「100年前に生まれていたら」
2005年に創業したMB&Fは、HM(オロロジカル・マシン)と呼ばれる立体的で奇抜なケースの時計で知られていた。創業者のマクシミリアン・ブッサーが2011年に示した新シリーズは、その流れに逆らうものだった。丸ケース、白い文字盤、ブルーの針——一見すると19世紀の懐中時計を思わせる古典的な姿である。
このシリーズの構想は、ひとつの問いから出発している。もし自分が100年前に生まれ、当時の巨匠たちと働いていたら、どんな腕時計を作っただろうか。ブッサーはそう問い、19世紀の革新者へのオマージュとしてレガシー・マシンを構想したと語っている。初代LM1の開発はクロノードのジャン=フランソワ・モジョンが担い、仕上げの監修をカリ・ヴォーティライネンが引き受けた。
LM1が見せたのは、古典の装いと裏腹の大胆さだった。本来ケース裏に隠れるはずの14mmの大型テンプを、二本のアーチ状ブリッジで文字盤の上に吊り下げる。左右二つの文字盤は完全に独立して時刻を設定でき、当時としては異例の垂直式パワーリザーブを備えた。