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JUNGHANS · SERIES

Bogner

ボグナー・バイ・ユンハンス

オリンピックスキーヤーの名を冠した、ユンハンスとボグナーが組んだスポーツ・ライフスタイル時計

01 — 概要 / SUMMARY

ボグナー・バイ・ユンハンス (Bogner by Junghans) は、2012年にユンハンスがスキー・ファッションの名門ボグナーと組んで発表したスポーツ・コレクションである。バウハウスのマックス・ビルや古典的なマイスターとは異なる、ユンハンスのスポーティな一面を担う系譜として生まれた。中核は自動クロノグラフの「ウィリー・クロノスコープ」と、三針自動の「ウィリー・オートマティック」。モデル名は、五輪スキーヤーで007のスキー撮影も手がけたウィリー・ボグナーに由来し、文字盤にはユンハンスの八条星とボグナーの「B」が並ぶ。

02 — STORY · 物語

Bogner(ボグナー・バイ・ユンハンス)、これまでの軌跡

The story of this series
01

ユンハンスが求めた「スポーティな一面」

ユンハンスは1861年にドイツ・シュランベルクで創業し、20世紀初頭には世界最大の時計製造企業に数えられた精密時計の名門である。21世紀のコレクションは、バウハウスの思想を映すマックス・ビル、1930年代に起源を持つクラシックなマイスター、そして電波・ソーラー技術といった、いずれも静謐で設計主導の性格に貫かれていた。

その布陣に欠けていたのが、明確に「スポーティ」と呼べる系譜である。2012年、ユンハンスはミュンヘンのスキー・ファッションの名門ボグナーと組み、機械式スポーツウォッチのライン「ボグナー・バイ・ユンハンス (Bogner by Junghans)」を発表した。シュランベルクの時計工房とミュンヘンの服飾企業、二つのドイツの老舗が一つの文字盤の上で出会った。

02

ウィリー・ボグナーという固有名

このコレクションの輪郭は、一人の人物に負っている。ウィリー・ボグナー (Willy Bogner, 1942年ミュンヘン生まれ) である。彼はアルペンスキー選手として1960年のスコーバレー五輪に出場し、同じシーズンにはラウバーホルンの滑降を制した。1966年の世界選手権では回転で4位に入っている。

1967年に映画制作へ軸足を移した後、彼は映画人へと転じる。雪上で被写体を追う独自のカメラワークを開拓し、ジェームズ・ボンド映画4作 ——『女王陛下の007』(1969年)、『私を愛したスパイ』(1977年)、『ユア・アイズ・オンリー』(1981年)、『美しき獲物たち』(1985年) —— のスキー・アクション撮影を手がけた。最後の一作では1985年のバンビ賞を受けた。

そして彼は、父ウィリー・ボグナー・シニアが創業した服飾企業ボグナーの後継者でもあった。同社は長くドイツの冬季五輪チームのウェアを手がけ、母マリアはスキー用ストレッチパンツを広めた人物として知られる。ボンド映画の雪上シーンでも、ボグナーのスキーウェアが用いられた。フラッグシップが「ウィリー」と名づけられ、製品ブリーフィングから命名まで本人が関与した事実は、この時計が一人の滑り手にして映画人の肖像であることを示している。

03

ウィリー・クロノスコープとウィリー・オートマティック

ラインの頂点が「ウィリー・クロノスコープ (Willy Chronoscope)」である。ユンハンスが「クロノスコープ」と呼ぶ自動巻クロノグラフ・キャリバーJ880.1を積む。これはETA/バルジュー7750を基礎とし、25石、毎時28,800振動 (4Hz)、スモールセコンドを備えるトリコンパックス配置に曜日と日付を持つ。ケースは径44.5mm・厚さ15mmのステンレススチール、風防はサファイアクリスタル、裏蓋はシースルー、100m防水 (10気圧) を確保する。白文字盤のRef. 027/4260や、Ref. 027/4266などが知られる。

これを支えるのが三針自動の「ウィリー・オートマティック (Willy Automatic)」である。キャリバーはETA 2824-2系 (後年はゼリタSW200-1系) を基礎とするJ800.1。径42mmと38mmが用意され、ステンレスのブレスレットやアリゲーターのストラップと組み合わされた。クロノグラフの一台に加え、日常的に着けられる三針が男女双方へとラインを広げた。

意匠の核は、文字盤の上でユンハンスの八条星とボグナーの「B」が並ぶことにある。協業を視覚的に宣言するこの構図は、ロゴを控えめに扱うユンハンスの他系譜とは対照的であり、ラインのスポーティな性格を端的に物語る。

04

短い軌跡と、その現在地

1961年以来生産が続くマックス・ビルや、長寿のマイスターと異なり、ボグナー・バイ・ユンハンスは比較的短命な協業に終わった。現行の2024/2025年カタログにその名はなく、今日では主に中古市場で出会う系譜となっている。

ボグナー社は2010年代後半に売上を落とし、長く担ってきたドイツ冬季五輪チームのウェアの契約も失ったとされる。ただし、協業の終了と結び付ける公表資料はなく、両社が打ち切りの経緯を明らかにした記録は確認できていない。

このラインが残したのは、ユンハンスが著名な名を借りて、自社の静かな設計言語の外側へ——明確にスポーツとライフスタイルの領域へ——踏み出した一時期の記録である。二つのドイツの血統を一つの文字盤に載せたスポーツウォッチとして、その立ち位置は今も明快である。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

ボグナー・バイ・ユンハンスの設計思想は、まず「共同ブランディングを隠さない」という一点に集約される。文字盤の上でユンハンスの八条星とボグナーの「B」が同居する構図は、このラインの出発点であり到達点でもある。ロゴを最小限に抑え、文字と針の機能美で語るマックス・ビルやマイスターとは正反対に、ここでは二つの紋章が堂々と主張する。ユンハンスにとって、これは静かな設計言語から踏み出す意図的な選択であった。

スポーティな性格は、寸法と視認性の設計に表れる。クロノスコープの44.5mm、オートマティックの42mmと38mmという径は、薄く控えめなバウハウス系より明らかに存在感を持つ。コントラストの強い文字盤と明快なインデックスが視認性を最優先し、サファイアクリスタルと100m防水が日常からアクティブな場面までを受け止める。白い文字盤は冬の晴れた日を思わせる配色と評された。専用のダイバーズツールではなく、雪と運動の世界を想起させる時計、という位置づけである。

機械の選択もまた設計思想の一部である。クロノスコープにはバルジュー7750系、三針には2824系という、堅牢で世界中の時計師が扱える汎用の名機を基礎に据え、ユンハンスが仕上げと刻印を施した。希少性よりも信頼性と扱いやすさを採るこの判断は、スポーツ用途を掲げるラインの性格に合致する。

そして命名が設計に意味を与える。頂点を「ウィリー」と呼ぶことで、この時計は単に「スポーティ」なのではなく、滑り手にして映画人であった一人の人物の記号を帯びる。何を変えなかったか——読みやすく、堅実に作られた機械式という、ユンハンスの核。何を変えたか——ブランディングの音量、ケースの体積、固有名という物語。ボグナー・バイ・ユンハンスは、その振れ幅の中で、ユンハンスのカタログでもっとも声の大きいスポーツ表現として立っている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2012
Cal. J800.1
ETA 2824-2系の自動巻三針。
2012
Cal. J880.1
ETA/バルジュー7750ベースの自動クロノ。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2012

ウィリー・クロノスコープ

027 4260 027 4266
J880.1搭載の自動クロノ、径44.5mm。ラインの頂点。
2012

ウィリー・オートマティック42

Willy Automatic 42mm
J800.1搭載の三針自動、径42mm。ラインの日常機。
2012

ウィリー・オートマティック38

Willy Automatic 38mm
径38mmの三針自動。男女双方へラインを広げた版。
Sources

出典

本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。

  1. 01 専門メディア Junghans and Bogner launch joint sports watch collection 専門メディア · Europa Star · 2026.10.12 閲覧 Europa Star · 2026.10.12
  2. 02 専門メディア Junghans Max Bill Guide 専門メディア · Teddy Baldassarre · 2026.08.15 閲覧 Teddy Baldassarre · 2026.08.15
  3. 03 専門メディア Junghans 027/4260 : Bogner by Junghans Willy Chronoscope Stainless Steel / White 専門メディア · WatchBase · 2026.10.12 閲覧 WatchBase · 2026.10.12
  4. 04 専門メディア Junghans: Bogner by Junghans 専門メディア · WatchTime(ドイツ版) · 2026.10.12 閲覧 WatchTime(ドイツ版) · 2026.10.12
  5. 05 ブログ Willy Bogner Jr. - Wikipedia ブログ · Wikipedia · 2026.10.12 閲覧 Wikipedia · 2026.10.12
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 1 モデル

1 references in archive