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CALIBER · AUDEMARS PIGUET

AP 2325

自動巻 Automatic Analog

ジャガー・ルクルトのCal.889を礎に、オーデマ ピゲが磨き上げた日付付き自動巻

OVERVIEW · 概要

AP 2325は、ジャガー・ルクルトのCal.889を基礎とし、オーデマ ピゲが自社で仕上げた自動巻キャリバーである。振動数28,800vph (4Hz)、32石、パワーリザーブ38時間を備え、日付表示を持つ。際立つ特徴は21金製の振り子状ローターと、セラミック製のボールベアリングにある。基幹版はロイヤルオーク オフショア スキューバやミレネリーの自動巻に搭載された。モジュール追加版はロイヤルオークのデイデイト系に用いられている。オーデマ ピゲが完全自社製へ移行する直前を映すムーブメントである。

SPECIFICATIONS · 仕様
MakerAudemars Piguet
ReferenceAP 2325
TypeAutomatic
DisplayAnalog
Frequency28,800 bph (4 Hz)
Jewels32 石
Power reserve38 h
Movement ⌀26.5 mm
HandsHours, Minutes, Seconds
DateDate
EDITORIAL · 編纂

系譜と歴史

Genealogy & history

自社製でも汎用品でもない

AP 2325は、オーデマ ピゲが一から設計した機構ではない。その出自は、姉妹ブランドであるジャガー・ルクルトのエボーシュ(半製品ムーブメント)にある。ETA 2824のような業界共通の量産品とも、ブランドの完全自社製とも異なる、第三の系譜に属する。

ヴァレ・ド・ジューの供給網

オーデマ ピゲは20世紀を通じ、ジャガー・ルクルトから上質なベースムーブメントの供給を受けてきた。極薄自動巻のCal.920は、AP仕上げのCal.2120/2121としてロイヤルオーク "ジャンボ" Ref.5402を駆動した。Cal.920はパテック フィリップのノーチラスやヴァシュロンの222にも供給された、極薄自動巻の代表的なベースである。

より汎用的な後継、Cal.889

ロイヤルオークの販売拡大に伴い、APはより多くの機構に対応できる自動巻をジャガー・ルクルトに求めた。その答えが、1983年に登場したCal.889である。889はETA 2892と近い径を持ちながらわずかに薄く、高級ブランド向けの上位ベースとして設計された。APのほか、ヴァシュロン、IWC、ブレゲ、カルティエ等が採用し、デュボア・デプラの複雑モジュールの土台にもなった。

2125から2325への展開

APは889を自社で仕上げ、日付付き自動巻の系譜を形成した。2125に始まり、2225、そして2325へと、石数や仕上げの細部を変えながら世代を重ねた。2325は主に1990年代後半から2000年代にかけて、ミレネリーの自動巻や、ダイバーのロイヤルオーク オフショア スキューバに搭載された。21金ローターやセラミックベアリングは、この世代におけるAPの作り込みを示す。

自社製への転換点

2005年、ロイヤルオークの基幹は自社開発のCal.3120(中央秒針)へと移行する。業界全体が垂直統合へ向かう潮流のなかで、エボーシュに依存する時代は静かに幕を閉じた。AP 2325は、ジャガー・ルクルトとの長い協働が育てた最後期の果実であり、自社製造へ舵を切る直前のオーデマ ピゲを映す一台といえる。

MECHANISM · 機構と仕様

技術解説

Technical breakdown

AP 2325は、ジャガー・ルクルトが開発した自動巻ベースムーブメント、Cal.889を基礎とする。オーデマ ピゲによる仕上げと一部仕様の調整を経て、独自の型番が与えられている。

基本構造

ローターは中央配置の全回転式で、ボールベアリング(玉軸受)によって軸支される。振動数は28,800vph (4Hz)、すなわち1秒あたり8振動で、秒針は滑らかに運針する。テンプ(振動を刻む調速車)にはグルシデュール(温度変化に強いベリリウム銅合金)が用いられ、耐震機構としてKif(キフ)を備える。中央秒針は、輪列から間接的に駆動される間接中央秒の方式を採る。石数は32石、パワーリザーブは38時間である。地板径は26.5mmで、薄型の自動巻として設計されている。

オーデマ ピゲによる仕上げ

ベースとなるCal.889との際立つ差は、仕上げと装飾にある。AP版の振り子状ローターは21金(21K)製で、ボールベアリングにはセラミックが採用される。セラミック球は金属球に比べ摩耗や潤滑の劣化に強く、長期の巻き上げ効率の維持に寄与するとされる。地板やブリッジには面取りやペルラージュ(微細な円状の研磨)等の手仕上げが施され、エボーシュを高級時計の水準へ引き上げている。

モジュール構造と派生

Cal.889ベースの強みは、文字盤側へ機能モジュールを重ねられる拡張性にある。AP 2325に指針式の曜日・日付モジュール2810を組み合わせた2325/2810は、ロイヤルオーク "デイデイト" Ref.26330に搭載された。曜日・日付・ムーンフェイズを示す2825モジュールは、ジュール・オーデマ系で用いられている。ロイヤルオーク オフショアのクロノグラフ系では、デュボア・デプラ製のクロノモジュールを889ベースに重ねる構成が採られた。基幹のAP 2325単体(日付のみ)は、ダイバーのオフショア スキューバや、ミレネリーの自動巻モデルの動力源となっている。

数値が示すもの

28,800vphという振動数は、当時のクロノメーター級自動巻として標準的な高振動帯にあたる。振動数が高いほど外乱に対する復元力が増し、姿勢差(時計の置き方による精度差)を抑えやすくなる。一方で薄型を保つ設計上、香箱(ぜんまいを収める部品)の容量との兼ね合いから、パワーリザーブは38時間に落ち着いている。

保守という視点

889は多くの高級ブランドに供給された実績を持つベースであり、構造が広く知られている。モジュールを土台から分離できる設計は、機能部の整備や交換を行ううえでも理に適う。派手な独自機構を掲げるキャリバーではないが、確かな基礎設計とAPの仕上げが、その堅実な評価を支えている。

04 — CARRIERS · 搭載モデル一覧

このキャリバーを搭載する 1 本のリファレンス

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