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BULGARI · SERIES

Octo

オクト

ジェラルド・ジェンタの八角形を受け継ぎ、薄さの探求で宝飾メゾンを時計師へと変えたシリーズ

40 mm
01 — 概要 / SUMMARY

オクトは、2012年にブルガリが発表した八角形ケースを核とするシリーズである。時計師ジェラルド・ジェンタが手がけた同名作に淵源を持ち、建築的なオクト・ロリジナーレ、超薄型路線のオクト・フィニッシモ、より古典的なオクト・ローマへと枝分かれした。2014年以降のフィニッシモは、トゥールビヨンからパーペチュアルカレンダーまで「世界最薄」級の記録を重ね、宝飾メゾンであったブルガリを本格的な時計ブランドへと押し上げた存在として知られる。

02 — STORY · 物語

Octo(オクト)、これまでの軌跡

The story of this series
01

ジェンタの遺産を継ぐ

ブルガリは1884年にローマで創業した宝飾メゾンであり、時計の分野では長く外部供給のムーブメントに頼ってきた。その立ち位置を変える転機が2000年に訪れる。時計師ジェラルド・ジェンタとダニエル・ロートの両ブランド、そしてヴァレ・ド・ジューのル・サンティエにある製造設備を取得したのである。これによりブルガリは、高級コンプリケーションを内製しうる技術基盤を一挙に手にした。オクトの名は、ジェンタが1980年代に自らのブランドで生み出した八角形の時計に淵源を持つとされる。ジェンタはロイヤルオークやノーチラスを手がけ、高級スポーツウォッチという領域を切り開いた人物である。両者を共同ブランドとして併記した移行期を経て、2012年、ブルガリはジェンタの名を文字盤から外し、オクトを自社シリーズとして再構築した。

02

建築としてのオクト

2012年に登場したオクトは、八角形のケースに円形ベゼルを組み合わせ、その内側を再び八角形のレハウトが囲む構成を採る。ブルガリは、この造形をローマ建築、とりわけマクセンティウスのバシリカの円弧に着想を得たものと説明する。多層に削り出された面の数は110に及び、黒漆の文字盤は深い湖面のような奥行きを見せた。心臓部には自社製の自動巻、Solotempoキャリバー(BVL 191 / 193系)を据え、100m防水を備える。宝飾の意匠ではなく建築の論理で時計を語るこの姿勢は、ジェンタ愛好の高まりとも重なり、ブルガリの時計部門にとって明確な転機となった。後にこの初代系統は、派生モデルと区別するためオクト・ロリジナーレと呼ばれるようになる。

03

薄さへの転回

2014年、ブルガリはオクト・フィニッシモ・トゥールビヨンを発表する。ムーブメント厚はわずか1.95mm、世界最薄級のフライングトゥールビヨンであった。デザインを率いるファブリツィオ・ブオナマッサ・スティリアーニは、フィニッシモを「美意識ではなく、一つの概念の確立」だと語っている。彼は110面の彫刻的なケースから面を削ぎ、裏蓋を再設計し、ケースより厚かった留め金をブレスレットの内側へ隠した。厚みを敵とする設計思想が、オクトの輪郭を保ったまま、まったく別の時計を生んだ瞬間である。

04

記録の連鎖

フィニッシモはその後、薄さの記録を年ごとに塗り替えていく。2016年のミニッツリピーター、2017年の自動巻(BVL 138)、2018年の自動巻トゥールビヨン、2019年のクロノグラフGMT、2020年のトゥールビヨンクロノグラフ。2021年のパーペチュアルカレンダー(BVL 305)はムーブメント厚2.75mmに収められ、ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)の最高賞アギーユ・ドールを獲得した。複雑機構を一つずつ薄型へ翻訳していくこの規律は、わずか数年でメゾンの評価を一変させ、業界の上位へと押し上げた。

05

極限とその先

2022年のオクト・フィニッシモ・ウルトラは、全厚1.80mmという機械式最薄の記録に到達する。裏蓋そのものを地板として用い、独立系のConceptoとともにBVLキャリバー180を開発、ラチェット車にはデジタル作品へ接続するQRコードが刻まれた。2024年にはCOSC認定の1.70mm、2025年には1.85mmのウルトラ・トゥールビヨンが続く。もっとも、これらの最薄記録は計測の前提によって解釈が分かれ、リシャール・ミルなど他社の主張と競合する場面もある。それでもオクトは、宝飾メゾンを本格的な時計ブランドへと押し上げた象徴であり続けている。現在もフィニッシモを軸に、円形ベゼルで古典的なオクト・ローマ、建築的なオクト・ロリジナーレが併走している。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

オクトの設計が一貫して守ってきたのは、八角形と円の対話である。八角形のケースの上に円形のベゼルが載り、その内側を再び八角形のレハウトが囲む。この入れ子の幾何が、1970年代にジェンタが確立した高級スポーツウォッチの語彙を、ローマ建築の論理で読み替えたオクト固有の表情を生む。八角形は古代ローマの建築に頻出する形であり、ブルガリはこの幾何を自らの出自と結びつけて語ってきた。

初期のオクトは、110に及ぶ面と多層の構造を彫刻的な見どころとした。黒漆の文字盤は深い奥行きを湛え、視覚の重心を中央へ静かに引き寄せる。インデックスとハンドは細く端正にまとめられ、装飾よりも面と陰影で語る方針が貫かれる。一方フィニッシモは、同じ輪郭を保ちながら面を整理し、裏蓋とブレスレットを薄く作り直した。留め金をブレスレットの内部へ隠す処理は、薄さを設計の主題に据えるという宣言である。ブオナマッサ・スティリアーニはこれを「美意識ではなく概念」と表現しており、薄さそのものが意匠の中心軸となっている。

意匠面では、文字盤の刻印を最小限に抑え、サンドブラストやマット仕上げによる単色の表面で「静かな高級」を志向する。ケースと一体化したブレスレットは段差を消し、手首の上で薄い一枚の面として連続する。素材はチタン、スティール、ローズゴールド、セラミックと幅広い。ロイヤルオークやノーチラスが装飾的なギョーシェや厚みのある存在感で語るのに対し、オクト・フィニッシモは薄さと余白を表現の中心に置く点で輪郭を異にする。変えなかったのは八角形の骨格、変え続けたのは厚みと素材と表面の質感。この分担こそが、年を経ても一見してオクトと分かる顔を支えている。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
2012-現在
BVL 191 / 193 系
建築的オクトを支える自社製自動巻。三針・日付。
2014-2016
BVL 268 (Finissimo)
超薄型の起点。手巻フライングトゥールビヨン。
2016-2021
BVL 362 / 288 / 318 / 388 / 305
超薄型コンプリケーションの記録群。
2017-現在
BVL 138 (Finissimo)
ペリフェラルローター自動巻。薄型の常用機。
2022-現在
BVL 180 (Ultra)
裏蓋を地板化した極薄機。Conceptoと共同開発。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
2012-現在

建築としての初代オクト

Octo L'Originale (Ref. 102031)
八角形ケースに円形ベゼル。110面で構成する建築的な原型。
2014-

超薄フィニッシモの誕生

Octo Finissimo Tourbillon (Cal. BVL 268)
ムーブメント厚1.95mm。超薄型路線の起点となった一本。
2017-

日常を担う薄型自動巻

Octo Finissimo Automatic (Cal. BVL 138)
厚2.23mmの自動巻。日常使いの中核を担う基幹モデル。
2021-

薄型コンプリケーションの頂点

Octo Finissimo Perpetual Calendar (Cal. BVL 305)
厚2.75mm。GPHG最高賞を得た世界最薄級の永久暦。
2022-

機械式最薄への到達点

Octo Finissimo Ultra (Ref. 103611)
全厚1.80mmの機械式最薄記録。裏蓋を地板に用いる。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive