設計思想
スティール化という決断
1966コレクションは、毎時36,000振動の高振動ムーブメントによる成果に対し、1966年にヌーシャテル天文台の百周年記念賞を受けたことを記念するシリーズで、2006年に発足したとされる。当初は金やプラチナの貴金属ケースだけで構成され、ブランドのクラシック路線を象徴するラインであった。
転機は2015年10月に訪れる。コレクション初のステンレススティール仕様として、40mm径の49555-11-131-BB60(ストラップ)と49555-11-131-11A(ブレスレット)が、いずれも銀色の文字盤で発表されたのである。ケースの形、短く湾曲したラグ、刻みの入ったリューズは金の1966と同じで、径には既存の38mmと41mmの中間にあたる40mmが選ばれた。文字盤のインデックスは5分ごとのアプライドに改められ、点で刻むミニッツトラックが加わった。ややスポーティな1966を求める層や、より広い顧客に向けた展開と専門誌は伝えている。
青文字盤が加わるまで
スティール40mm系は銀文字盤から始まり、段階的に表情を広げてきた。2019年のSIHHでは、ブランドのテーマ「アース・トゥ・スカイ」に合わせ、ブラックDLC処理のスティールケースにブルーのグラデーション文字盤を組み合わせた限定149本のエディション(49555-11-433-BH6A)が登場した。2020年には、オニキス文字盤のインフィニティ・エディションも加わっている。
本機49555-11-431-BB60のブルー文字盤仕様が加わった正確な時期は、公表資料からは確認しづらい。ただし遅くとも2020年には流通していたとされる。銀文字盤が素の1966だとすれば、本機はフランケの放射模様に青を重ね、抑制された意匠に光の表情を与えた一本である。
シリーズ内での位置
同じ40mmスティール系には、銀文字盤の49555-11-131-BB60、ブレスレット仕様の49555-11-131-11A、黒いアリゲーターストラップにブルーのサンレイ文字盤を載せた49555-11-434-BH6Aなどが並ぶ。2016年に復活したロレアートがスポーツ側の柱を担う一方、1966のスティール系はドレス側の入口として機能してきた。本機はその中で、色彩を持ちながら複雑化はしない、基準機の青という立ち位置を占める。
意匠分析
ケースは全面ポリッシュで、ベゼル、風防、裏蓋までが緩やかなドームを描く曲線で構成される。厚さは8.9mmに抑えられ、短く下向きに湾曲したラグが手首に沿うため、40mmの数字より小さく装着される。ストラップはケースに密着するよう成形され、ケースとベルトの境界を感じさせない一体感を生む。ベゼルは細く絞られ、リューズには刻み付きのGPロゴ入りを備える。
文字盤は本機固有の見どころである。公式は「サンレイ模様のブルーのフランケ(flinqué)」と表記しており、彫り模様の地に青を重ねた文字盤である。光源の角度によって彫りの線が浮かび、平滑なサンレイ仕上げとは異なる細かな陰影が生まれる。アプライドのバトンインデックスとリーフ型針は1966共通の意匠で、いずれもスティール色のまま青地に置かれ、反射のコントラストで時刻を読ませる。3時位置には小さな日付窓を備える。なお公式サイトは、文字盤に創業年の表示を持たない個体も生産されたと明記しており、刷りの異なる2種が存在する。
ムーブメントは自社製Cal.GP03300-0030。毎時28,800振動 (4Hz)、約46時間のパワーリザーブ、218部品・27石の3針デイト機で、面取り、サーキュラーグレイン、コート・ド・ジュネーブなど5種の仕上げが施され、サファイアの裏蓋から青焼きネジとともに観察できる。30m防水という割り切りも、薄さと曲面を優先したドレスウォッチとしての選択である。
系譜と歴史
1966コレクションは2006年に誕生したとされ、約10年にわたり金やプラチナの貴金属ケースで展開された。2015年10月、コレクション初のステンレススティール仕様として、40mm径の銀文字盤2型(ストラップの49555-11-131-BB60とブレスレットの49555-11-131-11A)が発表され、本機が属するスティール40mm系の枠組みが成立する。ムーブメントは金の3針モデルと同じGP03300-0030である。
2019年には、ブラックDLC処理のスティールケースにブルーのグラデーション文字盤を組み合わせた限定149本のアース・トゥ・スカイ・エディションが同じ40mm系で発表され、2020年にはオニキス文字盤の限定版インフィニティ・エディションも加わった。ブルーのフランケ文字盤を持つ本機49555-11-431-BB60の追加時期は公表資料から特定できないが、遅くとも2020年には正規流通していたとされる。
生産期間中には文字盤の刷りが変更されており、公式サイトは創業年の表示を持たない文字盤の個体が存在すると注記している。2026年10月時点で公式サイトに本機の製品ページは残るものの、完売の扱いとなっている。同じ40mm系では、黒いストラップにブルーのサンレイ文字盤を合わせた49555-11-434-BH6Aが掲載されている。
出典
本文の執筆にあたって参照した資料。閲覧日は内容を確認した日を示す。
- 01 公式 1966 40 mm Ø 40 mm 49555-11-431-BB60 Timepiece
- 02 公式 1966 40 mm Ø 40 mm 49555-11-434-BH6A Timepiece
- 03 専門メディア 2019年 ジラール・ペルゴ新作 1966 「アース・トゥ・スカイ」 エディション
- 04 専門メディア Introducing - Girard-Perregaux 1966 and Vintage 1945 Infinity Editions
- 05 専門メディア Introducing the Girard-Perregaux 1966 Steel - Specs & Price
- 06 専門メディア Girard-Perregaux caliber GP03300-0030