系譜と歴史
自社製ムーブメントへの道
Speake-Marinは2002年、英国出身の時計師Peter Speake-Marin(ピーター・スピーク・マリン)がスイスで創業したブランドである。創業者は2017年に離脱し、現在はChristelle Rosnoblet(クリステル・ロノブレ)を中心とするロノブレ家が所有する。ロノブレは2012年に経営へ加わると、ムーブメントの内製化を方針の軸に据えた。2014年にはムーブメント開発工房Le Cercle des Horlogers(ル・セルクル・デ・オルロジェ)へ出資し、2015年に自社製ムーブメント戦略を始動する。2020年には同工房の筆頭株主となり、SMA系キャリバーの開発・組立・管理を自社の管理下に置く体制を整えた。SMA03-Tが「自社製」と称される根拠は、この垂直統合にある。
CH200アーキテクチャ
SMA03-Tのベースは、Le Cercle des HorlogersのCH200.CHSAである。同工房は2012年、Nicolas Herren(ニコラ・エラン)とAlain Schiesser(アラン・シーサー)が設立した。シーサーはChristophe Claretで複雑機構の設計を、エランはオーデマ ピゲやLouis VuittonのLa Fabrique du Tempsでトゥールビヨン等の製作を手がけた経歴を持つ。CH200のマイクロローター・アーキテクチャは、Louis Vuitton タンブール(Cal. LFT023)やAltoのArt 01(Cal. A01)など、複数の独立系ブランドの基盤としても展開されている。各社が独自の仕上げと意匠を加える設計思想であり、SMA03-TはSpeake-Marinの様式に沿って構成される。
SMA03ファミリーと「Tradition」
SMA系は段階的に展開した。閉じた文字盤のAcademic系に載るSMA03を起点に、文字盤を開放(オープンワーク)化し高級仕上げを加えた派生がSMA03-Tである。末尾の「T」はTraditionを意味し、ロジウムめっきや手作業の内角仕上げといった伝統的装飾を施した版を指す。SMA03-Tが初搭載されたのは、2022年のWatches and Wondersで発表されたRipplesである。一体型ブレスレットを備えるスポーツウォッチで、ブランドの新機軸となった。ファミリーにはブランド20周年記念のSMA03-T20、6時位置へ大型日付窓を加えたSMA03-TDがあり、上位にはフライングトゥールビヨンを1時30分へ据えたSMA05系が連なる。