ジェンタの遺産を継ぐ
ブルガリは1884年にローマで創業した宝飾メゾンであり、時計の分野では長く外部供給のムーブメントに頼ってきた。その立ち位置を変える転機が2000年に訪れる。時計師ジェラルド・ジェンタとダニエル・ロートの両ブランド、そしてヴァレ・ド・ジューのル・サンティエにある製造設備を取得したのである。これによりブルガリは、高級コンプリケーションを内製しうる技術基盤を一挙に手にした。オクトの名は、ジェンタが1980年代に自らのブランドで生み出した八角形の時計に淵源を持つとされる。ジェンタはロイヤルオークやノーチラスを手がけ、高級スポーツウォッチという領域を切り開いた人物である。両者を共同ブランドとして併記した移行期を経て、2012年、ブルガリはジェンタの名を文字盤から外し、オクトを自社シリーズとして再構築した。