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UNIVERSAL GENEVE · SERIES

Signature

シグネチャー

往時のディオラミックとディスコ・ヴォランテを、新世代のマイクロローターで再構築する限定の層。

37 mm – 45 mm
01 — 概要 / SUMMARY

Signature(シグネチャー)は、2026年に本格復活した Universal Genève が設けたコレクション区分である。アーカイブから選んだ名作を、期間限定で忠実に再構築する層と位置づけられる。構成は二系統。1956年の Monodatic を源流とし、幅広のベゼルが小ぶりな文字盤を縁取る「Dioramic(ディオラミック)」と、Uni-Compax クロノグラフに由来し、ラグを持たない円盤状の輪郭から「空飛ぶ円盤」と呼ばれた「Disco Volante(ディスコ・ヴォランテ)」。いずれも往時の意匠を保ちつつ、新設計のマイクロローター・キャリバー(UG-110、UG-200)が与えられている。

02 — STORY · 物語

Signature(シグネチャー)、これまでの軌跡

The story of this series
01

復活したメゾンが設けた「再構築」の層

Universal Genève は1894年にスイス・ル・ロックルで創業し、20世紀半ばには「Le Couturier de la Montre(時計の仕立屋)」と称されたメゾンである。Polerouter や Compax 系クロノグラフで知られたが、クオーツ危機を経て活動は縮小し、1989年以降は香港の Stelux 傘下に置かれていた。

転機は2023年12月、Breitling(Georges Kern 体制、Partners Group 傘下)による買収である。2024年の Polerouter トリビュート、2025年の「Nina Rindt」Compax オマージュを経て、2026年4月8日、ブランドは本格的に再始動した。

復活した製品群は層構造を取る。定番の Prêt-à-Porter、季節限定の Capsule、職人協業による Couture、そしてアーカイブの名作を期間限定で再構築する Signature である。Signature は、まだ常設コレクション化されていない往時のアイコンを忠実に甦らせる層であり、構成は Dioramic と Disco Volante の二系統で始まった。

02

1956年のモノダティック — ディオラミックの源流

Dioramic の源流は、1956年に発表された Monodatic である。後に Dioramic の名で知られるこのドレスウォッチは、小ぶりな文字盤を幅広で平坦なベゼルが大きく縁取る、当時としては異例の比率を持っていた。

この広いベゼルは、やがて装飾の舞台となる。ギヨシェ、フィレンツェ彫り、東方アラビア数字の刻印など、複数の意匠が試みられたと伝わる。2026年の復活モデル群の中でも Monodatic / Dioramic は最も知名度の低い一本とされるが、その独特な比率は今日でも識別性が高い。

03

「空飛ぶ円盤」 — ユニコンパックスの系譜

Disco Volante が範を取るのは、Uni-Compax と呼ばれたクロノグラフである。Uni-Compax は、3時位置に30分積算計、9時位置にスモールセコンドを置く二つ目のレイアウトを特徴とし、12時間積算計を加えた三つ目の Compax とは構成を分ける。

このうち、ラグを持たず滑らかに丸みを帯びた個体は、その輪郭から「Disco Volante(空飛ぶ円盤)」と呼ばれた。Universal Genève 公式はこの系譜を1930年代後半に位置づけるが、同様のラグレス個体は1950年代の作例にも見られ、往時には径55mmに達するものもあったと伝わる。これらの手巻クロノグラフには Valjoux 72 をはじめとする機構が用いられたとされる。

04

マイクロローターという技術的署名

Universal Genève の技術的な記名性は、マイクロローター(ムーブメント上面に載らず機械内に組み込まれた自動巻ローター)にある。1958年の Cal. 215「Microtor」は、薄型化を実現した自動巻として当時屈指の薄さを誇った。なお、マイクロローター機構の先駆については、ほぼ同時期の Büren にも帰す見方があり、ここでは UG 側の主張として扱う。同社は1960年代に、さらに薄い Cal. 1-66 を Golden Shadow に搭載している。

2026年の Signature 二系統は、いずれもマイクロローターを採る。Dioramic の UG-110 は、直径32mm・厚さ3.8mm、3/4ローターをボールベアリングで支える単方向巻き上げのツインバレル機構で、約72時間のパワーリザーブと毎時28,800振動 (4Hz) を持つ。Disco Volante の UG-200 は、コラムホイールと垂直クラッチを備えたマイクロローター・クロノグラフで、1/4秒計測・30分積算計・約72時間を備える。往時の Uni-Compax が手巻だったのに対し、クロノグラフにまで自社のマイクロローターを及ぼした点が、現行ならではの選択である。

05

2026年の再構築 — 現在地

Dioramic Signature は、ステンレススチール×ブルー(UGDI002)と18Kローズゴールド×ブラック(UGDI001)の二態で登場した。径37mm・厚さ9.15mm、100m防水。同心円状のフルーティングを施した幅広ベゼル、6時位置の日付、台形インデックスとアルファ針、ねじれた研磨ラグ、箱型サファイアクリスタル、そして UG-110 を見せるシースルーバックを備える。

Disco Volante Signature は、ステンレススチール×ブルー(UGUC002)と18Kローズゴールド(UGUC001)で展開する。ラグレスのまま径45mm・厚さ12.78mm、100m防水。段差のあるケースに研磨された内ベゼルと彫刻を施した外周リングを重ね、ケースへ沈み込むクラウンが滑らかな円盤の輪郭を保つ。文字盤は3時・9時の二つ目と外周のタキメーターを持ち、UG-200 が透明な裏蓋から覗く。

いずれも期間限定の生産で、初出荷は2026年秋とされる。Signature は復活コレクションの中でも最もアーカイブへ深く分け入る層であり、今後さらなる名作が同じ枠組みで甦る余地を残している。

03 — DESIGN · 設計思想

意匠を貫く設計言語

What this series guards, and what it lets change

Signature を貫く設計思想は、「再設計」ではなく「再構築」にある。原型の輪郭・比率・文字盤構成を保ち、素材・仕上げ・ムーブメントにのみ現代的な手を入れる。派手な刷新を避け、往時の一手を忠実に翻訳する姿勢である。

二系統はそれぞれ、ひとつの強い造形を核に据える。Dioramic の核は幅広のベゼルである。小さな文字盤を大きく縁取ることで、盤面に奥行きと額縁効果を生む。ここでは同心円状のフルーティングがその面に与えられ、研磨されたねじれラグと箱型クリスタルが視覚的な厚みを補う。日付は6時へ移され、中央秒針を持たない構成が対称性を保つ。台形インデックスとアルファ針は、原型の視覚言語を引き継ぐ要素である。

Disco Volante の核は、ラグを持たない円盤状の造形にある。ケースへ沈み込むクラウンと段付きの側面、研磨された内ベゼルと彫刻を施した外周リングが、途切れのない滑らかな輪郭をつくる。突き出した箱型サファイアが円盤のドーム感を強める。文字盤は12時間積算計を持たない二つ目構成を採り、トーン・オン・トーンの計器が静けさを保つ。三つ目の Compax に対し、あえて抑制的な情報量を選ぶ判断である。

二系統には、意図された家族的類似が仕込まれている。Dioramic のベゼルと Disco Volante の外周リングは、ともに同心円の刻みという共通の装飾語彙を持つ。加えて、ほぼ全モデルに与えられたサファイアの裏蓋は、内部のマイクロローターを見せるための共通の意思表示である。往時の多くが閉じた裏蓋と手巻・各種の機構を備えていたのに対し、現行は透明な裏蓋と統一されたマイクロローターという記名性で束ねられている。

要するに Signature の意匠は、ひとつの決定的な所作 — 幅広ベゼル、あるいはラグレスの円盤 — に語らせ、それ以外を抑制する設計である。忠実さと現代性の均衡を、声高ではなく比率と仕上げで示す層と言える。

04 — MOVEMENT EVOLUTION

ムーブメントの変遷

Calibers across the decades
1930年代-1950年代
手巻クロノ(Valjoux 72 系)
往時の Uni-Compax を駆動した機構とされる。
1958-
Cal. 215「Microtor」
マイクロローター自動巻の先駆、薄型化を実現。
2026-
UG-110 Microtor
ディオラミック用、3/4ローター・72時間。
2026-
UG-200
ディスコ・ヴォランテ用コラムホイール・クロノ。
05 — REFERENCE EVOLUTION

Ref. 変遷

Reference generations
1930年代後半-1950年代

ディスコ・ヴォランテの源流

Uni-Compax
ラグを持たない手巻クロノ。空飛ぶ円盤と呼ばれた原型。
1956

ディオラミックの源流

Monodatic
幅広ベゼルが小盤を縁取るドレス。後の Dioramic の原型。
2026

ディオラミック Signature

UGDI001 UGDI002
1956年型を再構築。UG-110 搭載、37mm・100m防水。
2026

ディスコ・ヴォランテ Signature

UGUC001 UGUC002
ラグレス・クロノを再構築。UG-200 搭載、45mm。
06 — ALL REFERENCES

このシリーズの全 2 モデル

2 references in archive