03 — EDITORIAL
系譜と歴史
Genealogy & history
1. 自社開発の最初の機械
MB&Fは、マキシミリアン・ブッサーが2005年にジュネーブで創業した独立系のブランドで、名前は「Maximilian Büsser & Friends」に由来する。異星の機械のようなホロロジカル・マシンで知られる一方、丸いケースと古典的な意匠を持つレガシー・マシンも展開している。SJXによれば、レガシー・マシンは19世紀の時計へのオマージュとして作られ、丸いケース、古典的な様式、美しく仕上げた機械を共有する。
それまでのレガシー・マシンは複雑機構を備えていた。LM1は2つの時間帯を表示し、LM2は2つのテンプを持つ。2014年のLM101は、時刻だけを表示するシンプルなモデルで、SJXはMB&Fの世界への簡潔で手の届きやすい入り口として構想されたと書く。同時に、LM101はMB&Fが自社で開発した最初のムーブメントを積んでいた。ヴティライネンが機械の仕上げと意匠を担当している。
2. 緩速テンプという選択
LM101の核心は、毎時18,000振動 (2.5Hz) という緩やかな振動数と、直径14mmの大きなテンプにある。SJXによれば、このテンプはLM1のものと同じで、4つの調整錘とブレゲ巻上げのヒゲゼンマイを備える。二つの小さな文字盤を圧倒するほどの大きさで、19世紀の鉄橋を思わせるV字形の大きな受けに支えられて文字盤の上に浮かぶ。現代の主流である毎時28,800振動より遅い振動数は、大きなテンプの緩やかな動きを目で楽しませる。
3. 進化の系譜
LM101の機構は、時とともに静かに更新された。Monochromeによれば、2020年にH.モーザーとの協業によるパフォーマンス・アートの版で、シュトラウマン製のダブルヒゲゼンマイが初めて使われた。2021年には標準のモデルもこれに倣い、ステンレススチールのモデルが加わった。同じ年には、テンプを支える二本のアーチを一つの金属の塊から削り出して手で鏡面に磨き、受けにはNAC処理の黒い仕上げを施している。
2025年、MB&Fは創業20周年の年に、LM101 EVOを発表した。日常に着けやすくすることを狙った版で、チタンの40mmのケース、ねじ込みのリューズ、ムーブメントとケースの間に入れる独自の緩衝機構FlexRingを備える。パワーリザーブは45時間から60時間へ延びた。
04 — MECHANISM
技術解説
Technical breakdown
緩速の大型テンプ
LM101の設計を貫くのは、直径14mmに及ぶ大型のテンプである。テンプとは、ヒゲゼンマイと組んで一定の周期で振動し、歩度を司る調速部品を指す。一般に径が大きいほど慣性モーメントが増し、外乱に対して安定しやすい。LM101はこのテンプを毎時18,000振動 (2.5Hz) という低い振動数で駆動する。現代の主流である毎時28,800振動 (4Hz) の6割強にあたり、一振りの周期が長い。
テンプ・ヒゲゼンマイ・脱進機(アンクルとガンギ車から成り、動力を間欠的に伝える機構)が、ひとつの調速系を構成する。SJXによれば、アンクルとガンギ車は、文字盤上のテンプと二つの小さな文字盤のあいだに置かれている。緩やかな運動は、文字盤上での見せ方という意匠上の狙いとも合致する。
文字盤側への懸架
テンプは機械の裏ではなく、文字盤側の上方に配される。これを支えるのが、二本のアームが弧を描くアーチ状の受けである。2021年以降のモデルでは、この受けを一つの金属の塊から削り出し、手で鏡面に磨き上げる。テンプは4つの調整錘を備え、緩急針に頼らず歩度を整える。
ヒゲゼンマイは、初期のモデルでは終端を持ち上げたブレゲ巻上げの形状を採った。2021年以降はシュトラウマン製のダブルヒゲゼンマイへ移行する。二枚のヒゲを組み合わせる構造は、伸縮時に生じる重心の偏りを打ち消し、姿勢差の低減に寄与するとされる。
香箱と表示
動力源は単一の香箱(ぜんまいを納める部品)である。標準の仕様で45時間、2025年のEVOでは60時間のパワーリザーブを確保する。輪列を経た動力は、2時位置の小さな文字盤に時と分を、6時位置の小さな文字盤にぜんまいの残量を伝える。SJXは、パワーリザーブ表示の斜体のアラビア数字を魅力的な細部として挙げている。手巻のため、装着者は日々の巻き上げを通じて、ぜんまいの張りを手元に感じ取ることになる。
仕上げと造作
仕上げは、ヴティライネンが監修する19世紀様式の手仕事に貫かれる。SJXは、大きなルビーを金のシャトン(石を保持する座)に収め、受けと座ぐりにはっきりとした面取りを施していると書き、歯車のスポークの面取りや角穴車の筋目といった細部まで行き届いていると評した。石数は23石、構成部品は2021年の版で231点、EVOでは233点を数える。EVOでは、ケースとムーブメントの間にFlexRingと呼ぶ緩衝環を入れ、手巻の機械を衝撃から守る。