
状態 現行品
限定 通常生産
コレクション Legacy Machines
キャリバー LM101
ケース径 40 mm
関連人物 マキシミリアン・ブッサー
パワーリザーブ
01 — Specification

仕様

As of WatchBase sync · 2026.06.12
Case · ケース
素材 Stainless Steel
形状 Round
40 mm
厚さ 16 mm
ガラス Sapphire
裏蓋 Open
Movement · ムーブメント
キャリバー LM101
タイプ Handwound
振動数 18,000 bph
石数 23 石
パワーリザーブ 45 時間
Dial · 文字盤 / Hands · 針
文字盤色 White
インデックス Roman Numerals
Proprietary
i — Editorial

設計思想

Design philosophy

「101」が背負ってきたもの

LM101は2014年、レガシーマシンの3作目として登場した。LM1(2011年)とLM2(2013年)が複雑化の道を示した後、MB&Fはあえて逆を選び、時刻とパワーリザーブ、そして文字盤上に浮かぶテンプだけに絞った「機械式時計の基礎=101」を打ち出した。搭載キャリバーはMB&Fが初めて設計から自社で完結させたもので、仕上げの規範はカリ・ヴティライネンが監修した。40mmという径もまた、44mmの兄機に対する明確な回答だった。52.SL.BLを理解するには、この「純化の系譜」が前提になる。

2021年世代の再設計

2021年、LM101は7年ぶりに大きく手を入れられた。狙いは複雑化ではなく、さらなる削ぎ落としである。ベゼルは細められ、文字盤上の「Legacy Machine」刻印は撤去され、2枚のサブダイヤルはわずかに拡大された。パワーリザーブの目盛りは5つの数字から45・30・15の3つへ整理されている。機構面では、2020年のH. Moser & Cie.とのコラボレーションモデルで初採用されたStraumann製ダブルヘアスプリングが通常コレクションに降り、部品数は229から231へ増えた。裏側のブリッジにはNAC処理による黒色仕上げが加わり、19世紀調の仕上げに現代的な陰影を与えている。

ステンレスという事件

この世代で最も語られたのは素材である。MB&Fは貴金属とチタンを基本としてきた工房であり、ステンレススチールの前例は2017年のHodinkee限定LM101、わずか10本に限られていた。52.SL.BLはそのステンレスを、限定ではない通常コレクションとして初めて採用した機械である。価格もレガシーマシン系で最も手の届く位置に置かれ、独立系時計への関心が急速に高まった2021年という時期において、MB&Fへの新たな入口として機能した。ライトブルーのトッププレートという、貴金属版より明度の高い色を与えられた点も、スチールの性格付けとして読める。

兄弟機とその後

52.SL.BLには、パープル文字盤のホワイトゴールド版52.WL.P、ロイヤルブルー文字盤のレッドゴールド版52.RL.BLという同世代の兄弟機が存在する。3本は寸法も機構も共有し、素材と色で性格を分けた構成である。その後の2025年には、チタンケースに耐衝撃機構を組み込んだLM101 EVOが登場し、LM101系は日常使用へさらに歩み寄った。クラシックな本機はその後も継続しており、2021年世代はLM101の現行の基準点であり続けている。


ii — Editorial

意匠分析

Visual analysis

ケースは直径40mm、風防を含む厚さ16mm。2021年世代はベゼルが先代より細められ、ドーム型サファイアの存在感が一段と増した。ベゼルとラグ上面はポリッシュ、ケースバンドとラグ側面はブラッシュ仕上げで、丸みのあるフォルムに光の階調を与えている。

文字盤側の主役は、サンレイ装飾を施したライトブルーのトッププレートである。これはムーブメントの地板上面そのものであり、その上に2枚の白いサブダイヤルが浮かぶ。サブダイヤルはラック・タンデュ(laque tendue)と呼ばれる伸展ラッカーで艶を与えられ、固定ビスを見せないよう下側から留められる。縁には金色のリングが回り、右上の時分表示には青く焼き付けたゴールド針が載る。6時位置のパワーリザーブは45・30・15のみを刻む簡潔な表示で、視線を散らさない。

そして直径14mmのフライングバランスが全景を支配する。一体削り出しの上で鏡面に磨かれたダブルアーチに吊られ、4つの調整ネジを備えたテンワが毎時18,000振動 (2.5Hz)でゆっくりと往復する。2021年世代はここにStraumann製ダブルヘアスプリングを組み込み、片持ち構造で生じやすい重心の偏りを2本のひげゼンマイで相殺する。

裏返せば、ボックス型サファイアの下にNAC処理で黒く染めたブリッジが現れる。ジュネーブ波、面取り、ゴールドシャトンに収めた大粒のルビーといった19世紀流の手仕上げを、黒地が引き締める構成である。手巻きで45時間のパワーリザーブを備え、ストラップは手縫いのアリゲーターまたはカーフにステンレス製尾錠を合わせる。


iii — Editorial

系譜と歴史

Lineage

52.SL.BLは2021年5月11日、ホワイトゴールドの52.WL.P、レッドゴールドの52.RL.BLとともに専門メディアを通じて一斉に公開された。サロンでの披露ではなく、通常コレクションへの追加という形での発表である。発表時の価格はスチール仕様がCHF 49,000(税抜)、米国向けはUSD 56,000(税抜)で、貴金属版2本のCHF 59,000より低く設定されている。本数を区切った限定ではないものの、MB&Fの年産規模は小さく、実質的には少量生産である。

ステンレス仕様には発表直後から注文が集中したとされ、2021年末の時点で納品が2025年に及ぶ長い順番待ちが生じていたと伝わる。3本の中で最も入手に時間を要する仕様となったのは、素材の希少性と価格設定の双方によるものとみられる。

生産期間中、文字盤や機構に関する公式な仕様変更は確認されていない。2025年9月にはジュネーブ・ウォッチ・デイズでチタンケースのLM101 EVOが発表されたが、これは別系統の派生であり、52.SL.BLを置き換えるものではない。2026年6月現在、本機はMB&F公式サイトのレガシーマシン現行ラインアップに掲載され、生産は継続している。

02 — Derivatives

同型・派生 Ref

Color · material · bracelet variants