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FP JOURNE · SERIES

Souveraine

スーヴェレーヌ

1999年のトゥールビヨンに始まり、ルモントワールと共鳴で精度を究めるF.P.ジュルヌの基幹コレクション

39 mm – 42 mm
01 — 概要 / SUMMARY

スーヴェレーヌ(Souveraine)は、1999年にF.P.ジュルヌが手巻トゥールビヨンで創始した基幹コレクションである。一貫する主題は計時精度であり、ルモントワール(定力装置)や二つのテンプを共鳴させる機構など、独自の発明で歩度の安定を追求してきた。Chronomètre à Résonance、Chronomètre Souverain、Centigraphe Souverain、Astronomic Souveraineといった手巻の高級機械式時計が連なる。2004年以降は地板とブリッジを18K赤金で製作する点でも知られ、自動巻のOcta系とは異なる、ジュルヌの古典主義の核を成す。

02 — STORY · 物語

Souveraine(スーヴェレーヌ)、これまでの軌跡

The story of this series
01

予約販売で始まった創設コレクション

1999年、F.P.ジュルヌは最初の腕時計トゥールビヨン・スーヴェレーヌ(Tourbillon Souverain)を発表し、ブランドとスーヴェレーヌ・コレクションを同時に出発させた。販売はあらかじめ20本の枠を募る予約販売(souscription)の形をとった。これはA.-L.ブレゲが18世紀末に用いた資金調達と同じ手法であり、無名の独立時計師が大複雑時計を世に問うための現実的な選択でもあった。

機械の核心はルモントワール・デガリテ(remontoir d'égalité)、すなわち定力装置である。ぜんまいの解ける力は時間とともに弱まり、テンプの振り角と歩度に影響する。ジュルヌはトゥールビヨンに定力装置を組み合わせ、脱進機へ送る力を一定に保とうとした。「スーヴェレーヌ」はフランス語で「至上の」を意味し、計時精度への志がそのまま名に表れている。

02

共鳴という賭け

2000年、二作目として発表されたのがクロノメーター・ア・レゾナンス(Chronomètre à Résonance)である。一つのムーブメントに二つのテンプを近接して配し、互いの振動が空気を介して影響し合う「共鳴」現象によって歩度を安定させる。C.ホイヘンスが17世紀に観察し、A.ジャンヴィエやブレゲが研究した現象を、ジュルヌは機械的な連結を一切持たない腕時計として実現した。量産腕時計で共鳴を用いた最初の例と伝わる。

初期の数年間、ムーブメントはロジウムめっきを施した真鍮で作られた。ケース径は38mmと、後年の40mmより控えめである。真鍮製の個体は全モデル合わせても2,000本ほどとされ、コレクションの第一期を象徴する。

03

真鍮から金へ

2004年前後、ジュルヌは地板とブリッジの素材を真鍮から18K赤金へと全面的に切り替えた。金は加工が難しく高価だが、酸化に強く、ジュルヌは自らのムーブメントの証としてこれを選んだ。現代の量産時計で機械全体を金で作る例は稀であり、スーヴェレーヌの視覚的な個性はここで確立された。

同じ頃、トゥールビヨンも世代交代を迎える。2003年に自然のデッドビート・セコンド(seconde morte、針が1秒ごとに刻む運針)を加えた新世代(Cal. 1403)が登場し、翌2004年にはこのトゥールビヨン・ア・セコンド・モルトがジュネーブ時計グランプリ(GPHG)の最高賞エギーユ・ドールを受けた。創業から5年での受賞であった。

04

大複雑の連覇

2005年、より手の届きやすい三針機としてクロノメーター・スーヴェレーヌ(Chronomètre Souverain、Cal. 1304)が加わる。二つの香箱を並列に配して脱進機へ送る力を安定させ、フリースプラング・テンプとパワーリザーブ表示を備えた。同年のGPHGメンズウォッチ賞を受け、以後コレクションの入口にして核となった。

続く数年は大複雑の時代である。2006年のソヌリ・スーヴェレーヌ(Sonnerie Souveraine)はグランド・ソヌリで、10件の特許と平打ちゴングを擁し、同年のエギーユ・ドールを受けた。2008年のサンティグラフ・スーヴェレーヌ(Centigraphe Souverain)はケース側面のロッカーで操作し、1/100秒を計測するクロノグラフで、これも同年のエギーユ・ドールに輝いた。スーヴェレーヌは2004・2006・2008年と最高賞を三度受ける稀な系譜となった。2010年にはミニッツリピーターのレペティション・スーヴェレーヌ(Répétition Souveraine、Cal. 1408)、2012年には二つの香箱とルモントワール、高性能脱進機を組み合わせたクロノメーター・オプティマム(Chronomètre Optimum、Cal. 1510)が続いた。

05

20周年の刷新と現在

2019年、創設モデルの20周年に合わせてトゥールビヨン・スーヴェレーヌ・ヴェルティカル(Cal. 1519)が登場した。トゥールビヨンのキャリッジを垂直に立て、姿勢差による精度の揺らぎを抑える設計で、ルモントワールとデッドビート・セコンドを保つ。同年には18の機能を持つ大複雑アストロノミック・スーヴェレーヌ(Astronomic Souveraine、Cal. 1619)も発表された。2020年にはクロノメーター・ア・レゾナンスが二重のルモントワールを得た新世代(Cal. 1520)へと刷新され、共鳴という主題が再び更新された。2025年にはクロノメーター・スーヴェレーヌが20周年を迎え、青文字盤に金のアプライドインデックスをまとう。発明によって精度を高めるという出発点の主題を、コレクションは四半世紀を経てなお保っている。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

スーヴェレーヌを貫く設計思想は、装飾よりも先に計時精度を置くことである。ジュルヌの時計はまず時計(クロノメーター)であろうとし、複雑機構もその精度を支えるために選ばれる。文字盤に刻まれる「Invenit et Fecit」(発明し、作る)の語は、この姿勢の宣言でもある。

その思想を最も象徴するのがルモントワール・デガリテ(定力装置)の反復採用である。トゥールビヨン、オプティマム、ヴェルティカル、アストロノミックと、コレクションの要所に定力装置が現れる。衰えていくぜんまいの力を一定にならして脱進機へ送るという発想は、満タン時から終盤まで歩度を揃えるためのジュルヌの一貫した答えである。テンプはほぼ常にフリースプラング、香箱は並列の二つを基本とし、これも安定した動力供給を狙う。

意匠面の核は2004年以降の18K赤金ムーブメントにある。地板もブリッジも金で作るため、裏蓋越しの機械は独特の暖色を帯びる。多くの高級時計が洋銀やロジウム仕上げで冷たい輝きを見せるのに対し、スーヴェレーヌの機械は金そのものの色で語る。文字盤側では、銀無垢のギヨシェ、焼き戻しブルースチール針、ねじ留めされた小径ダイヤルの枠といった要素が世代を超えて受け継がれる。

レイアウトは中心対称ではなく、時分・スモールセコンド・パワーリザーブを盤面に振り分ける非対称の均衡を好む。情報を詰め込みながら視覚的な静けさを保つこの構成が、四半世紀を経ても一目でジュルヌと分かる「顔」を作っている。同時代の独立時計師が手仕上げの精緻さを競うなかで、スーヴェレーヌは発明と精度を前面に置く点で輪郭を異にする。ケース径も38mmから40mm、大複雑で42〜44mmへと広がりつつ、過度な大型化や色の氾濫を避ける自制は共通する。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1999-2004
真鍮製ムーブメント各種
ロジウムめっき真鍮の手巻。創設期の世代。
2004-2010
Cal. 1403 / 1304 / 1505 / 1506
18K赤金へ移行。トゥールビヨンからソヌリまで。
2010-2012
Cal. 1408 / 1510
リピーターと定力の精度探究を深める世代。
2019-2020
Cal. 1519 / 1520 / 1619
垂直トゥールビヨンと二重定力の共鳴機。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1999-2003

創設のトゥールビヨン

Tourbillon Souverain
ルモントワール付き手巻トゥールビヨン、20本の予約販売で出発。
2000-2010

共鳴を実現した第二作

Chronomètre à Résonance
二つのテンプを共鳴させ歩度を安定させる世界初の腕時計とされる。
2005-現在

時計のみの基準モデル

Chronomètre Souverain
並列二香箱の高精度三針。コレクションの入口にして核となった。
2006-2008

エギーユ・ドール連覇期

Sonnerie Centigraphe Souverain
ソヌリと1/100秒計時で、最高賞を連続して受賞した時期。
2012-現在

精度探究の到達モデル

Chronomètre Optimum
二つの香箱とルモントワール、高性能脱進機を組み合わせる。
2019-現在

創設20周年の刷新世代

Tourbillon Vertical 新Résonance
垂直トゥールビヨンと二重定力の共鳴機で主題を更新。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive